フルート記事 石井希衣の教えて!コンテスタント 第12回|小山裕幾
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THE FLUTE ONLINE 連載

石井希衣の教えて!コンテスタント 第12回|小山裕幾

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「神戸国際フルートコンクール特集」

2021年3月に行なわれる神戸国際フルートコンクールに向けて、神戸国際フルートコンクール受賞者の皆さんにインタビューをしております。
第12回のゲストは、第6回神戸国際フルートコンクールにて日本人で初めて第1位を受賞をされた、小山裕幾さんです!
他にも数々のコンクールで優勝されていることは皆さんもご存じかと思いますが、石井は今回のインタビューで小山さんの強さの源を垣間見ることができました(笑)。
今回も出し惜しみしたい内容で溢れております。ぜひ最後までお楽しみくださいませ!

石井
フルートを始めたのはいつ頃ですか?
小山
元々母からピアノを習っていたのですが、母が忙しくなったので持ち運びできる楽器をということで6歳くらいからフルートを始めました。たまたま近所に堀井恵先生がいらして(新潟県長岡市)僕の祖母と先生のお母様がお友だちだったというご縁もあり、先生のところでフルートを習い始めました。
石井
中学生から吹き始める人が多い気がしますが、6歳からとは驚きです……! 小山さんはどんな小学生でしたか?
小山
同い年でフルートをやってる人があまりいないので、高校までは暫くフルートの知り合いもおらず、あまり面白くなかったですね(笑)。サッカーもやっていたので、フルートの練習のためにサッカーの練習を減らさないといけないのが嫌でしたが、今思えば良かったなと思います。
石井
小山さんは小学生の頃からたくさんのコンクールを受けていらっしゃるようですが、中でも印象に残っているコンクールはありますか?
小山
高校1年生のときの全日本学生音楽コンクールですね。モーツァルトの『フルート協奏曲』を本選で演奏したのですが、高校生にモーツァルトは難しいなと思いました。あとはやはり神戸国際フルートコンクールは辛かった思い出があります。
石井
モーツァルトはいつまでたっても難しいですよね(笑)。神戸国際フルートコンクールは具体的にどのようなしんどさがありましたか?
小山
精神を削った感じがしましたね。現代曲以外は暗譜で演奏したのでそのリスクもありましたし、特に第1次予選は一番緊張しました。幸いなことに舞台練習があったので自分を持ち直せましたが、それでもやはり緊張しました。日本で行なわれるコンクールとはいえ、舞台の緊張感は国内のコンクールとは違う感じがしました。
石井
なるほど。神戸で世界の空気を味わえるというのは(聴くほうは)格別ですね! 受けるほうは……その空気感を想像するだけで胃が痛いです……(笑)。
小山
あと覚えているコンクールは、神戸の後に受けた北京のオーレル・ニコレのコンクールですね。1回目に受けたときは6位、次に受けたときは3位で、そこからはあまりコンクールをバシバシ獲るということはなくなったように思います。今思えば、神戸までは自分一人で戦っていて一匹狼みたいな感じでしたが、神戸以降は友達ができ始めてちょっと楽しくなってきてしまって(笑)、友達が一緒にいると弱くなってしまうというか……(笑)。楽しいってことはコンクールにとってはあまり良くないってことなのかもしれません。

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・インタビュー
・Q&A 小山さんに聞いてみた!

Profile
小山裕幾
小山裕幾
Yuki Koyama
新潟県長岡市出身。3歳よりピアノ、6歳よりフルートを始める。
1999年、第53回全日本学生音楽コンクール中学校の部第1位。2002年、第56回全日本学生音楽コンクール高校の部第1位。2004年、第73回日本音楽コンクール第1位、オーディエンス賞受賞。2005年、第6回神戸国際フルートコンクールに日本人として初めて第1位を受賞する。
これまでに三上明子、ヴォルフガング・シュルツ、パウル・マイゼン、堀井惠、ハンス=ゲオルグ・シュマイザー、故オーレル・ニコレの各氏に師事。2006年度、第17回出光音楽賞受賞。2007年、新潟県知事賞受賞。2010年、慶應義塾大学理工学部を卒業後渡欧、スイスのバーゼル音楽院にてフェリックス・レングリ氏に師事。現在、フィンランド放送交響楽団首席奏者。2017年より1年間ソウル大学の教授代理を務めた。2016年よりシベリウス・アカデミーの講師として後進の指導にあたっている。
石井希衣
石井希衣
Kie Ishii
福岡県出身。第88回日本音楽コンクール 第2位。第19回日本フルートコンヴェンションコンクール ソロ部門 第1位、吉田雅夫賞受賞。つくばフルートコンクール2018 一般部門第1位、中野雄&若林暢賞、戸部謹爾賞を併せて受賞。第62回北九州芸術祭クラシックコンクール全部門グランプリ、県知事賞を受賞。フランスで行われたユーロ・ジャパン・ミュージックフェスティバルにて招待演奏を行う。第25回日本木管コンクールフルート部門入選。
これまでにフルートを内野里美、宗美沙子、野口龍、高木綾子の各氏に、フラウト・トラヴェルソを菊池香苗氏に師事。
ソリストとして東京フィルハーモニー交響楽団、横浜シンフォニエッタと共演。オーケストラでの客演も多数。
桐朋学園芸術短期大学専攻科フルート専攻を第一位で修了。桐朋オーケストラアカデミー研修過程修了。東京藝術大学別科にて研鑽を積む。
2021年度公益財団法人ロームミュージックファンデーション奨学生。

次回更新もお楽しみに!

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