フルート記事 ランパル、ゴールウェイ、ダイヤモンド…!? 今につながる数々の出会い
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THE FLUTE 163号 Cover Story

ランパル、ゴールウェイ、ダイヤモンド…!? 今につながる数々の出会い

ARTIST

18年前となる2000年、THE FLUTE本誌46号に登場していたマイケル・コックスさん。本誌163号のインタビューではあまり詳しく触れていない幼少期の音楽体験や、フルートを学ぶために単身ロンドンに渡った時のことを語る、当時のインタビューの一部を、ここで紹介する。

BBC交響楽団で首席奏者を務めるマイケル・コックスさん。この3月に行なわれたコンサートツアーで来日し、日本では初となったマスタークラスとソロリサイタルも開催した。実は、THE FLUTEへの登場は18年前の2000年に果たしている。18年後の今回、すっかりトレードマークとなった髭とともにさらに円熟味を増した音色、ますます深まるフルートへの愛情。そして若いフルーティストたちに向けるまなざし……たくさんの“引き出し”の中身を少しずつ見せてくれたようなインタビューとなった。
写真:標 隆司/取材協力:株式会社グローバル

“安全圏”を打ち破るフルートの可能性

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今回はBBC交響楽団の公演での来日ですね。プログラムにはチャイコフスキーのヴァイオリンコンチェルトやラフマニノフのピアノコンチェルトといったプログラムがラインナップされ、音楽ファンの期待も高かったと思います。それぞれ、ヴァイオリニストのアリーナ・ポゴストキーナさん、ピアニストの小菅優さんがソリストでしたが、彼女たちとの共演はいかがでしたか?
コックス(以下C)
音楽家として、トッププレイヤーと共演するのは喜びであり、大いに刺激的です。指揮者の場合はダイレクトにオーケストラとコミュニケートしますが、コンチェルトのソリストは演奏を通じてオーケストラとコミュニケートするので、それがまた心地良いのです。アリーナさんは以前から知っていましたが、小菅さんとは今回初めてお会いしました。人間的にもとてもあたたかい方で、オーケストラのメンバーも皆、彼女に好意を持ったと思いますよ。
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18年前に初めて本誌に登場いただき、オーケストラの公演ではその後も来日されていましたが、日本でマスタークラスやソロリサイタルを行なうのは今回が初めてなのですね。バッハのソナタやディティユーのソナチネなどを演奏されます。
C
オーケストラでの演奏は、どうしても“安全圏”でしか吹けない部分があります。そこを打ち破って、皆さんにフルートの新しい可能性、いろいろな表現が可能なんだということを知っていただくいい機会だと思っています。フルートという楽器はフレキシブルに作られていて、ダイナミックレンジも豊かで、いろんなことができる可能性を秘めています。それを感じてもらえたら嬉しいですし、マスタークラスでは、音楽から直に受ける感情をこの楽器をどう表現するかということを伝えられるといいな、と思います。
マイケル・コックス
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BBC交響楽団のフルートセクションは、どんな雰囲気なのですか? 日本人の向井知香さんも在籍していますよね。
C
知香は、私の英国王立音楽院での最初の生徒だったんです。アカデミーを卒業してからしばらく別のオケにいましたが、BBCに空きができて入団してきました。いまフルートセクションのメンバーは私を含めて4人いますが、実はあとの二人も教え子なんです。セクションとしては、私たちそれぞれのキャラクターがうまく調和して、とてもいいエネルギーが生まれています。
ピッコロ奏者のキャサリン・スティーブンソンはスコットランドの女性らしく、明るくサバサバしています。知香は日本人らしい落ち着いた女性で、副首席のダニエル・ペイルソープは、生粋のイギリス紳士といった感じですね。それから私ですが……私はイギリス人ですがアフリカのジンバブエで育ったので、ルーツはジンバブエにあると思っています。そんな四人四様のチームが、私たちです。(次のページに続く)

次のページの項目
・「フルートが上手」の前に…
・「そんな楽器、なかなかあるものではありません」
・ONLINE限定:18年前の登場回を振り返る

Profile
マイケル・コックス
マイケル・コックス
Michael Cox
英国生まれ、幼年期をジンバブエで過ごす。ジンバブエ音楽大学、英国王立音楽院で学ぶ。ロンドン交響楽団、ロンドン・モーツァルトプレイヤーズやブリテン・シンフォニカの首席奏者を歴任し、現在はBBC交響楽団、アカデミー室内管弦楽団、ロンドン・シンフォニエッタの首席フルート奏者として活躍している。英国王立音楽院の教授でもあり、後進の指導にも力を注ぐ。様々なオーケストラや室内楽団、多様な音楽ジャンルに携わり、世界中で活動している。
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