全日本吹奏楽コンクール 課題曲Ⅱ攻略講座
夏から開催される全日本吹奏楽コンクールの地区予選に向けて、練習真っ最中のみなさん! そこで課題曲攻略講座として、マーチの課題曲IIの練習法を紹介します(課題曲IVの練習法はコチラをご覧ください)。
執筆してくれるのはTHE FLUTE ONLINEの吹奏楽講座でもおなじみ仙台フィルハーモニー交響楽団 山元康生先生です!
山元康生 Yasuo Yamamoto
1980年、東京藝術大学音楽学部器楽科卒業。同年6月渡米し、ニューヨークでのジュリアス・ベーカー氏のマスタークラスに参加し、ヘインズ賞を受賞。その後2ヵ月間にわたってベーカー氏に師事。1982年、宮城フィルハーモニー管弦楽団(現・仙台フィル)に入団。1991年より、パリ・エコールノルマル音楽院に1年間学ぶ。1997年から度々韓国に招かれマスタークラスやコンサートを行なう。また、2006年にはギリシャとブルガリアにてマスタークラスとコンサートを行なう。2002年、Shabt Inspiration 国際コンクール(カザフスタン)、2004年、Yejin音楽コンクール(韓国)、仙台フルートコンクールに審査員として招待される。
曲を吹き始める前に——ここがポイント♪
練習に入る前に、私が吹奏楽でフルート、ピッコロを吹いている方々を指導した経験から、気づいたことを書いておきます。
吹奏楽ではクラリネット、サクソフォン、トランペットなど、フルートと違ってE♭管、B♭管と呼ばれる移調楽器がやさしく吹くことができるように、フラット系の曲が大変多くなっています。
フルートにはB♭を右手人差し指を押さえずに吹くことができる大変便利な「ブリチャルディキィ」や「Ais(アイス)レバー」が付いています。
これを使わずに常に右手人差し指だけでB♭を吹いている方が大変多いのに驚いたことがありました。音階などの基礎練習では指使いをやさしくする、これらのキィは使わないで練習するのですが、実際に曲を吹く時には便利なキィを使って楽をしましょう。
運動をしないと足腰が弱るのでジョギングやランニング、筋力トレーニングが必要だけれど、日常生活には電車やバス、自動車や自転車が欠かせないことと同じです。
特にAisレバーは使ったことのない方がかなりいると思います。右手人差し指によるB♭よりも音の連結をスムーズにして、リスクを減らすことができる便利なキィですので、少々の練習はしなくてはなりませんが、この機会にマスターしてしまいましょう。
具体的な使い方は、後ほど譜例を使って説明します。
「もう吹けるようになったから、こんな練習は必要ない」と思っている方も、リズム変奏を利用して丁寧に練習してみてください。どんなリズム変奏でも余裕をもって正確に吹けるようになると、自分で気づかないうちに音や音程が良くなります。これは、指に気をとられないようになると耳が良く働いて「もっと良い音で吹こう」と無意識に心がけるようになるからです。
リズム変奏は4連符用、6連符用、共に5つのパターンが示されています。これら5つをすべてを利用して、それぞれ最低4回は吹いてください。
譜例にあるエクササイズは、算数のドリルのようなものです。問題の解き方が解っても、同じタイプの問題を繰り返し解く練習を重ねると解くスピードが早くなり、ミスが少なくなるのと同じです。また、こういう丁寧な練習を行なうと、本番でアガってしまっても、正確に吹くことができます。アガらないための「おまじない」よりも、はるかに確実ではありませんか!?
※譜例は右にスクロールしてご覧ください。
注)このコーナーでは音名をすべて英語表記で統一しています。また音名(ド=C、レ=D、ミ=E、ファ=F、ソ=G、ラ=A、シ=B)の後の数字は音域(低音域=1、中音域=2、高音域=3)を表しています(例:B2=中音域シ♭)。