大阪国際音楽コンクール ガラコンサート2023 in New York
「大阪国際音楽コンクールガラコンサート2023」が5月23日夜、アメリカのカーネギーホールワイルリサイタルホールにて4年ぶりに開催されました。同コンクールはピアノ、声楽、弦楽器、管楽器部門などがあり20年以上にわたり開催されています。このガラコンサートは、国内外の地区本選を勝ち抜き、大阪ファイナルの各部門第1位によるグランドファイナルでの入賞者等から選抜された奏者によるものです。私は2019年開催の第20回民俗楽器部門にオカリナで出場し、ファイナル1位およびグランドファイナルで観客投票によるオーディエンス賞をいただいたご縁で推薦していただきました。
当初2022年5月に開催予定でしたが、コロナ感染状況が落ち着かず延期、ようやく念願叶っての渡米となりました。2022年5月イタリアでの国際オカリナ・レイヴコンクール受賞者コンサート時には規制されていましたが今回は撤廃され(生徒さんたちからはまた先生あっちで隔離になるんでないの!? とやたら心配されました……笑)、1年前の空港の出国手続は1人ぼっちで不安でした。今年はものすごい人混みで元の世の中に戻ってきたなと肌で実感できました。
せっかくの機会なので高校生の長男と2人旅。本番2日前にニューヨーク入りし、マンハッタン音楽院で伴奏助手として活躍するJamin Kimさんとリハーサルをさせてもらったり、しっかり観光もして過ごしました。今の時代、スマホさえあればGoogleマップでどこへでも!(主に息子に助けられましたが……笑)
4日間の滞在中、地下鉄を乗り換えてヤンキーススタジアムとメッツのシティフィールドに行き、メジャーリーグベースボールを2試合観戦したり、2021年オープンのサミットワン展望台で93階からの映える夜景も堪能しました。
コンサート当日は、時差に負けて昼過ぎまでホテルでぐっすり眠りこけて元気いっぱい、ギリギリで到着しリハーサル。裏口で入場パスを見せて、伝統あるカーネギーホールについに足を踏み入れただけで感動です。さっそくホールで音を出させてもらい、なんだこの響きは!? リハーサルの時点で神がかった雰囲気に感激。なんの不安もなく自分のオカリナの音とピアノが心地よい感覚に包まれ、もう大満足でした。スタッフや他の出演者からもオカリナすごいー!と褒められて、調子に乗って緊張することなく本番へ。
1曲目はホンヤミカコさんの『小鳥』をソプラノC管で演奏。演奏中にこっそりスマホで隠し撮りする観客の方がチラホラ。えっいいの? と思いつつ、ニコニコカメラ目線で暗譜も飛びそうになるも指が勝手に動いてくれました。1曲終えてウォーーー!っと、たくさんの歓声に驚きました。そして、2曲目は受賞曲でもあるバルトークの『ルーマニア民俗舞曲』をトリプレットACで演奏。直前に大沢聡先生のレッスンと楽器の神調整を施してもらったので、今までで一番満足の出来でした。さらに大きな歓声と拍手に感激しました。ロビーに出るとたくさんの方々にお声掛けいただきました。私はこれまで英語を真面目に勉強してこなかったので、褒められてるなーってことは理解して、「サンキューベリーマッチ♡」と笑顔で対応しておりましたが、隣にいた息子いわく「まるでこのホールに小鳥が飛んでいるよう!」「子どもが驚いて固まって聞いていた」「オカリナを初めて聴いたけどエクセレント! もっと世界に広めて!」的な興奮の声だったそう。出演者の中で私だけがポツンと異色なオカリナのオバサンで、他は神童、超天才レベルの若い出演者たち。当然皆もれなく圧巻の演奏でこのコンクールのレベルの高さに驚きっぱなしでした。ゲストのニューヨーク在住のソプラノ歌手田村麻子先生からも温かいお声掛けをいただいたり、楽屋で過ごした時間もすべて夢の中の出来事のようでした。
今回の反省点は、ヴァイオリンや管楽器などクラシック楽器の中にまぎれた際に《オカリナ》という楽器の珍しさ、こんなこともできるの!? という意外性に伴う感動に頼りすぎていた点。これまでより一歩先の魅力で評価されたい、と強く感じました。今後は、オカリナを介して音色や楽曲のストーリーに説得力があって観客をその世界に引き込むような音楽を目指していきたいです。師匠の大沢先生のご指導をいただきながら、まだまだ遠く及びませんがオカリナの未知の可能性を信じて努力を続けていきたいと思います。
これにて私はソロでのコンクール出場は引退して、講師として生徒のサポートはもちろん、生徒とのアンサンブルで今年もコンクールに出場することを楽しみに邁進したいと思います。かけがえのない経験をさせてくださった大阪国際音楽コンクール事務局の方々に心より感謝し、ますますのご発展をお祈りします。
文:椎名春奈(Ocarina奏者)
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