フルート記事 石井希衣の教えて!コンテスタント 第1回|瀧本実里
[1ページ目│記事トップ
THE FLUTE ONLINE 連載

石井希衣の教えて!コンテスタント 第1回|瀧本実里

ARTIST

この連載では、フルート奏者の石井希衣さんが、コンクールで名を馳せているあんな人から、アンチコンクールの人(!?)、審査員の方など、コンクールに関わる人物にインタビューをしていきます。

石井希衣

みなさん初めまして!
フルーティストの石井希衣と申します。私は今、東京藝大の別科で勉学に励む日々を過ごしています。

さて。これからのコンクールシーズン、みなさんはどんなお気持ちでお過ごしですか?やる気で満ち溢れた人もいれば、不安でいっぱい?それとも中々練習が捗らないとか……(笑)

このインタビューは、フルートを吹いている人なら気になって仕方ないであろうコンクール事情をいろんな視点から探ってみる企画です。誰かの味方になったり、誰かの励みになるような記事にできたらなあ、と思っています。

コンクールで名を馳せているあんな人から、アンチコンクール(笑!!)の人まで、そしていずれは審査員の先生方にも……その都度お相手に合わせた質問をしてどんどん掘り下げていきたいと思います。

「この人の話を聞いてみたい!」「こんな質問してほしい!」というみなさまの声にも答えていきたいなと思っておりますので、どしどしコメント等お待ちしております!

第1回 インタビュー 滝本実里さん

2ショット

今回は、瀧本実里さんをお招きしました。みなさんご存知の通り、数々のコンクールで1位を穫り注目を浴びている彼女。プロフィールにたった一行書いてある素晴らしいコンクール歴にも、「もう赤字ですよ!」と一言。楽しくあっという間の時間でした。

8歳から小学校にある吹奏楽のクラブでフルートを始めて、コンクールも受けていたという瀧本さん。高校は進学コースで7限まであるという高校生活を過ごし、音大受験を決めたのは高校3年生の夏のことだそう。

 

数々のコンクールで1位を穫り注目を浴びている 瀧本実里

石井
大学生になってから一番最初に受けたコンクールはいつですか?
瀧本
大学1年生の時に仙台フルートコンクールを受けたのですが、一般部門は初めてでよくわからず受けて……そのときは1次で落ち、次の年にもう一回受けたのですが緊張したのかまた1次がうまくいかず、他にも三田のコンクールを受けていたのですが本選に行けなくて。三田のコンクールのとき、かなり本気で準備して行ったんです。たくさん練習して。この頃は結構悔しい思いをしました。
石井
その次の年の仙台フルートコンクールで1位!なるほど、三田での悔しさが仙台に繋がったのか……
瀧本
そうですね。三田で本選に行けなかったとき、当時中学生だったかな、1位を獲った脇坂颯ちゃんが全部暗譜で演奏していて「それくらいやっていかないといけないんだなあ」と感じて。2回も1次で落ちていたので、これでとれなかったらフルート続けるか考えた方がいいなって。3回目の仙台のコンクールは全部暗譜で挑みました。初めて練習した曲を全部本番で演奏できたので嬉しかったです。
石井
そこからびわ湖のコンクールと……今回実里ちゃんにインタビューを決めた理由があるのですが、びわ湖で2回入選しているのに、翌年も受けて1位を穫ったということを知って……
瀧本
はい、この時初めてびわ湖を受けたのですが、3次予選が割とうまく行ったなと思っていたので、「何か足りなかったなあ」と。そこでショックを受けて。びわ湖を見に行ったりしました(笑)。
石井
びわ湖!? 散歩したの?
瀧本
はい、海みたいでした(笑)。
石井
(笑)でもその年に日本音楽コンクールで3位……!
瀧本
綱渡りでしたね。曲数も多かったですし。終わったらげっそり……笑
石井
そして、その翌年から2年連続でびわ湖入選になるわけだけど……ちなみに、この年にコンヴェンションで1位とってるけど、びわ湖はもういいや!ってならなかったの?
瀧本
びわ湖はびわ湖、なんです(笑)。もういっか!とはならなくって、割としぶといタイプです。
石井
負けず嫌い!?
瀧本
そうなのかな……?
石井
そうよ(笑)! でも、2回目入選だったとき、さすがにショックじゃなかった?
瀧本
そうですね……入賞はしたいと思っていました。ここで諦めたら終わりだな、と。最後は心が折れそうになりながら受けました(笑)。
石井
なるほど。3回目の本選、とても大きなプレッシャーがあったと思うのだけど、怖くなかった? 本選さえも行けなかったらどうしよう、って。
瀧本
毎回思います。なにが起こるかわからないし。本番中に楽器が折れるかもしれないし、動かなくなるかもしれないし……楽譜が落ちるかもしれないし……とか思います(笑)。
石井
そのプレッシャーを乗り越えて、今年のびわ湖で1位!どうだった?
瀧本
やっぱり1位は嬉しいですね。でもほっとしました(笑)。よかった!って。
石井
瀧本さんのしぶとさと努力の結晶……頭が上がりません(笑)。

コンクール紹介

・仙台フルートコンクール
(http://www.s-musicplaza.com/concouru.html)

・びわ湖国際フルートコンクール
(http://www.city.takashima.lg.jp/www/contents/1462330330717/index.html)

 

Q&A 瀧本さんに聞いてみた!

