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上野星矢│THE FLUTE vol.202 Cover Story
昔の自分より圧倒的に上手い自分でいたい。自分を高め、そして新たな道を作る。
182号以来の本誌巻頭を飾ってくれた上野星矢さん。
実力は言わずもがな、彼が持つ実行力や発信力はフルート界を先導し、確かな存在感を示す。若年層からの支持も厚く、演奏に後進の指導に多忙な中、どのような日々を過ごしているのか。今回はじっくりとお話を伺った。
写真:アーニーズスタジオ 井村重人/取材協力:株式会社 森音楽事務所
活動の原動力
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上野さんはフルートの合宿や公演「フルートセレブレーション*」など愛好家やフルート奏者との催しを数々開催されていますね。これらを一回で終わらせずに継続していく原動力は何ですか?
上野
原動力になっているのは、周りにそれをやっている人がいないということかもしれません。僕がはじめたいなと思っていることは、大体今までなくて、けれどあったほうがいいと思うことなのです。最近合宿の形態やフェスティバルの形態も似たような感じのものをやっている人が出てきて、それはいいことだと思うんです。逆にそういうのがいっぱい出てくると、最初の本家の人はやり続けなきゃいけないのではないかなっていう気持ちにもなります。
でも一番の理由は、やっぱり喜んでくれる人がいるからですね。合宿にしてもフルートセレブレーションにしても、海外のフルートの世界と日本のフルートの世界を繋ぐことができるでしょう。日本は島国で各国と離れたところにあるので、そうやって繋げないと。今はなんとなくネットで繋がることができるけれど、実際にその人たちと一緒にアンサンブルをしたりレッスンを受けたりというのは、全然次元が違うことですから。僕はコネクションがあるから実現しやすいです。
国内外のトップクラスのフルート奏者には講師をお願いしたり、ゲストで演奏してもらいますが、コミュニケーションをとるうえで忖度はしません(笑)。忖度をせずに敬意を持って接することを大切にしていますね。逆に相手に敬意を払っているからこそ意見をぶつけることもあるし、ぶつかることを恐れないというか。そしてコミュニケーションを図っていく中で関係を深めています。
今来ていただいている奏者はすでに信頼関係ができている方々ですが、プレイヤー同士のつながりでやってきていることもあり、年々コミュニティが広がっていますね。
でも一番の理由は、やっぱり喜んでくれる人がいるからですね。合宿にしてもフルートセレブレーションにしても、海外のフルートの世界と日本のフルートの世界を繋ぐことができるでしょう。日本は島国で各国と離れたところにあるので、そうやって繋げないと。今はなんとなくネットで繋がることができるけれど、実際にその人たちと一緒にアンサンブルをしたりレッスンを受けたりというのは、全然次元が違うことですから。僕はコネクションがあるから実現しやすいです。
国内外のトップクラスのフルート奏者には講師をお願いしたり、ゲストで演奏してもらいますが、コミュニケーションをとるうえで忖度はしません(笑)。忖度をせずに敬意を持って接することを大切にしていますね。逆に相手に敬意を払っているからこそ意見をぶつけることもあるし、ぶつかることを恐れないというか。そしてコミュニケーションを図っていく中で関係を深めています。
今来ていただいている奏者はすでに信頼関係ができている方々ですが、プレイヤー同士のつながりでやってきていることもあり、年々コミュニティが広がっていますね。
*フルートセレブレーション:上野星矢氏が主宰する、フルートを愛するすべての人が、プロやアマチュアの枠を超えてコラボレーションするイベント。世界で活躍する海外アーティストも出演している。
「ネガティブ→ポジティブ」は無理。だからこそ……。
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そういった合宿やイベントを企画してから実行するまで、大変な準備やハプニングが様々あると思いますが、どういった考え方や行動で乗り越えてこられましたか?
上野
これは慣れだと思いますが、ハプニングなどちょっとした問題に一喜一憂しないということと、すごく大変なことが起こったときにでも、それをエキサイティングだなと思えるようにしています。「うわ、やばくない?」みたいな(笑)。
これは元々の気質だと思いますが、僕は「どうしよう」とパニックを起こすことはないんです。
これは元々の気質だと思いますが、僕は「どうしよう」とパニックを起こすことはないんです。
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確かにSNSなどを拝見しても、上野さんは常に前向きな印象です。落ち込んだりネガティブになったりすることはないのでしょうか?
上野
ほぼないですね。これはなぜそうならないのかテクニックのようなものがあって、「没頭する」というのが大事なんです。そもそも没頭していたらネガティブになれないんですよ。そしてネガティブなときにポジティブになろうとするのはおそらく無理ですよね。けれど、すごく没頭していると落ち込めない。それは結局全部ポジティブということですよね。だからネガティブを潰す・打ち消すのは、単なるポジティブ思考みたいな明るさなどではなくて、単純にやっていることに対して没頭しているかどうかだと思うんですよ。無駄なこと考えないようにしています。
次ページにインタビュー続く
・大切な家族との時間
・コンクールを受けていた頃 \ONLINE限定!/
・音楽をどう学ぶか? \ONLINE限定!/
・昔の自分と競争する
・もっと基本に執着したほうがいい
・これからの挑戦
Profile
上野星矢
Seiya Ueno
Seiya Ueno
東京都出身。19歳で「第8回ジャン=ピエール・ランパル国際フルートコンクール」優勝。杉並区文化功労賞受賞。
2009年よりパリに留学し、2012年にパリ国立高等音楽院第1課程を審査員満場一致の最優秀賞並びに審査員特別賞を受賞し卒業。2012年10月、日本コロムビアよりファーストアルバム「万華響 KALEIDOSCOPE」でCDデビュー。2015年秋には全8か所のアメリカツアーを成功させ、ニューヨーク・カーネギーホールでリサイタルデビューを果たす。第25回青山音楽賞新人賞受賞、第17回ホテルオークラ音楽賞受賞。
東京交響楽団、イル・ド・フランス国立管弦楽団など、国内外のオーケストラと協演。テレビ朝日「報道ステーション」NHK「ニューイヤーオペラコンサート」など、メディアにも度々出演している。2019年より大阪音楽大学准教授。
2009年よりパリに留学し、2012年にパリ国立高等音楽院第1課程を審査員満場一致の最優秀賞並びに審査員特別賞を受賞し卒業。2012年10月、日本コロムビアよりファーストアルバム「万華響 KALEIDOSCOPE」でCDデビュー。2015年秋には全8か所のアメリカツアーを成功させ、ニューヨーク・カーネギーホールでリサイタルデビューを果たす。第25回青山音楽賞新人賞受賞、第17回ホテルオークラ音楽賞受賞。
東京交響楽団、イル・ド・フランス国立管弦楽団など、国内外のオーケストラと協演。テレビ朝日「報道ステーション」NHK「ニューイヤーオペラコンサート」など、メディアにも度々出演している。2019年より大阪音楽大学准教授。
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