指揮者に訊く オーケストラとフルート
脈々と続く音楽の歴史を継承し、オーケストラそして作品を導く指揮者。彼らにフルートという楽器はどのように見えているのだろうか? そんな疑問を抱いた編集部は今回、フルートと声楽を学び、現在は世界的指揮者として活躍するジョナサン・ノット氏(東京交響楽団音楽監督)に取材を依頼。多忙な中、なんとメールインタビューが実現した! 昨年11月に行なわれた東響の定期演奏会では、古典~近現代の作品を同じプログラムに組み込み、曲間も自然体で心地よい、見事な流れを生み出したノット氏。例えば前半のリゲティではしなやかで洗練された音楽を、後半のベートーヴェンでは情熱的かつ、ソリストとの呼吸もピッタリな成熟した音楽で聴衆を惹きつけた。そんなノット氏が見るオーケストラの世界そしてインスピレーションを、しかとご覧いただきたい。
取材協力:東京交響楽団 翻訳:久保順
(以下N)
インタビューは続きます!
ジョナサン・ノット Jonathan Nott
東京交響楽団 音楽監督
1962年イギリス生まれ。ケンブリッジ大学で音楽を専攻し、マンチェスターのロイヤル・ノーザン・カレッジでは声楽とフルートを学び、その後ロンドンで指揮を学んだ。ドイツのフランクフルト歌劇場とヴィースバーデン・ヘッセン州立劇場で指揮者としてのキャリアをスタートし、オペラ作品に数多く取り組む。1997年~2002年ルツェルン交響楽団首席指揮者兼ルツェルン劇場音楽監督、2000年~2003年アンサンブル・アンテルコンタンポランの音楽監督(2004年~2006年は客演指揮者)、2000年~2016年ドイツ・バンベルク交響楽団の首席指揮者を経て、2017年1月よりスイス・ロマンド管弦楽団の音楽監督、2014年度シーズンより東京交響楽団第3代音楽監督を務める。
古典から現代曲まで幅広いレパートリーと抜群のプログラミングセンスを持つノットは、その多岐にわたる活躍が評価され、2009年バイエルン文化賞を受賞。現在取り組むR.シュトラウス・コンサートオペラシリーズ《サロメ》《エレクトラ》は、各メディアのベスト・コンサートに選出され、第3弾「ばらの騎士」はすでに多くの注目を集めている。ベルリン・フィル、ウィーン・フィルなど世界一流のオーケストラと客演を重ねるほか、レコーディング活動や教育活動にも尽力している。