さて、ここからはQ&Aコーナーです。

瀧本実里

Q. コンクールのときの選曲は挑戦派?それとも得意なものを選ぶ派?
A. 得意な曲を選びたいと思っていますね。でもどうしても好きな曲はあんまり得意じゃなくても入れちゃうかも……(笑)。

Q. コンクールとコンサートの違いって感じる?
A. コンサートのほうが、お金を払って聴いていただいていているので、ドキドキは大きめですね。そういう意味ではコンクールは自分のためという部分もあるので……でも両方緊張はします。

Q. 瀧本さんといえば、ミスしないイメージです。なんでそんなにミスしないの(笑)?
A. もちろんします(笑)!が、音楽的にしていいかはわかりませんが、指がぐちゃってなりそうなポイント、もしくは音を見つけて、そこで指を分けて練習する、みたいなことはします。練習中もそうですが、本番中も意識したりします。楽譜に丸つけておいて。

Q. 今日は練習しないといけないのにやる気が出ない、とかそういうことってありますか?
A. あります。めっちゃあります!そんなことばっかりです。そういうときはとりあえず楽器を組み立てておいて、置いておきます。吹けるようになったら吹く、みたいな。高校のときの勉強と一緒で、とりあえず開いておく……っていう(笑)。

Q. 練習に行き詰まったりしたときはどうする?
A. やる気が出ないときは、とにかく曲を最後まで通してみます。できないところが必ず見つかるので練習に繋がります。

Q.コンクールに特化した練習ってしていますか?
A. 通しの練習はしていました。「吹ききる体力がないね」と言われていて、昔は筋トレのように通しの練習をしていました(笑)。それと、1次から本選までの曲を1日1回は触るようにしています。やはり指が忘れていってしまうので……。

Q.どんなことを意識して演奏していますか?
A. 音色のことは大切にしています。曲やそのときの雰囲気に合わせた音色が作れるようになりたいと思っています。

Q. 願掛けはする?
A. 舞台袖でジャンプしたり(笑)。薬指を押すと心臓にちょっと刺激がいくらしく、緊張にいいとテレビでやっていたので、小学生の頃からいつもやっています。

Q.コンクール好き?嫌い?
A. 人に聴いてもらえる機会があまりないので、審査員の先生方に講評をいただければ、普段の先生とは違う視点からのご意見をいただけて自分の演奏の幅を広げることにもなると思います。そういう意味では、好きです!

Q.コンクールを受けて良かったこと
A. 何曲かを集中して練習したり勉強したりすることでしょうか。本番までの期限が決まっていますし、必然的に練習するので(笑)。コンクールにもよりますが、いろいろな場所の大きなホールで吹く機会は自分ではなかなか用意することが難しいので、それも貴重な機会として経験値になっていると思います。

Q.コンクールをこれから受ける人に、メッセージを!
A. 本番中もし失敗した……!と思っても自分で思っているほどのミスになっていこともありますし、先生にもよく言われていることなのですが、最後の音を吹き切るまで諦めないで演奏するように心掛けて演奏しています。これから受ける人も、最後の最後まで音楽に没頭して演奏して欲しいと思います。一緒に頑張りましょう!

 

Profile
瀧本実里
瀧本実里
Misato Takimoto
1994年生まれ、栃木県出身。8歳で小学校の吹奏楽部に入部しフルートを始める。これまでに、坂本しのぶ氏、工藤重典氏に師事。第11回仙台フルートコンクール第1位。第32回かながわ音楽コンクールフルート部門一般の部特選。第85回日本音楽コンクールフルート部門第3位。第22,23回びわ湖国際フルートコンクール一般部門入選。第18回日本フルートコンヴェンションコンクールフルート・ソロ部門第1位及び吉田雅夫賞。第5回三田ユネスコフルートコンクール第1位及び三田市長賞。第23回びわ湖国際フルートコンクール一般部門入選。第35回日本管打楽器コンクール フルート部門 第3位。つくばフルートコンクール2018 第2位。第24回びわ湖フルートコンクール第1位。2018年度ロームミュージックファンデーション奨学生。
石井希衣
石井希衣
Kie Ishii
福岡県出身。都築学園福岡第一高等学校音楽科卒業。桐朋学園芸術短期大学芸術科音楽専攻を経て、専攻科音楽専攻を第一位で修了。桐朋オーケストラアカデミーにて研鑽を積む。東京藝術大学別科在学中。第40回フルート協会主催デビューリサイタル出演。第52回北九州芸術祭クラシックコンサートグランプリ、県知事賞を受賞。フランス各地で行われたユーロ・ジャパン・ミュージックフェスティバルにて招待演奏を行う。小澤征爾音楽塾オペラ・プロジェクトXⅣに参加。第62回全日本学生音楽コンクール福岡大会奨励賞受賞。第25回日本木管コンクールフルート部門入選。第18回日本フルートコンヴェンションコンクールソロ部門第3位。2018年、つくばフルートコンクール2018一般部門第1位、中野雄&若林暢賞、戸部謹爾賞を受賞。これまでにフルートを梶原里美、宗美沙子、野口龍、高木綾子の各氏に、フラウト・トラヴェルソを菊池香苗氏に師事。

次回更新もお楽しみに!

ご意見はザ・フルートの公式SNSのダイレクトメッセージ、またはアルソ出版のお問い合わせアドレスまでお送りくださいませ。
facebook Twitter mail

[CLUB MEMBER ACCESS]

この記事の続きはCLUB会員限定です。
メンバーの方はログインしてください。
有料会員になるとすべてお読みいただけます。


フルート奏者カバーストーリー