フルート記事 石井希衣の教えて!コンテスタント 第6回|八木瑛子
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THE FLUTE ONLINE 連載

石井希衣の教えて!コンテスタント 第6回|八木瑛子

ARTIST

今話題のフルーティストにお話を聞き、コンクールをいろいろな視点から探ってみよう!という企画、第6弾。今回のゲストは、八木瑛子さんです。東京交響楽団の研究員として大活躍している八木さんから見る、「コンクール」とは?

みなさん、こんにちは!フルーティストの石井希衣と申します。
さて、今話題のフルーティストから、コンクール事情をいろいろな視点から探ってみよう!という企画、第6弾! 今回のゲストは、八木瑛子さんです。皆さんご存じの通り、様々なコンクールで優勝、入賞を果たし、今は東京交響楽団の研究員として大活躍している彼女ですが、実は私が福岡にいた頃(高校生)八木さん(中学生)も福岡にいて、同じ門下だったのです。
中学生でこんなに吹ける子がいるとは、世も末だ……なんて思っていましたが、昔からとても音楽的な演奏をするのは今も変わらず、私の尊敬するフルーティストのひとりです。
音楽は、「音」を「楽しむ」と書きますが、いつのまにかすっかり忘れて必死にフルートの練習ばかりをガツガツやってしまいがちなコンクール。それをハッ!と思い出させてくれるようなインタビューです。

幼少期からピアノを習っていたという八木さん。けれどなかなか好きになれず……他の楽器を、とフルートを始めたのは、9歳のとき。
八木さんの出身は徳島県。その後鳥取に引っ越し、その後大阪へ。フルートを始めたのは千葉県の松戸で小学校3年生のとき。そう、八木さんは転勤族で小学校はなんと6回も変わっていたそう!

第6回 インタビュー 八木瑛子さん

コフラー氏と
ザルツブルグ留学時代、恩師ミヒャエル・マルティン・コフラー氏(右)と
 
石井
毎年転勤する中でフルートを習い続けたってすごいね。
八木
そのおかげもあるのかわからないけど、人見知りも全くせずどこでも寝られるし何でも食べられる性格です(笑)。松戸にいた約半年間は、甲藤さち先生に手ほどきを受けました。その後、北海道で阿部博光先生、鹿児島で浅生典子先生、福岡で疋田美沙子先生と大村友樹先生に教えていただきました。
小学校5年生から中学生までは福岡にいたので、小学校5年生の夏に学生音コンのチケットをもらって、希衣ちゃんや満丸くん(当時高校3年生)の演奏を聴いていたんだよ(笑)。
石井
ええ!! 知らなかった(笑)! 始めた頃から素晴らしい先生方に習っていたのね。
八木
コンクールは小学4年生の時にクラシック音楽コンクールを受けたのだけど、前年度の優勝者が新村理々愛さんで。同い年にすごい子がいるんだな、と思ったのを覚えています。学生音コンは2回受けて、中学2年の時に結果を見たとき自分の名前があるとは思わず、びっくりしたのを覚えています。
石井
そうだったね!福岡のグランプリコンサートでサンカンのソナチネを吹いていたよね。素晴らしい演奏で、これが中学2年生だと思うと恐ろしかった(笑)。芸高(東京藝術大学附属高校)進学を機に関東に引っ越したのね。
八木
関東に引っ越してからは、東京に慣れず満員電車に疲れてしまって、上野に着いて吐いたことがあるんです……(笑)。
芸高は刺激が強すぎる毎日でしたが、とっても楽しくて。今まで吹奏楽部にも入っていなかったので、一緒に頑張れる同い年のフルートの子がいるのがとても嬉しかったです。ピアノや弦楽器にも優秀な子がたくさんいて、みんな「遊ぶときは遊ぶ」「練習するときは練習する」みたいに音楽への切り替えがとても上手で良い刺激をもらいました。
石井
東京に来たばかりの高校生が毎日満員電車は辛いね……。フルートだけでなく、いろんな楽器の人に触れ合えるのは学校生活が充実して良いね! 高校生の頃もコンクールは受けましたか?
八木
高校1年生の時に学生音コンを受けて、1次予選で駄目で凄く落ち込んだのを覚えてます。演奏の出来がよくなかったのはわかっていたけど、結果が顕著に出て悔しかった。福岡とはまた受ける人数やレベルが全然違ったのにも驚きました。高校1年生の頃は悶々としながら過ごしてたかも……。
石井
高校2年生でリベンジするわけですね。
八木
その時、東京大会で1位になったのだけど、全国大会では3位でそれも悔しかった……。その後、高校3年生で管打楽器コンクールを受けました。
石井
わー!思い出した。昭和音大での開催だったね。大学生に混じってひとりだけ高校生で、尾高のコンチェルトを可愛いワンピースを着て吹いてた(笑)!
八木
そうそう(笑)初めての一般部門は参加人数も違うし、準備する曲数も高校生にとっては多かったです。一次も二次もそこまで緊張しなかったけれど、本選前にお腹が痛くなってトイレに行ったのは覚えています(笑)。結果は、入選かぁ……とは思ったけれど、楽しく演奏できたのは覚えています。多分、私はコンクールに対して1位を絶対に獲りたい!って思わないのかも。良いのか悪いのかわからないけれど欲がないので、進めればラッキー!くらいに思っています。だから自分が本選に進めると思ってなくて、曲を準備していないことも……(笑)。
石井
私も同じタイプだ……(笑)。その後は芸大に進学したのね。

