リーフレック開発者 ハンス・カウト氏インタビュー
楽器に装着するだけで音の響きを増幅させるアイテムとして、現在話題沸騰中の「リーフレック」。その開発者であるハンス・カウト氏が、オランダより来日!開発の経緯やリーフレックの効果的な装着法などについて、お話を伺った。(取材協力:島村楽器)
楽器に装着するだけで音の響きを増幅させるアイテムとして、現在話題沸騰中の「リーフレック」。その開発者であるハンス・カウト氏が、オランダより来日!開発の経緯やリーフレックの効果的な装着法などについて、お話を伺った。(取材協力:島村楽器)
フルートを楽しんで吹く手助けにしてほしい
音程が不安定な管楽器
―ハンスさんは、プレイヤーでもあるそうですね。
H フルートとサックスを演奏します。大学でこの2つの楽器を専攻したのですが、ピアノや弦楽器、打楽器に比べると、音程が不安定な楽器なんだと気づきました。管楽器には、理想的な響きを得られる管の長さが決まってるのです。ただ、チューニングのために管を抜き差しして調節すると、音程を合わせるかわりに最も理想的な感の長さが損なわれてしまう。それが、不鮮明な響きを生んでしまうのです。
―なるほど、その問題を解消するためにリーフレックが誕生したのですね。
H もし理想的なフルートを作ろうとするならば、接続部分を一切作らずに、一つの管体だけで作るのがベストでしょう。頭部管、主管、足部管と分かれているのがうルートの構造ですから、多くの問題が発生します。フルートに息を吹き込むと風が渦になって流れていきますが、ジョイント部分で抵抗を起こすので、息のスピードを遅らせる要因になります。それによって倍音も損なわれるのです。こうしたフルートの構造の問題点に疑問を持ち、リーフレックを製作しました。
楽器本来の倍音を生かし、音程が改善する
―ジョイント部にリーフレックを装着することで、どんな効果が得られますか?
H まず、本来持っている倍音を生かすことができます。フルートの場合、頭部管のジョイント部で最初に響きが損なわれてしまいますが、リーフレックを付けることでバイパスの役割をします。息の流れが損なわれることなくジョイント部をスルーしていくので、倍音が損なわれません。それによって。管楽器のピッチが改善されるので、音程も安定します。 例えばオクターブの跳躍を吹くとき、正確な音にあてるためにアンブシュアで調節をすることがありますよね。リーフレックを装着すれば、その必要がなくなります。
―音程の改善は、特に初心者にとって大きな手助けになるのではないでしょうか。
H もちろん、音程が安定しないまま練習するより、最初から良い音を知って練習するほうが上達は早いでしょう。リーフレックは、フルートが難しいと悩む人たちの手助けになればいいと考えています。初心者や子どもたちにとっても、装着することで音を出すことのハードルが低くなり、練習が楽しくなる。挫折することなく、より多くの人が楽器を続けられるよう願いを込めています。
音が全方向に響き渡る
―その他にもリーフレックの効果はありますか?
H 音程が改善して、管全体が鳴ることによって360°全方向に音が届くようになります。音程が合っていなかったり倍音が少ないと、音は一方向にしか飛びません。
―プレイヤーから、広いホールで使うと後方にも音が飛び、反響板でさらに効果が実感できるとの声もありましたが、そういった原理があったのですね。
H その通りです。また、サラウンド効果だけでなく楽器のレスポンスが向上するため、スタッカートや速いパッセージの曲もスムーズに吹きやすくなります。
回りながらフルートを吹くハンス氏。リーフレックを付けた後は、確かに音が全方向に飛んでいることを体感できた。
pppからfffまでの差が明確に
―音量については、どのように改善されますか?
H フルートの風の流れは足部管の方向だけでなく、頭部管のほうへも流れてクラウンに当たって反射します。返ってきた風の流れが行きとぶつかって、パワーが逃げてしまうのです。そこで、頭部管のジョイント部に加えてクラウンにもリーフレックを付けると、反応が速くなり、反射した風と息が一緒に流れていきます。そうすると、シューという息の音もほとんど聞こえなくなって、音量がしっかり出せます。リーフレックの装着によってppp(パッサカリア)からfff(パッサカリア)までの差が明確になって、ダイナミックレンジの幅が広がるでしょう。
―この小さなリーフレックに、さまざまな効果があることがわかりました。
H 材質の違いで音色の変化を楽しめることもリーフレックの魅力です。しかしそもそもの開発目的は、フルートという楽器が持つ問題点を解決すること。そのために長年の試行錯誤を経ていまの形になりました。みなさんのフルートの楽しみ方を変えるツールとして役立ててほしいと願います。