【第9回】新・国産フルート物語 新天地がもたらした発想と技術力 —ミヤザワフルート
日本のフルートメーカーを丹念に取材し、トップメーカーから個人経営の工房まで、その黎明期から現代に至るまでの歴史と道のりをつぶさに書き連ねた貴重な書籍『国産フルート物語』。新たに取材を加え連載にする。
本誌THE FLUTE vol.166より新たに連載がはじまりました「新国産フルート物語」。THE FLUTE CLUB会員限定でオンラインでもご紹介します。
アルソ出版社内にたった1冊だけ残る、貴重な1冊
1998年に、アルソ出版より刊行された書籍『国産フルート物語』。 日本のフルートメーカーを丹念に取材し、トップメーカーから個人経営の工房まで、その黎明期から現代に至るまでの歴史と道のりをつぶさに書き連ねた貴重な記録だ。
当時から約20年が経ち、令和の時代を迎えた今、それらのメーカーや工房も代替わりなどが進み、様変わりしてきている現状がある。そんな現在の姿をあらためて伝えるべく、新たに取材を加えながらここに綴ってきた。
今回は、宮澤フルート製造株式会社社長・宮澤一成氏へのインタビューをお送りする。初代社長・宮澤正氏(現名誉会長)が、一代で築き上げたブランドを成長させるまでの足跡をたどった前回。その後、後継者となった一成氏が中心となり、どのように歩みを進めてきたのか─。2019年に創業50周年を迎えた同社の今後についても聞いた。
取材協力:宮澤フルート製造株式会社
第9回:新天地がもたらした発想と技術力 ─ミヤザワフルート
いち早く日本製の楽器をヨーロッパに輸出したミヤザワフルート。低価格で品質の高い楽器を提供できる確かな技術力のもと、再びその視野は世界に向けられている。東京オリンピックの年、昭和39年以降は、フルートメーカー業界にも大きな流れの新しい波が生じた時期であった。ムラマツフルートから三響フルートが、タネフルートから櫻井フルートが独立し、さらに新しくミヤザワフルートが誕生したのである。
宮澤フルート製造株式会社社長・宮澤一成氏
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