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・インタビュー
・Q&A 八木さんに聞いてみた!

Profile
多久和怜子
八木瑛子
Eiko Yagi
1994年生まれ。東京藝術大学音楽学部附属音楽高等学校を経て、東京藝術大学音楽学部を首席で卒業。在学中に安宅賞、卒業時にアカンサス賞、三菱地所賞を受賞。第25回 日本木管コンクール 第1位、保科賞。第32回日本管打楽器コンクール 第3位。第85回日本音楽コンクール第2位。第17回東京音楽コンクール第2位。2013年度(財)ヤマハ音楽振興会音楽支援奨学生。2016年度青山財団奨学生、明治安田クオリティオブライフ文化財団音楽奨学生。2018年度より公益財団法人ロームミュージックファンデーション奨学生。これまでに甲藤さち、阿部博光、浅生典子、疋田美沙子、大村友樹、斎藤和志、大平記子、細川順三、高木綾子の各氏に師事。2014年、ヴィルクローズ国際音楽アカデミーにてジャック・ズーン氏に師事。2016年秋より、ザルツブルグ・モーツァルテウム大学にてミヒャエル・マルティン・コフラー氏のクラスに留学中。2018年よりドイチェ・ユンゲ・フィルハーモニー管弦楽団団員。2019年10月より東京交響楽団研究員。
石井希衣
石井希衣
Kie Ishii
福岡県出身。都築学園福岡第一高等学校音楽科卒業。桐朋学園芸術短期大学芸術科音楽専攻を経て、専攻科音楽専攻を第一位で修了。桐朋オーケストラアカデミー研修過程修了。東京藝術大学別科在学中。 これまでにフルートを梶原里美、宗美沙子、野口龍、高木綾子の各氏に、フラウト・トラヴェルソを菊池香苗氏に師事する。 第52回北九州芸術祭クラシックコンサート全部門グランプリ、県知事賞を受賞。第62回全日本学生音楽コンクール福岡大会奨励賞受賞。第25回日本木管コンクールフルート部門入選。つくばフルートコンクール2018 一般部門第1位と中野雄&若林暢賞、戸部謹爾賞を併せて受賞。 第19回日本フルートコンヴェンション in福岡 コンクールソロ部門第1位、吉田雅夫賞受賞。第88回 日本音楽コンクール フルート部門第2位。

次回更新もお楽しみに!

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