第2回 | 『ソナタ Op.49-2 ト長調』よりAllegro non troppo
ピアノの「ソナチネアルバム」より編曲した曲を練習してく「録ってもデュエッツ」第2シーズン。
収録曲は古典派の作品を多く収め、練習過程で自然とその音楽のニュアンスを取り入れられるようになっています。そんなピアノの良い例にならって、フルートでもそれらの曲を練習していきたいと思います。
レッスン動画を参考に、 “自分とデュエット”しながら上達を目指す「録ってもデュエッツ」!!
ピアノの「ソナチネアルバム」より編曲した曲を練習してく「録ってもデュエッツ」第2シーズン。
収録曲は古典派の作品を多く収め、練習過程で自然とその音楽のニュアンスを取り入れられるようになっています。そんなピアノの良い例にならって、フルートでもそれらの曲を練習していきたいと思います。
ONLINEだけの"とってもコラム"も毎回更新します。動画と一緒にお楽しみください♪
『ソナタ Op.49-2 ト長調』よりAllegro non troppo
M.クレメンティの『ソナチネ Op.36-1』は、ソナチネアルバムに進む過程で初期に練習する曲です。シンプルな構成の中に音楽の基礎がキュッと詰まっている一曲です。
Lesson
参考演奏
演奏:齋藤寛
「音楽はドラマ仕立てにすると面白い」
私は勢いよく窓を押し上げました。
眩しい光で一瞬視界が白くなりましたが、すぐに目は慣れて爽やかな緑が飛び込んできます。なんてやわらかな光!
もう一つの一回り大きな窓を窓を押し上げ、外に身を乗り出しました。
視界が一気に広がります。庭の花壇には蝶々が舞い、遠くの木々からは鳥の囀りが歌のように聞こえてきます!
頬に幸せな空気を感じながら思います。今日は晴れて本当によかった!!
大きく深呼吸して、ふと時計を見ます。
「いっけない、もうこんな時間!早く準備して出かけましょう!」
今日はかねてから楽しみにしていたピクニックの日なのです。
タンスの引き出しから服を出しては、
「これがいいかしら?こっちがいいかしら?」
鏡の前で慌ただしく合わせてみます。もうこれに決めました。
着替えもそこそこに、はやる気持ちが抑えられません。もう一度持ち物の確認もしないと……よし、大丈夫!
「そうだ!お弁当がまだだったわ」
思わず声を上げてしまいます。
スタスタとキッチンへ向かうと、今日のために特別に準備したサンドウィッチを鼻歌を歌いながらバスケットに詰めます。
「お父様は起きてらっしゃるかしら?」
ドタドタと階段を駆け上がりながらお父様のお部屋を目指します。
「お父様!そろそろ時間ですわよ」
コンコンとドアをノック。ちょうど準備を終えられたお父様が中からお出でになります。トレンチコートが今日もお似合いです。
「ハハ、そんなに急くでないよ」
「だって嬉しいんですもの!早く参りましょう!」
私は、お父様の手をとって階段を下ります。
いつもは踏み外さないようにと思っていますが、気持ちが先立ってしまいました。転がるように階段を駆け下ります。
「おっと、危ないじゃないか。大丈夫かい?」
お父様は優しく手を引いて、つまずきそうな態勢を整えてくださいました。
「さあ行きましょう!今日は素敵なピクニック日和ですわ!」
玄関の扉を開けると、陽の光は二人を歓迎するように包むのです。
◆ ◆ ◆
今回の課題曲に”勝手に”Storyを考えました。
音楽を学問として、楽典的に解釈していくのも一つの大切な道。ですが、どのようなストーリーでも構いませんが、こんなふうにドラマ仕立てにしてみると、自分なりに音楽を表現するヒントになると思います。
想像力を膨らませて、一歩音楽の中に踏み込んでみましょう!
齋藤 寛 (さいとう・かん)
東京芸術大学卒業。フルート奏者、作編曲家。2011-2014年ザルツブルクモーツァルテウム音楽院マスタークラスにてP.L.グラーフ氏に師事。京都フランスアカデミーおよびパリにて室内楽をクリスチャン・イヴァルディ氏に師事。2013年「あまちゃんスペシャルビッグバンド」参加。フルート四重奏「宵待小町」主宰。主な著作「フルートデュオ名曲集25」、「ディズニーソング・デュエットコレクション」、「ジブリメロディー集」等。