フルート記事 第31回 インタビュー編《フルートのいろいろな仕事》vol.4 黒田由樹
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THE FLUTE ONLINE 連載 「岩崎花保のハッピーフルートライフ」

第31回 インタビュー編《フルートのいろいろな仕事》vol.4 黒田由樹

ARTIST

みなさまこんにちは! フルート奏者の岩崎花保です。
フルートのいろいろな仕事について紹介するインタビューシリーズ、第4回目はミュージカルやスタジオ・ワークなど、多方面でご活躍されている黒田由樹さんにお話を伺いました。

幼少期のバレエ

岩崎
黒田さんは幼少期どんな習いごとをされていましたか?
黒田
ピアノ、バレエ、習字、水泳など、いろいろと経験をさせてもらいました。両親は、将来的に何か好きなものを見つけてもらえたら……と思っていたようです。
岩崎
自分がやってみたくてはじめた習いごとはありますか?
黒田
いつも姉のお稽古に母と同行していたので、その影響も強くあると思いますが、自分で習いたい!と思ったのはバレエです。2歳のときから「習わせて欲しい」と親にお願いをしていて、3歳から姉と一緒に習うことになりました。
岩崎
2歳で、ですか!? 自我が目覚めるのが早いですね。
黒田
やりたくて仕方がなかったことを強く覚えているので、よっぽど憧れていたんでしょうね。そこからはバレエ漬けの生活でした。
岩崎
あまり詳しく知らない私でも、バレエのお稽古は厳しいイメージがあります。
レッスンにはどのぐらいの頻度で通っていましたか?
黒田
発表会や公演前は週に5日レッスンでした。普段も放課後に友達と遊ぶ時間はなかったですね。
日々の長時間練習で股関節脱臼が癖になってしまい、整体に行っても「辞めない限り治らない」と言われるほどでした。
岩崎
てっきりもっと早くからフルートを吹かれているものだと思っていました。幼少期はバレリーナを目指されていたんですね。
黒田
はい。でも、中学2年生のときに「自分は向いていない」と思ってしまって、辞めてしまいました。
岩崎
そんなに頑張っていたのに、なぜでしょう?
黒田
バレエは体を使った芸術なので、努力ではどうにもならない身体的な素質が如実に影響します。小学校低学年までは、頑張れば主役になれたとしても、年齢を重ねるごとにそうはいかなくなってくるのです。
当時私が所属していたバレエスクールは、全国大会で優勝するような人がたくさん所属しているような教室だったということもあり、周りの人と自分を比べて「このままではバレリーナになれない」と確信してしまいました。
岩崎
努力でどうにもならない部分を比べてしまうのは精神的に辛いですね。多感な中学生だと余計に……。
黒田
今振り返ってみると、極端な考え方だったかなぁ……とも思います。
もしかしたら別の場所で、もっと楽しく踊りを続けるという選択肢もあったのかもしれません。
ですが、当時の私は夢だったバレリーナの道が途絶えてしまい、人生もう終わりだ!ぐらいに思っていました。
本当になんのやる気も出なくなり、学校にも行けなくなってしまいました。

フルートとの出会い

岩崎
それだけ本気だったということですよね。プロになるというのは厳しい道のりだなぁと改めて感じました。
それにしても、ご家族はさぞかし心配されたでしょうね。
黒田
母が、「このままでは引きこもりになってしまうかもしれない……」と思ったようで、この子が夢中になれる何かを早く与えなきゃ!と考えた結果、見つけてきてくれたのがフルートだったんです。
岩崎
ここでフルートが登場するんですね!
黒田
母がピアノの先生だったということもあり、音楽の習いごとを探してくれました。
最初は腕が長いからハープはどうだろう?と思ったようですが、近所にハープの先生が見つからずに断念。近所に習えそうな楽器の先生はいないものかと再度探していたところ、家の近くにフルートの先生がいることを発見し、即電話をかけてレッスンに行くことになりました。
岩崎
急展開ですね……!
黒田
やりたいとかやりたくないとか、そういうことを考える暇もなく急にレッスンがはじまりました。
しかもその先生というのが、普段初心者を教えている街のフルートの先生ではなく、大学の教授をされている方でして……。最初から大量の宿題が出て、必死にこなしている間に時間が過ぎていきました。

