フルート記事
ジュリエット・ユレル│THE FLUTE vol.201 Cover Story

常に好奇心を持って様々なものに触れること─それが自分の演奏につながってくる

今回の来日では、東京公演の当日にTHE FLUTEで密着取材を敢行した。撮影はゲネプロ前、インタビューを行なったのはゲネプロ後。まさに分刻みのスケジュールの中、疲れを見せることもなく、笑顔を絶やさずこなしていったユレル氏。何と言っても圧巻だったのは、この日のコンサートだった。コンサートレビューはインタビューのあとに掲載しているのでご覧いただきたい。インタビュアーは、旧知の中であるフルーティスト 藤田真頼氏。

インタビュー・翻訳:藤田真頼(昭和音楽大学准教授) 写真:森泉 匡 取材協力:パール楽器製造株式会社/すみだトリフォニーホール

エモーションを聴衆に伝えること

今回の来日では、長年のパートナーであるエレーヌ・クヴェールさんとのリサイタルとなります。ピアニストに限らず、伴奏者や共演者に望むことは何でしょうか?
ジュリエット・ユレル
(以下J)
まずは立派な音楽家であり、音楽的な共通点を持っていることが大切です。それからお互いをよく聴き合い理解することです。ピアニストには音質の良さ、タッチの綺麗さ、柔軟性などを求めます。
エレーヌさんのピアノの魅力はどんなところですか?
J
彼女は先ほど挙げたことすべてを兼ね備えています。彼女は素晴らしいクオリティの音を持っています。例えばプーランクの『ソナタ』の第2楽章など、柔らかく深みがあります。このようなピアニストはなかなかいないものです。彼女と共演できることは本当に幸運ですね。エレーヌとの付き合いは、パリ国立高等音楽院の学生の頃からですので、もう30年になります。神戸の国際フルートコンクールではF.マルタンやJ.S.バッハのソナタを伴奏してもらいました。その他CDの録音や各地でのリサイタルなど、たくさんの想い出があります。
ほかに、室内楽などで合奏するときに気を付けることはありますか?
J
お互いをよく聴くことと、クリアな表現、ボリュームのバランスなどに気を使います。エレーヌの音楽は素晴らしく伴奏と主演ではなく、均等なデュエットになるよう考えています。
ユレルさんがフルートを吹く上で、大事にされていることは何でしょう。
J
まず、エモーション(感動)を聴衆に伝えることですね。この時間を共有できることの素晴らしさをみなさんに感じてもらいたいと思っています。
それから、楽譜に忠実に演奏することもとても大切です。作曲家への畏敬の念がないといけません。ですから現代作曲家と直接話し合い、細部を確認し、曲の理解を深めながら作っていくのはとても好きな仕事です。あとは常に良いクオリティの音で、レガート、フレーズ、ダイナミクスなどを可能な限りの方法で演奏します。音質が一番大切です。

次ページにインタビュー続く
・克服のためには忍耐強くやり続ける
・フルートは長い付き合い、最も大好きなもの!

 
Profile
ジュリエット・ユレル
ジュリエット・ユレル
Juliette Hurel
ダルムシュタット、神戸、J.P.ランパルなどのコンクールに入賞し、2004年仏ヴィクトワール・ド・ラ・ムジーク最優秀新人賞受賞。国際的ソリストとして活躍するほか、室内楽ではこれまでバシュメット、コヴァセヴィッチ、ミンツ等と共演。また数々のオーケストラとの共演を行なう。1998年からは、オランダ・ロッテルダムフィルハーモニー管弦楽団の首席奏者を務めている。また、ハーグ王立音楽院を経て、現在はロッテルダム音楽院にて後進の指導にあたる。「COMPOSITRICES」「Nature Romantique」など多数のアルバムをリリース。

使用楽器:パールフルート ハンドメイド“マエスタ”管体18K金製(頭部管:Forte)
 
[CLUB MEMBER ACCESS]

この記事の続きはCLUB会員限定です。
メンバーの方はログインしてください。
有料会員になるとすべてお読みいただけます。

1   |   2      次へ>      

フルート奏者カバーストーリー