エチュードの使い方 ─上達のツボはここ!
数多あるフルートのエチュード。たくさんあるエチュードの中から、何を、どのように練習すればよいのか迷う人も多いと思う。今回の特集はどんなエチュードがあるのか、またどのように使っていけば自分のレベルアップに繋がるのか、探っていこう。
数多あるフルートのエチュード。管楽器の中でも一番多いと言っても過言ではないだろう。フルートのエチュードはフルート奏者のためだけでなく、サックスなど他の管楽器でも活用されることが多い。それは、エチュードとして完成度が高いのが理由の一つである。 たくさんあるエチュードの中から、何を、どのように練習すればよいのか迷う人も多いと思う。
そこで、今回の特集はどんなエチュードがあるのか、またどのように使っていけば自分のレベルアップに繋がるのか、探っていこう。
※THE FLUTE58号、81号、82号、137号を再構成したものです。
Contents
エチュードの使い方│紫園 香
エチュード作曲の偉人たち│佐野悦郎
エチュードを吹く前に!まずはここをチェック
エチュードを実践!『35 EXERCISES for Flute op.33-1 No.5』│関根雅裕
エチュードを実践!『ETUDES MIGNONNES POUR LA FLÛTE Op.131 No.4』│さかはし矢波
エチュードの使い方
質の高い音楽性の中で、奏法上の難点をついたものそれがエチュード
「そもそもエチュードって必要なの?」て思っている人はいませんか? そう感じているのなら、まずエチュードを練習する意味を知って、実のある練習にしましょう!
Q教本とエチュードはどんなスタイル?
A教則本は、最初歩の段階から上級までのテクニックを順番に配列・編集したものです。エチュードは、演奏テクニックの習得を目的として書かれている点では教則本と同じですが、それぞれが曲になっており、スケール、アルペジオ、オクターブ、ダブルタンギング、トリルなどを、音楽的に練習できる仕組みになっています。ある一つの技巧のために書かれているものから高度な演奏会用練習曲まで、さまざまです。
Qどんな目的を持って吹けばいい?
A「大好きな曲を吹きたい」というとき、なるべく音楽の表現に専念したいですよね。そのために前もって基本的なテクニックを抜き出して練習しておくと効率的です。いきなり曲に入っても難所が多くて「私には無理だわ」と思ってしまいがちだからです。ですから毎日ロングトーン、スケール各種、アーティキュレーション、跳躍、f・pの操作などの練習時間を必ず取ってください。そうすれば、曲を吹くときに行き詰まらなくてすみます。音楽を楽しみながら、ある程度コンパクトな時間で、効率よくテクニックの練習をすること、それがエチュードの目的です。
Q効率よくテクニックを練習するには?
A優れたエチュードを使うのが一番です。モイーズやタファネル、ゴーベールはじめ、名フルーティストだった方が、ご自分が演奏していく上で難しかったことを知り抜いて書いている、素晴らしいエチュードがたくさんあります。それらは難しいテクニックの練習を音楽的な素材で、いかに楽しくできるかということに心を砕いて書かれています。優れた音楽内容で、奏法の難点をついたものが多いのです。
たとえばアンデルセンは、大切なメロディトーンを分散和音やスケールの中に埋め込み、アーティキュレーションやf・p、跳躍、装飾音などを、質の高い音楽性の中でたくさん練習できるようにエチュードを書いています。使わない手はありませんよね。