【最終回】マグナムの歴史を振り返る
最終回
マグナムの歴史を振り返る
皆様こんにちは! 199号はマグナムトリオが表紙の号ということでマグナムの歴史を振り返ってみました。結成秘話から海外公演の思い出、またはマグナムのこれまでの曲たちについて3人がそれぞれ語ります。それではどうぞ!!
\カバーストーリーはこちらから!/
THE FLUTE Vol.199 Cover Story
「唯一無二のアイデアを音楽に。進化し続けるマグナムトリオに迫る!」
神田勇哉が語る“マグナムトリオ結成秘話”
◉マグナムトリオの前身
東京藝術大学の文化祭では、代々学生が自由にメンバーを集めてコンサートを主催するという形になっている。
2004年夏、現在のマグナムトリオのリーダーである多久潤一朗さんが「ドキッ! 男だらけのフルート大会」なる企画を作り、コンサートを行なった。この「フルート大会」は、フルート科の男のみで結成したアンサンブルで、耳馴染みのある明快な音楽に、現代音楽分野で使われる「特殊奏法」をふんだんに盛り込み奏でるスタイル。これがなんとも痛快で面白い経験となったので「もっとやりたい人~!」と問いかけたところ、残ったのが現マグナムトリオの3人だけだった……。
ちなみに余談だが、我々の大先輩たちも過去にフルート科の男のみで公演を行なっていたとのこと。「音・国際企画(おとこくさいきかく)」。我々の後輩のフルート科の男子たちも同様に引き継いでいったので、音大のフルート科は女性の比率が多く、歴代の男たちはなにかしら虐げられている感覚を味わっていたのかもしれない。
◉「マグナムトリオ」の由来
2006年、私と多久で日暮里駅前の居酒屋で飲んで会議。店のテレビでは著名な実業家逮捕のニュース特番が流れていた。私たちのトリオの名前をどうするか? 尖りすぎた名前はなんかキャラじゃないな。と、コミックな芸風でも通じるダサカッコいい名前を模索した。音→音速→ソニックと連想したところで子どものころ流行っていたタミヤのミニ四駆の漫画「爆走兄弟レッツ&ゴー」のマシン「ソニックセイバー」の話で盛り上がり、もう一人の主人公の愛機「マグナムセイバー」の語感がなぜかピタッとハマった。翌日になり「マグナム」の印象が残っていたため、チームの名前はめでたく「マグナムトリオ」に決定したのである。名前の決定を後から聞かされた梶原君がどう思ったかは定かではない。
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●メンバー
多久潤一朗(写真中央) 無数の特殊奏法、民族楽器の奏法を駆使自作自演を中心に活動中。TV、CM、映画音楽などのレコーディングは年間100本を超え、アニメ「鬼滅の刃」や米津玄師「パプリカ」、Nintendo Switch「スーパーマリオ」「ゼルダの伝説」などのフルート及び和笛、民族笛などを担当している。緊急事態宣言による自粛要請中にはSNSで発信した「ちくわ笛」で有名になり最近もテレビ朝日「題名のない音楽会」などで度々無理難題を課されている。
神田勇哉(写真左) 東京フィルハーモニー交響楽団首席フルート奏者。東京藝術大学を首席で卒業後、文化庁海外派遣研修生として渡仏。パリ地方音楽院、エコール・ノルマルにて研鑽を積む。これまでにアンサンブルofトウキョウ、藝大フィルハーモニア管弦楽団、カメラータ・ザルツブルグ、チェコ・フィルハーモニー弦楽三重奏団、東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団と共演。日本、フランスのコンクールにて、優勝および入賞多数。東京音楽大学非常勤講師。
梶原一紘(写真右) 東京藝術大学附属高校、東京藝術大学を卒業後渡仏。フランス・クレテイユ地方音楽院を満場一致最優秀の成績にて修了後、パリ・エコールノルマル音楽院にて研鑽を積む。マグナムトリオ、spac-e、future nohメンバー、ドルチェ東京ミュージックアカデミー講師、todays concert創設者。