▶︎インタビューは、2ページ目に続きます


黒田由樹 Yuki Kuroda

黒田由樹
黒田由樹

3歳からピアノ、14歳からフルートを始める。
京都市立芸術大学卒業。テレマン室内管弦楽団首席奏者を務めた後、東京藝術大学大学院修士課程を修了。伊藤公一、白石孝子、パウル・マイゼン氏に師事。
日本フルートコンベンションコンクールソロ部門、宝塚ベガ音楽コンクール、全日本学生音楽コンクール等の国内主要コンクールにて入賞。ザルツブルグ夏期国際音楽アカデミーやニース夏季国際アカデミーなどに参加し研鑽を積む。
これまでにフィリップ・ベルノルド、エマニュエル・パユ、マクサンス・ラリュー、マルティン・コフラー、レイモンド・ギヨー等の各氏に師事し、ヨーロッパ各地で演奏活動を行う。
クラシックで鍛えた抜群の技量に加え、ジャンルを超えた新鮮な感受性によるアプローチでスタジオ・ワークなどで活躍の分野を広げている。国内の主要オーケストラを始め、ミュージカル、バレエ、映画、ドラマなどの分野で活躍する他、「Halocline」のメンバーとしてCD2枚をリリース。
姉であるピアニスト黒田亜樹とのデュオは新鮮な感覚と闊達な技巧でフルート界の新しいエンターテインメントを構築している。
2021年、ファースト・アルバム、CD「Super Gershwin」(ピアノ:黒田亜樹)をリリース。

 

黒田さん出演のコンサート

Flute Summer Concert
Flute Summer Concert

Flute Summer Concert
[日時]7/8(金) 18:00開場 19:00開演
[会場]岡山シンフォニーホール(イベントホール)(岡山)
[出演]黒田由樹(Fl)、黒田亜樹(Pf) 他
[曲目]ガーシュイン:I got rhythm、It ain't necessarily so 他
[料金]前売¥2,000 当日¥2,500 高校生以下¥1,000
[問合せ]Flute Summer Concert実行委員会 musicloverokayama2021@gmail.com

 
心はずむ名曲の花束
心はずむ名曲の花束

黒田由樹&黒田亜樹 心はずむ名曲の花束
[日時]7/9(土) 13:15開場 14:00開演
[会場]スターピアくだまつ大ホール(山口)
[出演]黒田由樹(Fl)、黒田亜樹(Pf)
[料金]スターピア会員無料(要招待券) 一般¥3,000(全席自由)
[問合せ]スターピアくだまつ 0833-41-6800

 

岩崎花保 Kaho Iwasaki

岩崎花保
岩崎花保

愛知県豊田市出身。
第15回日本クラシック音楽コンクール中学校の部全国大会第1位。
第61回全日本学生音楽コンクール高校の部全国大会第1位。
第13回万里の長城杯国際音楽コンクール管楽器部門第1位をはじめ、様々なコンクールで入賞。
2012年豊田市文化振興財団より文化新人賞受賞。
小澤征爾音楽塾、浜松国際管楽器アカデミー、ロームミュージックファンデーション音楽セミナーに参加。
NHKのクラシック音楽番組「ららら♪クラシック」や「スコラ」などに賛助出演し、人材派遣の協力もしている。
学生時代から古楽の世界にも興味を持ち、トラヴェルソ奏者としても活動しているほか、朝♪クラ音楽ディレクター、コラムライター、コンサートの企画運営など、演奏以外の仕事もボーダーレスに行っている。
東京藝術大学音楽学部附属音楽高等学校、東京藝術大学を卒業。
同大学大学院音楽研究科修士課程器楽専攻を修了。
2019年より東京藝術大学管打楽科の非常勤講師として藝大ウィンドオーケストラの授業を担当している。

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登場するアーティスト

黒田由樹
Yuki Kuroda

京都市立芸術大学卒業。テレマン室内管弦楽団首席奏者を務めた後、東京藝術大学大学院修士課程を修了。
クラシックで鍛えた抜群の技量に加え、ジャンルを超えた新鮮な感受性によるアプローチでスタジオ・ワークなどで活躍の分野を広げている。国内の主要オーケストラを始め、ミュージカル、バレエ、映画、ドラマなどの分野で活躍する他、「Halocline」のメンバーとしてCD2枚をリリース。
姉であるピアニスト黒田亜樹とのデュオは新鮮な感覚と闊達な技巧でフルート界の新しいエンターテインメントを構築している。
2021年、ファースト・アルバム、CD「Super Gershwin」(ピアノ:黒田亜樹)をリリース。

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