フルート記事 close up| 若林かをり 2年越しの集大成、そして新たなステージへ
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THE FLUTE 163号

close up| 若林かをり 2年越しの集大成、そして新たなステージへ

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現代の独奏曲作品を演奏する公演「フルーティッシモ!」を2015年に開始した若林かをりさん。そのうちイタリアの作曲家サルヴァトーレ・シャリーノの作品を取り上げた回で、平成29年度文化庁芸術祭賞新人賞を受賞した。小林さんに、2年越しで取り組んできた公演や、シャリーノ作品への思いなどを聞いた。また若林かをりさんから寄せられた「受賞のことば」を掲載する。

現代の独奏曲作品を演奏する公演「フルーティッシモ!」を2015年に開始した若林かをりさん。そのうちイタリアの作曲家サルヴァトーレ・シャリーノの作品を取り上げた回で、平成29年度文化庁芸術祭賞新人賞を受賞した。そんな若林さんを訪ね、2年越しで取り組んできた公演や、シャリーノ作品への思いなどを聞いた。ここでは、THE FLUTE本誌163号インタビューの一部を紹介し、また若林かをりさんから寄せられた「受賞のことば」を掲載する。(取材協力:文化庁芸術祭執行委員会)

“常識”を覆す現代音楽との出会い

――
このたびはおめでとうございます。「フルーティッシモ!」は2015年から2017年にかけて、東京オペラシティの中にある近江楽堂で行なったコンサートシリーズで、全5回とも無伴奏の現代曲作品を取り上げるという試みでしたね。今回受賞されたのはその中の第5回目公演で、オールシャリーノプログラムでした。
若林
ありがとうございます。昨年生誕70周年を迎えたサルヴァトーレ・シャリーノの、フルート独奏のための全12曲の作品集を、4月と10月、2回に分けて演奏しました。今回賞をいただいたのは10月の公演。シリーズ最終章だったので、この企画全体に込めた思いが通じた気がして嬉しかったですね。
――
シャリーノ作品は、特殊奏法を駆使したコンテンポラリーの最先端ともいうべき作品ですよね。メロディや調性を通じて表現する音楽ではない、独特の世界観を表現しています。
若林
そうですね。楽譜も無伴奏ソロなのに3段になっているものとか、実音以外の音や指示もいろいろ書かれていたり、まるで設計図のような趣です。「フルート独奏のための作品集」は、全12曲中、普通にフルートの音を出すところは1箇所しかないですし。
――
そういった音楽にいわばライフワークのような形で挑戦しようと思ったきっかけは、何だったのでしょうか?
若林
そもそものシャリーノ作品との出会いは、2004年のアルディッティ弦楽四重奏団の東京公演でした。

(この続きは、ぜひTHE FLUTE本誌163号にて、お読みください)

 

平成29年度文化庁芸術祭賞新人賞 受賞のことば

この度、文化庁芸術祭賞新人賞という、たいへん名誉な賞をいただきました事、誠に光栄に存じます。
私にとって特別な作品である、作曲家サルヴァトーレ・シャリーノのフルート独奏作品を取り上げた「フルーティッシモ!」の企画で、評価をいただけた事は感慨深く、改めてシャリーノの作品の魅力とその素晴らしさを感じています。
また、これまで「フルーティッシモ!」シリーズを応援くださっている多くの方々に今回の受賞のご報告ができる事をとても嬉しく思います。
 世界的にご活躍されている大先輩方がご受賞されているこの大きな賞の受賞者の末席に、自分の名前を連ねていただけることは、贈呈式を終えてもなお信じられない気持ちです。同時に、身が引き締まる思いもいたしております。
 今回の受賞を励みに、今後も更に精進して参る所存でございます。
最後に、文化庁芸術祭選考委員の先生方および関係者の皆様、そして、これまで「フルーティッシモ!」シリーズに関わってくださった全ての方々に、この場をお借りいたしまして、心より御礼を申し上げます。

文化庁芸術祭

文化庁芸術祭

文化庁芸術祭、授賞式と祝賀会の様子

プロフィール
若林 かをり
東京藝術大学卒業。ストラスブール音楽院、ルガーノ音楽院を修了。修了論文のテーマは『日本文化時間と空間の総括概念であるが、ヨーロッパの現代音楽にもたらした影響について』。現代音楽演奏コンクール競楽 Ⅹ”第二位。平成18年度 平和堂財団芸術奨励賞。平成27年度 滋賀県文化奨励賞。平成29年度 第72回 文化庁芸術祭賞新人賞(文部科学大臣賞) 受賞。NHK-FM「名曲リサイタル」出演をはじめ、国内外の音楽祭やコンサートで演奏活動を展開。平成29年度 文化庁新進芸術家海外研修員としてフランスでの芸術祭に参加・公演を行なう。リサイタルシリーズ「フルーティッシモ!」の活動は、ビルボード・ジャパンや、日経新聞電子版「ビジュアル音楽堂」、クラシック音楽情報誌「ぶらあぼ」などで取り上げられている。和歌山大学教育学部非常勤講師を経て、20184月より沖縄県立芸術大学助教。(公式サイト:http://basarachaosmos.wixsite.com/kaoriwakabayash)

Information

Cue

「7th ルシオール・アート・キッズフェスティバル」
【日時】5月13日(日)12:30〜13:00
【出演】若林かをり(フルート)、若林千春(ピアノ)
【会場】あまが池プラザ ※入場無料
〈プログラム〉ドビュッシー: シリンクス、「牧神の午後」への前奏曲、プーランク: フルートソナタ ほか
【問合せ】守山市民ホール Tel: 077-583-2532

「Cue meets Flute 〜featuring 間部令子&若林かをり〜」
【日時】5月19日 (土) 17:30開場/18:00開演
【出演】間部令子、若林かをり、梶原一紘、鈴木美良乃(以上、フルート) ほか
【会場】すみだトリフォニーホール 小ホール
【料金】前売: 2,500円/当日: 3,000円(全席自由・税込)
【チケット】カンフェティ、Facebook、ComposerGroupCueまで

「武生国際音楽祭2018」
【開催期間】9月9日(日)〜16日(日)
【会場】越前市文化会館 ほか
【問合せ】武生国際音楽祭推進会議事務局 Tel: 0778-23-5057

国立音楽大学 ワークショップ
「若林かをり: シャリーノのフルート作品における奏法について」
【日時】10月10日(水) 18:00〜19:30
【会場】国立音楽大学新1号館合唱スタジオ
※ 聴講無料 
聴講に関する問合せ: 川島素晴(授業担当者)
actionmusic@ktj.biglobe.ne.jp 090-2901-0481

「若林かをり フルーティッシモ!inすみだトリフォニー(仮)」
【日時】2019年2月1日(金)
【会場】すみだトリフォニーホール 小ホール
〈プログラム〉C.P.E.バッハ: ソナタ イ短調 Wq 132/H562、シャリーノ / J.S.バッハ: 「トッカータとフーガ ニ短調 BWV565、シャリーノ: フェニキアのイメージ、ライヒ: ヴァーモント カウンターポイント 他
【問合せ】すみだトリフォニーホール 03-5608-5400

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