ミヤザワフルート駒ヶ根工場落成記念 春のコンサート
4/23(日)駒ヶ根市文化会館 大ホール(長野)
[出演]さかはし矢波/竹下正登/ミヤザワゼクステット(開発アシスタント演奏家)、目白アンサンブルアカデミー(友情出演)、ミヤザワフルート@アンサンブル(ミヤザワフルート製造株式会社従業員有志)
[曲目]谷村新司:いい日旅立ち、F.ロウ:踊り明かそう、竹下正登:フルートオーケストラの為の《春のほほえみ》、アメイジング・グレイス、J.シベリウス:アンダンテ・フェスティーヴォ JS34、竹下正登:駒ヶ根嬉遊曲 第一楽章「赤穂の丘より」~祝典前奏曲、F.ドップラー:アンダンテとロンド 作品25/ハンガリー田園幻想曲
南アルプスの山々が美しく見える4月の日曜日、ミヤザワフルートの駒ヶ根工場落成記念コンサートが開催された。
1000人ほど入る会場には地元のお客様が開場前から入り口に並び、コンサートを待ちわびていることが感じられる。開演前には会場はほぼ満席となった。 コンサートは、この演奏会を共催した駒ヶ根の市長 伊藤祐三氏の挨拶から始まった。「ミヤザワフルートの工場は駒ヶ根の新しい宝です。この宝を街づくりのパートナーに」と語った。続いてミヤザワフルート創業者である宮澤正氏は、市長や関係者、そして快く工場を受け入れてくれた地域の皆様に対して感謝の気持ちを挨拶に込めた。
コンサートは、竹下正登氏をMCに進められ、従業員有志によるアンサンブルで聴き馴染みのある作品を中心に演奏される。従業員は月に1回フルートを竹下氏に習っているというだけあって、息の取れたラージアンサンブルを披露してくれた。何よりも、フルート作りのみならず、“フルートを楽しむ姿”をその身を持って体現していた。3曲目の『フルートオーケストラの為の《春のほほえみ》』は『さくらさくら』や『春の小川』『花』など日本の音楽をモチーフに作られた竹下氏の作品だ。アレンジの妙もあり、聴衆からは大きな拍手が送られた。
『駒ヶ根嬉遊曲』は、壮大なメロディと重厚なハーモニーで綴られた作品。工場のある赤穂の地をイメージに作られた第1楽章が披露されたが、今後は市民の皆さんの意見を聴いて書き進めたいと竹下氏が語る。
演奏のあと伊藤市長がステージに呼ばれ、楽譜を献呈された。市長は「ぜひ吹奏楽バージョンを作っていただきたい」と語り、竹下氏はアレンジを約束して一部は終了。
休憩をはさみ、東京フィルハーモニー交響楽団のさかはし矢波氏と竹下氏をソリストに『アンダンテとロンド』を演奏。さかはし氏はグリーンのキラキラしたジャケットで登場し、「駒ヶ根の新緑に映えるように選びました」と会場を湧かせる。演奏は二人が対話しているかのように進む。この曲の華やかさが十分に伝わった演奏だった。
メインプログラムは、『ハンガリー田園幻想曲』。もちろんソロはさかはし氏だ。本誌の読者ならご存じの方も多いだろうが、さかはし氏が生涯をかけて取り組んでいる作品だけあって、フルートオーケストラをバックにした演奏は言葉がいらないほど美しく、会場の空気を一変させるほど。伴奏をフルートオーケストラにアレンジした竹下氏の編曲も素晴らしいものであった。
アンコールに一日も早く平和が訪れてほしいという願いを込めて、祈りに満ちた『アヴェ・マリア』を演奏。そして最後に、出演者全員で長野県歌である『信濃の国』を演奏。市長、会長も登壇し、来場者の多くも一体となって合唱していた。歌詞が手元にないにも関わらず暗記して歌っていることに驚かされたが、駒ヶ根市の皆さんの地元への愛情を感じつつも、ここ駒ヶ根にミヤザワフルートが受け入れられたことを実感した瞬間だった。さらに地元の愛に包まれてミヤザワフルートが発展することを予感させてコンサートは幕を閉じた。
従業員のほとんどが参加したラージアンサンブル
春らしい爽やかなハーモニーを聴かせてくれた
特殊管を使ったアンサンブルも披露