フルート記事 ピッコロ奏者が教える「私の練習法」-フルートオンライン特別編-
  フルート記事 ピッコロ奏者が教える「私の練習法」-フルートオンライン特別編-
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THE FLUTE vol.160特集「上手くなりたい!ピッコロ」

ピッコロ奏者が教える「私の練習法」-フルートオンライン特別編-

LESSON

本誌の今号特集では、ピッコロについて “上手くなるためにやるべきこと” を掲載。オーケストラや吹奏楽、アンサンブルなどで素晴らしい音色を響かせているプロ奏者の皆さんに、自身が行なっている練習法や、生徒にアドバイスしていることなどについて教えてもらいました。高音の鳴らしにくさや、強弱のつけづらさ……など、皆さんがピッコロで悩みがちなテクニックの解決につながるヒントをたくさん掲載していますので、ぜひご一読ください。

本誌の今号特集では、ピッコロについて “上手くなるためにやるべきこと” を掲載。オーケストラや吹奏楽、アンサンブルなどで素晴らしい音色を響かせているプロ奏者の皆さんに、自身が行なっている練習法や、生徒にアドバイスしていることなどについて教えてもらいました。高音の鳴らしにくさや、強弱のつけづらさ……など、皆さんがピッコロで悩みがちなテクニックの解決につながるヒントをたくさん掲載していますので、ぜひご一読ください。


ここではスペシャルバージョンとして、誌面で紹介したものとは別の練習法を、数人のプロ奏者から特別に教えていただきました。いずれもピッコロコンクールで上位入賞を果たすなど、ピッコロのスペシャリストです。音階練習やタンギング練習をはじめ、上達のヒントが満載の練習法ですので、今日からでも取り入れてみてくださいね。

 

フルートとピッコロ、交互に持ち替えながら練習する
教えてくれた人:関 聡子さん

関聡子

 

フリーランスのフルート・ピッコロ奏者としてオーケストラ、室内楽、録音等で活動。2013、2014、2016年、ディズニーオンクラシック全国ツアー参加。東京藝術大学音楽学部附属音楽高等学校、東京藝術大学音楽学部を卒業。ウィーン国立音楽大学在学中、ピッコロに魅了されパリ地方音楽院に移り、Perfectionnement ピッコロ科、オーケストラ科のディプロマを取得。2013年に帰国。これまでに、フルートをハンスゲオルグ・シュマイザー、浅生典子、斎藤和志、中川昌巳、萩原貴子、金昌国、村上成美、ピッコロをナタリー・ロザ女史 に師事。フルートコンベンションコンクール、ピッコロ部門3位。ジューヌフルーティストコンクール、ピッコロ部門1位。
使用楽器:フォークト

基礎練習は、フルートとピッコロ、交互に持ち替えながら練習することをおススメします。
まずはロングトーンですが、これは本誌(vol.160)の記事を参考にしてください。ここでは、音階練習について説明しようと思います。

音階練習は運指のカタチを覚える近道。
調性それぞれの指のカタチを頭にイメージしながら、入れ替わる指を確認しながら、離すほうの指を特に意識しながらゆっくり動かしていきます。余裕が出てきたらその調性がもっている色彩やキャラクターを感じてみると、それぞれの調の違いが感じられるようになるでしょう。

毎日同じ練習をしていても飽きてきてしまうので、慣れてきたらこの音階練習を使って下記のように目的や意識を変えて練習していきます。

姿勢、指、フォームがきれいか?無駄な力みがないか?(鏡を見ながら)
舌の筋トレ (シングル、ダブル、トリプルタンギングなど)
アーティキレーション(アクセント、スタッカート、テヌートなど音の発音、立ち上がりなど、語彙を増やしていく)
上記のことを混ぜてリズム練習(付点、逆付点など)

基礎練習はメトロノームと練習するのがおすすめです。いまやっている曲に合わせて、苦手克服など目的を持って取り組むと、毎日新鮮な気持ちで基礎練習に向き合えます。

 

マルセル・モイーズの「ソノリテについて」を使用したタンギング練習!
教えてくれた人:畑野 美紀子さん

畑野美紀子

 

