第12回 音の処理
THE SAX vol.99よりスタートした「クラシカルサックス レベルアップ講座」。講師に角口圭都さんを迎え、音色やテクニックを少しでも向上するために、わかりやすく解説してもらいます!
角口圭都 Keito Kadoguchi
富山県出身。東京芸術大学、同大学大学院音楽研究科を卒業。サクソフォンを池上政人、冨岡和男、須川展也、平野公崇、大城正司の各氏に、室内楽を中村均一氏に師事。第9回北陸新人登竜門コンサート優秀賞受賞。第9回ルーマニア音楽コンクール第1 位。「TOYSPARK」メンバー。「Dreamvivo Jazz Orchestra」主宰。「piazzolla de saxophone quartet concert」等、様々なコンサート企画も行なう。クラシック専門インターネットラジオ「OTTAVA」にてプレゼンターを務めている。2019年1st album「Chau Paris」2021年5月2nd album「Romance」を発売。
第12回 音の処理
読者の皆様、こんにちは! 引き続きサックスの演奏、楽しんでいらっしゃいますか? 今年の夏はラニーニャ現象が起きているために、秋ごろまで暑さが続くようです。体調には気を付けてサックスを楽しみたいですね♪
今回の第12回は【音の処理】です。 音の立ち上がりと同じく、音の処理もこだわりたいポイントの一つですね。演奏の雰囲気を大きく左右するので、この機会にレベルアップしましょう!
1 準備運動
a ロングトーン+ディミヌエンド
徐々に音を減衰させていきましょう。マウスピースとリードにかけるアンブシュアの圧力、口の中の容積も意識しましょう。
b-1 息を止めて音を止める。
b-2 息を止めて余韻に響きを持たせて音を止める。
b-3 リードに舌を当てて余韻を付けずピタッと音を止める。
c 2種類のスタッカート吹き分け
1 余韻を付けるスタッカート
2 余韻を付けないスタッカート
様々な速度で練習するとさらに効果的です!
注意ポイント!
音を止めるときにアンブシュアを緩めると音程が下がってしまいますので、音程にも注意してくださいね。
2 音型を変えてジャンルを超える
大学 1 、2 年のころ、上野樹里さん主演の映画「スイングガールズ」の影響で、女の子ばかりのビッグバンドでの営業仕事にたくさん呼んでもらったり、大学時代にビッグバンドが大好きな仲間に恵まれて、今も時々お声がかかりビッグバンドで吹く機会があります。
しかし、私はクラシックを専門的に学んできたクラシックサックス奏者ですので、いきなりビッグバンドでのジャズの吹き方に切り替えるのはとても難しいです。試行錯誤の末、吹き方を素早く切り替えるには、まず音型を変えることを意識するようになりました。つまり音の立ち上がりと語尾を変化させます。そして、楽器の鳴り方・音色・音程を馴染ませていきます。
サックスを吹いていると、クラシックやビッグバンドのみならず、様々な現場で多種多様な音楽ジャンルを演奏する機会があります。音型を吹き分けて、更によりよい音楽表現を追求していきましょう!もちろんクラシックサックスの魅力も、たくさんの方々へ向けて発信していきたいものです♪
おわりに
第12回いかがでしたでしょうか? 音の処理の仕方の引き出しが増えると、表現がどんどん広がっていきます。曲を吹いていてもなんだか雰囲気が出ないんだよなぁ...... と思われていた方は、演奏を録音して一つ一つの音の形を聴きこんでみてください。音の語尾にレベルアップのきっかけが隠れているかもしれません。引き続き質問・お悩み相談・応援メッセージなど募集しております。お送り先は、info@alsoj.netまでお願いいたします。
それでは、また次号でお会いしましょう! エンジョイサックス〜♪
※THE SAX Vol.110では上記以外にムソルグスキー=ラヴェル 「展覧会の絵」より「古城」や、ドゥメルスマン「アルトサクソフォンとピアノためのファンタジー」、J.ウィナー「茶色の小瓶」の実践編も掲載しています! 是非ご覧ください。
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〈日時〉9/3(土)開場14:30 開演15:00
〈場所〉学園前ホール(奈良市西部会館市民ホール)
〈出演〉氷置晋/松原友(Ten)、角口圭都(Sax)、岡部桂永子(Pf)、矢野仁美(Pf)
〈お問い合わせ〉https://piyockey.thebase.in/
〈日時〉11/23(水・祝)開場13:30 開演14:00
〈場所〉仙台中央音楽センター Ivy ホール
〈出演〉角口圭都/完戸吉由希/田中麻樹子/塩塚純(Sax)、弘中佑子(Pf)、ゲスト:宍戸陽子(仙台在住サクソフォン奏者)
〈お問い合わせ〉info@keitomusic.com