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竹山 愛│THE FLUTE vol.198 Cover Story
誰かと演奏するのが好き。新天地でしっかりと根を張っていきたい
昨年11月に東京交響楽団首席フルート奏者に就任した竹山愛さん。日本国内外のコンクールで輝かしい成績を収める一方で、うまくいかない時期もあったという。ステージでは凛とした姿が印象的だが、それはひたむきに音楽と向き合う時間により培われたのだろう。早くからオーケストラ奏者を目指し努力を続けた彼女が語る、音楽人生とは。
オーケストラ奏者を目指して
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学生時代からオーケストラ奏者になりたいということを目標に、コンクールを受けたり努力されたりする中で、うまくいかないこともあったとTHE FLUTE ONLINEの連載「石井希衣の教えて!コンテスタント」でお話しいただきましたが、改めて詳しくお聞かせください。
竹山
まずオーケストラに憧れていたのは幼少期からで、小学校の授業で初めて観たカラヤンとベルリンフィルが演奏するベートーヴェンの『交響曲第5番』に全身を震わせて感動した記憶が残っています。小・中・高と吹奏楽をやっていたこともあり、自分以外の誰かと演奏し音楽を共有できる喜びを感じられることや、偉大な作曲家が本気で書き上げたオーケストラ作品に取り組めるという環境に自然と興味が向いていったのだと思います。
大学に入学してからは将来オーケストラでも演奏ができるプレイヤーでありたいと思いやってきましたが、オーディションとなるとまたコンクールと違ったものがありました。コンクールは同世代の人たちと切磋琢磨して技術を高め合ったり、音楽性を磨き合ったりする場だと思うんですけれども、オーディションは、その楽団の次の担い手として演奏に入り、作品ごとに最良のアプローチへの提供や判断ができること、魅力的な演奏に導ける人材を選ぶ場だと思います。もちろん演奏が重視されますが、最終的に選んでいただくには「この人と一緒に音楽をしたい!」と思ってもらえるための“何か”も必要なのかなと思います。私はとてもラッキーで、本当に良い時期にいろいろな賞をいただいてきましたが、その勢いで入れるものじゃないというのは、身に染みてよく分かりました。オーケストラのオーディションには何度も挑戦はしていて、首席のポジションだけでなく、ピッコロ兼任のセカンドのポジションを受けたりもしました。いいところまで行くときもあれば、最初でダメになっちゃった、という経験もたくさんあります。
私はとても不器用なタイプなので、「コンクールのために対策する」とか「オーディションはここを受けるからこの楽団に合わせて」みたいなことはあまりしてきませんでした。しかし、オーディションの課題であるオーケストラスタディでは、以前在籍していた東京シティ・フィルでの経験も生きて、何を求められている作品なのか、そして現在の自分は何を提供できるのか……ということを上手く自分なりに消化して準備ができていたのかなと感じています。
大学に入学してからは将来オーケストラでも演奏ができるプレイヤーでありたいと思いやってきましたが、オーディションとなるとまたコンクールと違ったものがありました。コンクールは同世代の人たちと切磋琢磨して技術を高め合ったり、音楽性を磨き合ったりする場だと思うんですけれども、オーディションは、その楽団の次の担い手として演奏に入り、作品ごとに最良のアプローチへの提供や判断ができること、魅力的な演奏に導ける人材を選ぶ場だと思います。もちろん演奏が重視されますが、最終的に選んでいただくには「この人と一緒に音楽をしたい!」と思ってもらえるための“何か”も必要なのかなと思います。私はとてもラッキーで、本当に良い時期にいろいろな賞をいただいてきましたが、その勢いで入れるものじゃないというのは、身に染みてよく分かりました。オーケストラのオーディションには何度も挑戦はしていて、首席のポジションだけでなく、ピッコロ兼任のセカンドのポジションを受けたりもしました。いいところまで行くときもあれば、最初でダメになっちゃった、という経験もたくさんあります。
私はとても不器用なタイプなので、「コンクールのために対策する」とか「オーディションはここを受けるからこの楽団に合わせて」みたいなことはあまりしてきませんでした。しかし、オーディションの課題であるオーケストラスタディでは、以前在籍していた東京シティ・フィルでの経験も生きて、何を求められている作品なのか、そして現在の自分は何を提供できるのか……ということを上手く自分なりに消化して準備ができていたのかなと感じています。
次ページにインタビュー続く
・東京交響楽団首席フルート奏者に就任!
・音づくりとコンクール \ONLINE限定!/
・使用楽器について
・いろいろな音楽を知るということ
Profile
竹山 愛
Ai Takeyama
Ai Takeyama
東京藝術大学卒業、東京藝術大学大学院修士課程修了。学内にて安宅賞、アカンサス音楽賞、三菱地所賞を受賞。ロームミュージックファンデーションの助成を得てミュンヘン音楽演劇大学Zertifikatsstudium Meisterklasseを修了。
第79回日本音楽コンクール第1位(併せて岩谷賞)。第26回日本管打楽器コンクール第1位。第8回神戸国際フルートコンクール第3位など受賞歴多数。ソロアルバム「Plays Paris」「GATE」をリリースし、レコード芸術誌において共に準特選盤・特選盤に選出された。ソリストとして東京フィルハーモニー交響楽団、東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団、神戸市室内合奏団などのオーケストラと共演。
NHK-FM名曲リサイタル、NHK-FMリサイタル・ノヴァ、NHKニューイヤーオペラ、ららら♪クラシック、木曽音楽祭、毎日ゾリステンリサイタルシリーズ、横浜国際音楽祭、芸劇ブランチコンサートシリーズ、MAROワールド等に出演している。
これまでに糸井正博、三上明子、金昌国、神田寛明、斎藤和志、木ノ脇道元、寺本義明、P.ブークリーの各氏に師事。東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団首席フルート奏者を経て、現在東京交響楽団首席奏者。
第79回日本音楽コンクール第1位(併せて岩谷賞)。第26回日本管打楽器コンクール第1位。第8回神戸国際フルートコンクール第3位など受賞歴多数。ソロアルバム「Plays Paris」「GATE」をリリースし、レコード芸術誌において共に準特選盤・特選盤に選出された。ソリストとして東京フィルハーモニー交響楽団、東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団、神戸市室内合奏団などのオーケストラと共演。
NHK-FM名曲リサイタル、NHK-FMリサイタル・ノヴァ、NHKニューイヤーオペラ、ららら♪クラシック、木曽音楽祭、毎日ゾリステンリサイタルシリーズ、横浜国際音楽祭、芸劇ブランチコンサートシリーズ、MAROワールド等に出演している。
これまでに糸井正博、三上明子、金昌国、神田寛明、斎藤和志、木ノ脇道元、寺本義明、P.ブークリーの各氏に師事。東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団首席フルート奏者を経て、現在東京交響楽団首席奏者。