フルート記事 菅野力リサイタル2024|委嘱・公募 作品9タイトル【フォスターミュージック】
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菅野力リサイタル2024|委嘱・公募 作品9タイトル【フォスターミュージック】

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「菅野力フルートリサイタル 2024」にて初演された、委嘱・公募作品9タイトルをご紹介します。
※「グレード」はフォスターミュージック株式会社(www.fostermusic.jp)の区分に準じます

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下田和輝:エーデルホフ・スケッチ〈委嘱作品〉

[演奏形態]フレキシブルソロ(Fl or Cl, Asax,Bsax, Tp,Vn, Va,/Pf)
[グレード]3+
[演奏時間]4分50秒
[概要] 2022年8月、ご自身の結婚披露宴の余興で初演する吹奏楽作品として作曲されました。奥様の好きなサブドミナントマイナーやメジャー(マイナー)7th9thコード、ドミナントコード♯9thなど、いわゆるオシャレな和声がふんだんに使用されています。
タイトルの「エーデルホフ」とは、結婚式場である「ホテルモントレエーデルホフ札幌」から引用しており、披露宴会場「ワグナー」の煌びやかでシックな雰囲気と、披露宴会場から見える札幌の景色の移ろいがイメージされています。 ソロはフルートのみならず、クラリネット、アルト(or バリトン)サックス、トランペット、ヴァイオリン、ヴィオラでも演奏が可能となっていますので、ぜひフルート以外の皆さんも演奏してください。 原曲である吹奏楽版も出版される予定です。

 

和田直也:ドライビング・フォース〈委嘱作品〉

[演奏形態]フレキシブルソロ(Fl or Asax,Bsax,BassCl,Tp,Bsn, Euph/Pf)
[グレード]3+
[演奏時間]2分50秒
[概要] 2021年にSNSを通じて出会ったという和田さんと菅野さん。折に触れて和田作品を取り上げ、コンサートやYouTubeなどでも披露されており、親密な関係が伺えます。 名前を象徴するかのような力強い演奏や、活発的な演奏活動を続ける彼の姿や人柄に感銘を受け、これまでに取り上げられた作品の断片や、菅野さんの人生に大きな変化をもたらしたできごとを表したフレーズなどを曲中に織り込み、ハンガリーから日本での活動へと舞台を移し、新たなステージで活躍を続ける彼への敬意を込めて作曲されました。
下田作品同様、フルートのみならず、アルト(or バリトン)サクソフォン、バスクラリネット、トランペット、ファゴット、ユーフォニアム(以上F-Dur版)、オーボエ、クラリネット、ソプラノ(or テナー)サクソフォン、ホルン(以上B-Dur版)で演奏可能です。

 

中島章博:ちょっとおどけたワルツ〈委嘱作品〉

[演奏形態]Fl/Pf
[グレード]5
[演奏時間]4分10秒
[概要]もともとフルート協奏曲のアンコールピースとして2015年に作曲された作品です。初演は、杉並公会堂で上野由恵さんがフルートソロを担当し、作曲者自身が指揮を務めるIris Philharmonic Orchestraによって行われました。
この曲は、「もし架空のフランス人作曲家がワルツを書いたらこんな感じになるのでは?」というイメージで作られています。「ちょっとおどけた」というタイトルは、不安定な調性や気まぐれな旋律やフランス風のユーモアを表現していますが、フランス風に寄せつつも、作曲者は純日本人であるという照れ隠しも込められています。 曲はシンプルな三部形式で構成されており、終盤にはテンポが上がるコーダが付け加えられています。
2018年にはソロ楽器を使わないオーケストラ版に編曲され、作曲者の指揮のもとでたびたび演奏されてきました。そして今回、菅野力氏の依頼でフルートとピアノ版に編曲され、デビュー10周年記念リサイタルツアー東京公演で初演となります。

 

中島章博:はじまりの時〈委嘱作品〉

[演奏形態]Fl/Pf
[グレード]4
[演奏時間]6分00秒
[概要]菅野力さんのデビュー10周年記念リサイタルツアーの東京公演でアンコール曲として演奏されることを想定して、2024年6月に作曲。「のちに吹奏楽曲としても発表できるような作品にしてみたらどうか」という提案から、最初に吹奏楽曲としてのイメージを練り、その後フルートとピアノ版を、いわばコンデンススコアのように仕上げられたそうです。
曲は、ゆったりとした序奏を持つソナタ形式で構成されており、吹奏楽向きのフレーズや展開が取り入れられています。 「具体的な情景やストーリーを描いた作品ではありませんが、昔の思い出を振り返りながらも、明るい未来へ向かうような感覚を持った曲になっているのではないかと思います。演奏者の皆さんが自分なりの物語を想像しながら演奏していただけたら、とても嬉しいです。」とのこと。 この作品が、皆さんにとって素敵な「はじまりの時」となりますよう。
※紹介記事はフォスターミュージックのブログに詳しく掲載されています。 https://blog.fostermusic.jp/ 

 

