フィンダのピッコロトリセツ講座
171号から新連載がスタートした「フィンダのピッコロトリセツ講座」では、ピッコロ奏者でピッコロ製作者でもあるスタニスラフ・フィンダに、楽器のお手入れや取り扱いを教えてもらいます。今回は特別にオンラインで動画を公開します!
171号から新連載がスタートした「フィンダのピッコロトリセツ講座」では、ピッコロ奏者でピッコロ製作者でもあるスタニスラフ・フィンダに、楽器のお手入れや取り扱いを教えてもらいます。今回は特別にオンラインで動画を公開します!
〜フィンダからのメッセージ〜
皆さんは、ピッコロのお手入れや取り扱い、もちろん奏法もですが「本当はどうするのがベストなんだろう??」と迷ったり悩んだりすることはありませんか?
私はピッコロ奏者で製作者でもあり、メンテナンスも手がけている立場から、これまでいろいろな人にレッスンをしたり楽器の調整をしたり、相談を受けてアドバイスしたりしてきました。そのたびにいつも思うのは、ピッコロの正しい取り扱いを知っている人が少ないということ。
フルートに比べて、ピッコロはレッスンを受ける機会も、ましてや扱い方を学ぶことも少ないですよね。ですから、ある意味では仕方のないことかもしれません。
そこで、今回から「トリセツ講座」と題し、皆さんにピッコロに関する正しい知識をレクチャーしていきたいと思います。皆さんが疑問に思っていたことが解決したり、目からウロコが落ちるかもしれない知識を得たり……きっと役に立つことと思います。
“やってはいけない!” NG集
楽器の持ち方
頭部管を外し入れする場合の楽器の持ち方ですが、左手で頭部管を、右手はボディの上のジョイントに近い部分を持ち、一方向にだけ回すようにします(位置を微調整したい場合は、その限りではありません)。足部に近い、右手がくるメカニックの部分は構造上、絶対に持たないでくださいね!
●ジョイント部分について
ジョイント部分にグリスを塗ることは、お勧めしません。グリスには酸化する成分が入っているものがあり、コルクにダメージを与える場合があります。ジョイントに油分を与えてしまうと、汚れを付きやすくすることになります。そして回すたびに汚れを塗り込むことになってしまいます。
滑りを良くしたい場合は、乾いた石鹸で軽く擦っておくといいですよ。
●キィの間の水分を取るとき
キィの間に水が溜まったとき、薄い紙を挟んで水分を取り除くことがあると思いますが、このときパウダー付きの紙は使わないように。油とり紙のような、普通の薄紙にしてください。
ティッシュペーパーは柔らかくて繊維が残ってしまうため、キィの水分を取り除く目的では使わないようにしましょう。
●その他
楽器を吹くときには、飲み物は水にしておいたほうがいいでしょう。以前、楽器の内側がひどく汚れていた人がいて、聞いてみると、いろんな種類のお茶を飲んでいた(!)のだそうです。
それからやはり吹く前には、歯磨きまでとはいかなくても、口をゆすぐことをお勧めします。汚れを防いでおくことが、ダメージを与えないことにつながります。
正しい知識と愛情を持って♪ 楽器の扱い
●水滴が溜まるのを防ぐ
吹き始める前には、まず楽器をよく温めておいてください。特に冬場はこれが重要です。こうすることで温度変化が少なくなり、水滴が溜まりやすくなるのを防ぐこともできます。温め方は、特に頭部管の部分を自分の身体につけたり(脇の下など)して体温で温めるようにすると良いです。楽器に息を吹き込んで温めようとするのはNG。吹くのと同じことになり、水滴が溜まります。
●内部の手入れ
内側も外側も乾き過ぎないようにしておくことが理想です。私自身はパラフィンオイルを使っています。内径と表面の部分に薄く塗って乾燥しないようにすることをおすすめします。付け過ぎには注意してくださいね。
木は湿気や乾燥によって状態が変わりますが、オイルを塗っておくことでコンスタントな状態に保つことができます。ただ、プラスチック製や金属製のもの、漆が塗ってあるものには、この方法は使えません。また、オイルは毎日塗るものではなく、木が乾燥してきたと感じたなら行なうようにしてください。
※パラフィンオイルはベビーオイルなどに比べて油分が少なくサラッとしています。なじみ具合もベストなので、可能ならパラフィンオイルを入手することをおすすめします。ベビーオイルでも使えますが、油分が多いので気をつけてください。
割り箸でも何でもいいのですが、細い棒の先端にコットンを巻き付けます。コットンが外れないように、糸で巻いておくとよいでしょう
まず、内側の水滴を拭き取って水分を除いておきましょう
オイルを3滴くらい、歌口の穴に垂らします
先ほどコットンを巻いた棒をそっと先端まで差し入れたら、ぐるぐると回してオイルをまんべんなく塗るようにします
頭部管が終わったら同じ棒をそのまま使い、胴部管の内側をサッとコーティングするように塗ります
余ったオイルで頭部管、胴部管、外側も軽く撫でる
「楽器の正しい持ち方と頭部管の外し方」
「オイルでのお手入れ方法」を動画でCHECK!!
オイルを塗っておいたほうが良い理由には3つあります。
1.水分が木に浸透するのを防ぎ、木を良い状態で長持ちさせます。
2.割れを防ぎます。
3.しっかりした手入れが音色の良さにもつながります。
●ホコリを払う
日本は乾燥していないのでたまにでいいと思いますが、メカニズムのところに付いたホコリを「フッ」と吹いて飛ばしておくか、または筆などを使って払っておくことも、良い状態を保つのに必要です。
●定期的な調整を!
ピッコロは小さくて繊細な楽器なので、フェルトやコルクの部分のちょっとした変化が、楽器全体に影響します。ですから、定期的に調整しておいたほうが当然長持ちします。
楽器を使う頻度にもよりますが、日常的によく使うのであれば、1年に一度の調整ではちょっと少ないですね。使用頻度が少ない場合なら、オイルで手入れをしっかりしておくことで、いざ使おうと思ったときのトラブルなどを防ぐことができます。
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スタニスラフ・フィンダ