国立音楽大学器楽学科フルート専攻卒業。第14回、第15回フルートコンヴェンションピッコロ部門にそれぞれ入選。第17回同コンクール第2位入賞。これまでに、庄田晴美、宮本明恭、スタニスラフ・フィンダ、菅原潤の諸氏に師事。 使用楽器:ブラウン

フルートと同じくピッコロでも、タンギングはとても重要です。
タンギング練習に関する詳細は本誌に書きましたので、そちらを参照していただければと思います。

ここでは、マルセル・モイーズの「ソノリテについて」P15を参考にした譜例を使ったタンギングの練習法を紹介します。

 

譜例
 
 

 

*特にピッコロは、タンギングすると中音で割れてしまったりするケースが多いので、フルートよりさらに気を使ってデリケートに吹きましょう。

 

『Donna Lee』を使用したAny Keyの練習
教えてくれた人:山本 葵 さん

山本葵

 

東京藝術大学音楽学部器楽科フルート専攻卒業。同大学大学院音楽研究科修士課程フルート専攻修了。修了時に大学院アカンサス音楽賞を受賞、大学院第一種奨学金において「特に優れた業績による奨学金返還免除(全額免除)」を認定される。 在学中ティーチングアシスタントを務め、現在は東京藝術大学にて教育研究助手を務める。 第17回フルートコンヴェンションコンクール ピッコロ部門第1位。使用楽器:キーフ

ジャズのAny Key練習を、私はピッコロでよくやります。Any Keyとは、ある曲を全12の調性で演奏すること。趣味としてジャズフルートのレッスンに通っているのですが、ジャズで出される課題は調性感、和声感を養うのに非常に優れています。

今もよく使っているのが、チャーリー・パーカーの『Donna Lee』という曲です。

この曲を全調性で吹くのですが、最初は難しく、脳はフル回転です。難しければ、自分で移調して譜面に起こしても良いと思います。もちろん、ジャズにこだわらなくても良いのですが、この曲の良い点は、跳躍がたくさんあるので口周りの筋肉を鳴らすのに効果的ですし、広範囲の音域を網羅できます。

実際、コンクールの楽屋でも吹きました。本番直前は全部やっている時間はなかったので、これから演奏する曲に出てくる一番高い音から始まる調性と、中低音がしっかり鳴らせる調性を選んで音出しに使いました。ロングトーンなどの基礎練習ももちろん良いのですが、しっかり頭が働いている状態で練習ができるよう、新鮮なことを取り入れてみるのも良いのではないでしょうか。

 

<練習時に留意したいこと>
・ 細かい音、特に3連符が団子にならないように。各音がはっきり聞こえるようにしっかり捕まえて。
・もともと速いテンポで演奏される曲ですが、全ての音がしっかりポイントに当たっているか把握できるくらいのゆっくりなテンポで練習してくたざい。吹き飛ばす音が一つもないよう。
全部スラーで息の流れを確認してから、アーティキュレーションを付けてみる。
跳躍要チェック。(ラスト5小節3拍目、etc…)音がきれいに当たった状態で跳躍できた時の身体の感覚を忘れないようにしましょう。跳躍した先の音を当てることだけを考えずに、その前に身体がどういう過程を経てその音に辿り着くかを考える。

 

「 Donna Lee 」 

Donna Lee
 
 
Donna Lee

 

160号では19ページに渡ってピッコロを特集しています!

Contents
私の悩み解決法
今井はる恵さん(読者)が増本竜士さんからピッコロ専門のレッスンを受けて悩みを解決していきます。

楽器選びのための“ピッコロ学”
杉田楽器店 杉田昌弘さん

◆ ピッコロ奏者が教える「私の練習法」
満丸彬人/山本 葵/吉川真登/関 聡子/中島有子/畑野美紀子
[インタビュイーに聞く]
アレーナ・ルゴフキナ/上野星矢

◆ 名曲deピッコロレッスン by増本竜士
『ガヴォット』『白鳥』 

 

フルート奏者カバーストーリー