第05回 ワンランク上のタンギング〜ダブルタンギング練習
THE SAX vol.99よりスタートした「クラシカルサックス レベルアップ講座」。講師に角口圭都さんを迎え、音色やテクニックを少しでも向上するために、わかりやすく解説してもらいます!
角口圭都 Keito Kadoguchi
富山県出身。東京芸術大学、同大学大学院音楽研究科を卒業。サクソフォンを池上政人、冨岡和男、須川展也、平野公崇、大城正司の各氏に、室内楽を中村均一氏に師事。第9回北陸新人登竜門コンサート優秀賞受賞。第9回ルーマニア音楽コンクール第1位。
「TOYSPARK」メンバー。「Dreamvivo Jazz Orchestra」主宰。「piazzolla de saxophone quartet concert」等、様々なコンサート企画も行う。クラシック専門インターネットラジオ「OTTAVA」の「OTTAVA Salone木曜日」にてプレゼンターを務めている。
2019年9月初ソロアルバム「Chau Paris」を発売。
第5回 ワンランク上のタンギング〜ダブルタンギング練習
シングルタンギングが遅くて、悩んでいる方はいらっしゃいませんか? 私もかつては楽器を辞めたくなるほどタンギングの遅さに悩んだ時期がありました。でも、今は、少しも悩んでいません! ぜひ、これを機にダブルタンギングを習得してみましょう! 特殊奏法と思われがちですが、フルートや金管楽器では初級者のころからメソッドに盛り込まれています。シングルリードのサックスでもコツをつかむと次第にできるようになります!
ダブルタンギングのやり方
「トゥクトゥク」と声に出して言ってみましょう。すると、「トゥ」は舌先が上口蓋(上の歯のすぐ後ろ)、「ク」は舌の奥が軟口蓋(口と鼻の分かれ目の柔らかいところ)に当たります。ダブルタンギングはこの二つの発音を使います。
「トゥ」はいつものタンギングです。慣れない「ク」をコントロールできるようになりましょう
練習した譜例1と2に舌の動きを入れた譜例3でダブルタンギングを練習してみましょう。発音は、T=「トゥ」K=「ク」です。
クの発音でタンギングをするのは最初は難しいし、思ったタイミングでできないのですがだんだん慣れてきます。慣れてくると次第に正確になり、スピードも上がっていきます
ダブルタンギング練習のコツ
トゥクトゥクがうまくいかない時は発音を変えてみることもおすすめです。
「ドゥクドゥク」です。
「ク」が分かりにくい時は「ンク」「グ」と発音してみるのもよいで すね。
「ク」の部分は、声は発さずに発音と息だけをだしてみます。ドゥの時の発音の力加減とクの時の息の圧力のかけ具合のバランスが合ってくると均等な音の長さになってきます。真面目にドゥクドゥクドゥクドゥクを繰り返すよりも、ドゥクドゥードゥクドゥーなどリズムパターンで勢いをつけて練習するとつかみが早いかもしれません! また、譜例4はダブルタンギング練習に有効なリズム集です。
スピードや勢いをつけたほうができることもあるので、譜例3よりも譜例4のほうがダブルタンギングしやすいと感じる方もいらっしゃると思います! 武士道を貫くように(笑)一生懸命シングルタンギングのスピードを極めていく練習をすることも、成長の過程においては通るべき大事なミッションの一つです。しかしある程度練習してみたところで、どうにもならなければ、早めに見切りをつけ、ダブルタンギングを習 得するのは、奏者として大きな飛躍になります。
私も「タンギングが遅い」という長年のコンプレックスから解放され、演奏できる曲の幅も広がりました。
ダブルができたら、トリプルもやってみましょう! サックスの教本 の中にはダブルタンギングの練習があまり載ってないのでフルートの 教則本や、アーバン金管教本がおすすめです。
(※譜例はTHE SAX vol.103もしくは動画を参照してください)
おわりに
今回のレベルアップ講座、いかがでしたでしょうか。タンギング、永遠のテーマですね!
タンギングに悩みを抱えている読者の方は特に、何か気づきがあ れば幸いです。タンギングについては、先生やプレイヤーによって考え方が違いますし、身体的能力にかかってくるところも大きいので、悩んでいる方は、いろいろなタイプの人に話を聞いてみるとよいと思います!
さて、最後に、読者の皆様へお願いとお知らせです。実は大変嬉しいことに、全6回の予定だったレベルアップ講座の連そこで7回目(105号)では、読者の皆様からの質問などにお答えしたいと思います。普段感じてい る奏法の悩みや質問、それから応援なども......! メッセージをいただけましたら、すごくうれしいのでよろしくお願いいたします( ^ ^ ♪
応募先:https://www.alsoj.net/sax/index.html
≪Piazzolla Night de Saxophone Quartet with PianoChristmas Special Concert vol.4≫
[日時]2020.12/22(火)開場18時30分 開演19時15分 終演21時
[会場]五反田文化センター音楽ホール(141-0031 東京都品川区西五反田 6 - 5 - 1)
[出演]角口圭都(ソプラノサックス)、完戸吉由希(アルトサックス)、田中麻樹子(テナーサックス)、塩塚純(バリトンサックス)、弘中佑子(ピアノ)
[演奏予定曲]ピアソラ:アレグロタンガービレ、オブリヴィオン、ミケランジェロ’70 他
[料金]高校生以下 前売¥3,000 当日¥3,500/一般 前売¥3,500 当日¥4,000
[問合せ]keitomusic2020@gmail.com
角口圭都
Keito Kadoguchi
富山県出身。東京芸術大学、同大学大学院音楽研究科を卒業。サクソフォンを池上政人、冨岡和男、須川展也、平野公崇、大城正司の各氏に、室内楽を中村均一氏に師事。第9回北陸新人登竜門コンサート優秀賞受賞。第9回ルーマニア音楽コンクール第1位。「TOYSPARK」メンバー。「Dreamvivo Jazz Orchestra」主宰。
「piazzolla de saxophone quartet concert」等、様々なコンサート企画も行う。クラシック専門インターネットラジオ「OTTAVA」のOTTAVA Salone、OTTAVA Premio にてプレゼンターを務めている。2019年9月初ソロアルバム「Chau Paris」を発売。
(2020.05)