得本和音:新しい服を着て〈入選作品〉

[演奏形態]Fl/Pf
[グレード]4+
[演奏時間]6分00秒
[概要] 仕事用のスーツ、友人に会うときのカジュアルなコーディネート、自宅でくつろぐときのパジャマ、あるいは制服、スポーツウェア、着物……服を選ぶということは、目的に合わせ準備し選択して決定するということである。そして準備と選択を経て決定した服は、人の内なる心境を表現するだけでなく、気持ちを引き出すための手段としても機能する、と言えるのではないだろうか。
この曲は、服の選択とそれによる心情に焦点を当てた作品です。わざわざ新しい服を選択するようなとき、そこには思い入れのある出来事、大切な日、多かれ少なかれ、特別な心境があるのではないでしょうか。“新しい服”の特別感と、その日の心境を3つのシーンで表現しました。
1.週末の小旅行のために 休日を迎える高揚感、旅行という非日常への期待と少しの不安。新たな場所で新たな自分を表現するための服。2.式典のために 心機一転、気持ちを新たに。厳か、感謝の気持ちを持った正装。3.普段着に(自分のために)特定の予定のためではなく購入した新品の服を、どこで最初に着ようかと悩むワクワク感。コーディネートを考えながら自宅でファッションショー。(得本和音)

 

船本孝宏:出航の詩~フルートとピアノのための譚詩~〈委嘱作品〉

[演奏形態]Fl/Pf
[グレード]4
[演奏時間]7分00秒
[概要]自分は4月早々に誕生日を迎えるので、心が良い意味でもそわそわします。また今年は44歳とぞろ目になること、今の勤務先に勤めて10年を迎えることも灌漑深く、勝手ながらこの公募にシンパシーを感じ応募しました。 桜も満開となろうとする季節は卒業や進学、就職、新年度で希望と不安を胸に張り巡らせている方も多くおられることと存じます。そんな新しい旅を目の前に船が出航するまで、出発してからの物語を音楽で描きました。 出航前の情景を描いた導入に続き、船乗りの踊りの笛、そしてその雄大な景色と情景、船乗りの踊り、主人公のモチーフがそれぞれ全体にちりばめられています。この作品が希望への応援歌となりますことを期待します。(船本孝宏)

 

荒井亮介:Migratory bird(ミグラトリー・バード)〈入選作品〉

[演奏形態]Fl/Pf
[グレード]3+
[演奏時間]5分10秒
[概要] 冒頭は、朝靄のかかる水面の穏やかな湖にて静かに出発の覚悟を決める渡り鳥を表し、そこから仲間との飛行、そして激しい嵐を乗り越え、終盤はまだ見ぬ景色へと力強く羽ばたいて行く様子を表現しました。 菅野力さんの透き通るよう音色と、豊かで余裕のある息遣いを活かすべく、歌うようなフレーズを随所に取り入れる事を意識し、一音一音の音価が長い旋律を入れて、力強い高音が響くようにイメージしました。アンサンブルの楽しさを味わえるよう、両パートのメロディの入れ替わりやリズムの噛み合い方等を工夫しています。(荒井亮介)

 

冨田一樹:カルミアの歌〈入選作品〉

[演奏形態]Fl/Pf
[グレード]5
[演奏時間]6分30秒
[概要]題名にあるカルミアは5~6月頃に咲く花で、紫陽花のように小さな花が集まっています。花言葉は「大きな希望」。
このカルミアは花の形状が五角形のように見えることから曲中に5拍子などの奇数の拍子を織り交ぜています。また、拍子感や調性感が曖昧で展開も忙しなく変わりますが、おおよそソナタ形式に沿っています。
この作品はフルート奏者菅野力氏のデビュー10周年を記念して企画された作曲公募のために書き、そのテーマが「旅立ち」や「希望」ということで、短三和音から始まり長三和音で終わる「暗から明」の手法を取り入れています。 伴奏のピアノはハープの書法を参考にしてより軽やかで浮遊感のある楽曲に仕上げました。(冨田一樹)

 

深渡瀬丈裕 :解纜の刻(かいらんのとき)〈入選作品〉

[演奏形態]Fl/Pf
[グレード]3+
[演奏時間]6分05秒
[概要]解纜(かいらん)と読みます。纜(ともづな=船尾にあって船を陸につなぎとめる綱)を解く、という意味です。かなり昔に書いたまま眠らせていた短い旋律があり、それをもとに作品を書き上げたいと以前からずっと頭の片隅で考えていたところ、この公募を目にし、この旋律の纜を解いてみようと、船出や出帆をイメージして作曲しました。 曲は、4つの場面からできています。
「祈り」:旅立つ者、見送る者、どちらも様々な想いを胸に祈り、歌う。
「憂い」:不安や躊躇いと共に、船は少しずつ進み始める。
「決意」:時には強引に迷いを振り払わねばならないこともあるだろう。
「勇気」:祈り、憂い、決意を勇気の糧として、希望を抱き突き進む。
新たな旅立ちには必ずと言って良い程に不安や迷いが付き纏います。この音楽が、旅立ちの心境に、また旅立ちを見送る人の想いに、ほんの少しでも寄り添うことができれば幸いです。(深渡瀬丈裕)

 

下記URLから菅野さん(Fl)・岩本果子さん(Pf)による演奏動画をご覧いただけます!
菅野力フルートリサイタル 2024|委嘱・公募作品9タイトル発売(フォスターミュージック) https://blog.fostermusic.jp/news-topics/18034 


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