フルート記事 知って納得! 音程豆知識/みんな聴いた? あの名演から学ぼう
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耳メソッド 音程も表現も。気づきにつなげる聴く力

知って納得! 音程豆知識/みんな聴いた? あの名演から学ぼう

LESSON

知って納得! 音程豆知識

音程について、普段当たり前に行なっていることも、ふと「なぜ?」と感じることがあると思います。
今回は豆知識として、多くの方が一度は疑問に思ったことがありそうな3つの項目を取り上げました。
疑問を解消して頭の中を整理した状態で、音程の練習に取り組みましょう!

Q.1
どういう状態を“音程が合っている”と言えるの?

例えば2人で「ラ」を吹いたときに、「ワンワンワン」もしくは「ワーンワーン」と音が揺れて聴こえることがあると思います。
これはうなりが生じていて、双方のピッチが合っていない状態です。うなりの幅が細かいほど音同士がぶつかっている状態を示します。このうなりがゆったりと減って、ある種一つの「ラ」に聴こえたとき、双方の“音程が合った状態”と言えるでしょう。合奏の中でのチューニングは、基準となるオーボエの音に合わせることが一般的です。音のうなりの状態をよく聴いてみてください。これらは自身の耳を使って、自分の判断で調整できるようになることが重要です。

 

Q.2
チューニングはなぜ「ラ」の音で行なうの?

これは古代ギリシア時代から「ラ」が基準音とされてと考えられることに由来するようです。そのころに使われていた楽器の最低音が「ラ」であったからとも言われています。現に「ラ」はアルファベットの最初の文字「A」で表されますね。なお吹奏楽においては、クラリネットやトランペットがB♭管であり「シ♭」が鳴らしやすいことから、「シ♭」でチューニングする場合も多く見られます。また現在の日本において管弦楽のピッチは442Hzを基準とすることが多いです。

 

Q.3
なぜ長三和音の第3音のピッチは低めに取るの?

一番の理由は「音が重なったときに一番美しく聴こえるから」です。具体的に音律(音の高低の相対関係を、ある定義のもと整理したもの)の観点から考えてみましょう。管楽器の私たちは音程をある程度自由に変化させることができますね。このことから「純正律」という、音の周波数比を整数比で単純なものにした音律でも演奏することができます。「長三和音の第3音のピッチを低く取る」ことは、この純正律の「3度の音程を美しく取る」という考え方に基づいています。純正律は美しい和音を演奏できる一方で、全音や半音の間にそれぞれ異なる音程が生じてしまい転調したときに、美しい響きが得られないことが短所です。
そこで用いられるようになったのが、オクターブを12の半音で均等に割り周波数比を均一にした「平均律」。チューナーでピッタリ合うように音程を取ったときを考えると分かりやすいでしょう。平均律はどんな調性の音楽も演奏しやすい反面、美しい響き(音程)を追求したときに、ユニゾンとオクターブ以外はわずかに異なります。ほんの少しの違いかもしれませんが、和音が美しく聴こえるよう「長三和音の第3音のピッチを低く取ろう」と言われるのです。

 
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