知ろう、活かそう! 現代曲・特殊奏法 入門編
現代曲と、その中で使われる“特殊奏法”。「吹けたらかっこいいけど演奏するのは自分には無理」……そんなふうに思っていませんか? 今回は、それらをもっと知って楽しむことから始めよう!というコンセプトで企画した特集です。クラシック曲では通常使われない“特殊奏法”ですが、アンブシュアを柔軟にしたり演奏の幅を広げたり、フルートのスキルアップに大いに役立ちます。
現代曲、そしてその中で使われる“特殊奏法”。難解で、ちょっと特殊なジャンルで、上級者でなければ使いこなせないテクニックが満載で……などのイメージを持っている人が多いかもしれません。また、“特殊奏法”というネーミングも手伝って、その名の通り特殊なレパートリーでしか使用しないものと見なされることもあります。
しかし、このジャンルに分類される音楽には、ひとつのイメージでは括れない多彩さがあります。そして、特殊奏法を練習することは、アンブシュアを柔軟にして演奏そのものの幅を広げ、もっと楽にフルートが吹けるようになることにもつながる—ということはあまり知られていないかもしれません。
THE FLUTE 143号の特集は、そんな、ちょっと敷居の高い印象がある現代曲や特殊奏法をもっと知って楽しもう、そして活用しよう! というコンセプトでお送りします。特殊で自分には縁がないものと思っていたら、もったいない!
プロ奏者の方々に訊いた練習方法や楽しみ方なども、大いに参考にしてください。
現代曲と“特殊奏法”
20世紀に入ると、これまでのクラシック音楽とは一線を画す技法が使われるようになり、音楽の様相もそれまでとは少々変化してきました。フルートの演奏においても、伝統的なクラシック音楽の中では使われないさまざまな技法や奏法が取り入れられるようになりました。そういった“特殊奏法”が使用されるような現代特有の音楽を、特に「現代曲」と呼ぶことがあります。
ただ、いわゆる「現代曲」の中にも“特殊奏法”が登場しないものもあり、またさまざまな奏法の中にも、けっして“特殊”とは言えなくなってきているものもあり、はっきりとした定義づけは難しい面もあります。そういった新しい音楽や奏法を整理しつつ、スペシャリストのお話も交えながら、現代曲や“特殊奏法”を皆さんにご紹介していきます。
みんなの声を集めました
現代曲 読者アンケート
読者の皆さんにとって、現代曲はどんなイメージ? どんな現代曲や特殊奏法にチャレンジしたい? ……などなど、アンケートを実施したところ、たくさんの方からご回答をいただきました。
「現代曲は好きですか?」という質問にはYes.72%、No.28%という結果になりました。また、Yesと答えた人でも「吹いてみたいけれど実はよくわからない」という意見があったり、逆にNoだけれど、やってみたい奏法や吹いてみたい曲を挙げてくれている人など、やはり一筋縄ではいかないのがこのジャンル。“実体が摑みづらい、でも興味はある”というのが多くの皆さんの印象かもしれません。
「やってみたい特殊奏法は?」では“重音奏法” “循環呼吸” “フラッタータンギング”となりました。1位の“重音奏法”は誌面にて多久純一朗さんがご自身の楽譜を使ってレクチャーしてくれています!
また他にも、「吹いてみたい現代曲は?」や「現代奏法の演奏(練習)で 困っていることはありますか?」などの質問もご紹介。さらに、現代曲に対しての読者の皆様の声も載せています。ぜひ読んでみて下さい!
教えて!
現代曲の魅力 奏者アンケート
プロ奏者の皆さんは現代曲や特殊奏法をどんなふうに捉えたり、練習したりしているのでしょうか? 現在活躍中のプロに、ズバリ聞いてみました。いずれも、ステージや収録などで現代曲の演奏を披露することがある方々。好きなレパートリーや、自身が苦労したこと、練習のヒントとなるちょっとしたコツなどを教えていただきました!
Q 好きな(または得意な、よく演奏する)フルートの現代曲の曲目を教えてください。
Q いちばん苦労した現代曲の奏法は何ですか? また、どのように克服しましたか?
Q 現代曲を演奏するときのちょっとしたコツがあれば、教えてください。
Q 現代曲を吹きこなしたい!という読者へ、一言アドバイスをお願いします。
<ご協力いただいたプレイヤー>
井原和子/ウィル・オッフェルマンズ/梶原一紘/神田勇哉/久保 順/斎藤和志/清水理恵/立花千春
>> 次のページでは、「現代音楽」のジャンルで活動されている木ノ脇道元さんと多久潤一朗さんのインタビューや、フルートの演奏や研究をしている鈴木あやさんの特殊奏法の解説などの内容をご紹介!