フルートとピアノの関係
神戸国際フルートコンクールの公式伴奏者のうち、石橋衣里さん、石橋尚子さん、鈴木華重子さんの3名にアンケートを実施しました。その回答と共に、フルーティストから見たピアニストと伴奏について、神田寛明さんのコメントもご紹介します。
昭和音楽大学を卒業後、同大学専攻科修了。園田高弘氏に師事。第13回クララ・ハスキル国際ピアノコンクール、ファイナリスト。シュトゥットガルト音楽演劇大学大学院を最優秀の成績で修了。第4回シューベルト国際歌曲コンクール、第15回びわ湖国際フルートコンクールにおいて最優秀協演賞を受賞。神戸国際フルートコンクールをはじめ、多くのコンクールで公式伴奏をつとめる。現在昭和音楽大学及び同短期大学部、伴奏及びピアノ科講師。
Q1フルート×ピアノで一番好きな作品は
A. 一つだけ挙げるのは全くもって難しいですが、あえて個人的に一つと言われたら……J.Mouquet 『パンの笛』でしょうか。
シンプルな音でありながら物語の世界が鮮やかに表現されていて、初心者向けの平易な曲ととられる向きもあるかもしれませんが、同時にこの上ない無垢と憂いと奥深い優しさを感じます。
Q2フルーティストと共演していてどんなときが楽しいですか?
A. フルートとの共演に限ることではありませんが、お互いの音楽に共感し合いながら音が絡み、音楽が進む喜びは大きなものです。
また、思いがけない切り口から未知の世界へ誘われ、その先にはこんな世界があったのかと驚きながら演奏させていただくこともあります。
Q3フルーティストと共演するときに気をつけていることは?
A. フルートにおける低い音域は、少し音量のバランスを考えるようにしています。
Q4これまでに印象に残ったフルーティストは?
A. たくさんいらっしゃいますが、特に思い出深いのはJacques Zoonさんでしょうか。リサイタルでご一緒させていただきましたが、それまで経験が浅かった私に、フルートが作り出せる音楽世界の深さと広さを、一気に何倍にも広げて聴かせてくださいました。彼の音楽と共に演奏できたことは、深い思い出となっています。
Q5ピアニストからみた「フルートあるある」を教えてください。
A. 専門家、愛好家にかかわらず、フルートを愛する方たちの結束力が強い印象です。皆さん優しく、穏やかで。
フルート・フェスティバルやフルート・コンヴェンションなど、皆さんの愛と熱が集まる機会があることが素晴らしいと思います。
Q6愛好家がピアニストと共演する場合で注意すべきことは?
A. ピアニストは、音楽が始まる前からソリストと空気を共有しようとしています。フルーティストが最初のブレスを吸う前から。そして一緒にそのブレスを感じ、最初の音からひとつの響きになるようにと願っています。音楽が流れ始めた時には、もう一緒に音の旅に出ています。是非、その時間を楽しんでください。
Q7ピアニストから見たフルートの魅力は?
A. フルートという楽器は、何と言っても華やかでキラキラした音がその魅力の一つかと思いますが、私はこの楽器が少しくぐもった憂いのある音で歌い込まれる時の音楽にも、とても特別な美しさを感じます。
>>次のページへ続きます
・石橋尚子さん
・鈴木華重子さん
\フルーティストに訊く!/ 切磋琢磨して音楽を作り上げる重要性│神田寛明