サックス記事 「WSA-CP/コパー」 誕生! 宮崎真一×各川 芽
  サックス記事 「WSA-CP/コパー」 誕生! 宮崎真一×各川 芽
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Wood Stone Alto Saxophone New Vintage

「WSA-CP/コパー」 誕生! 宮崎真一×各川 芽

GEAR

破綻しない音色を出せる懐の深さ

キィアクションやキィレイアウト、ルックスはどのように感じますか。
宮崎
ゴールドラッカーで100点だったのが、コパーになると150点になりました(笑)。自然なところにキィがあるんですよ。21世紀になって人間工学の知識を駆使して各メーカーが楽器を作っていますが、誰にでも合う楽器はなかなか作れていません。それをWood Stoneは実現しています。ルックスも申し分ない、もうこれに叶う楽器はありませんね。マークVIはキィの配置を考えられていて、速いパッセージも吹きやすいのですが、研究して良いところを「WSA-CP」に落とし込んでいると思います。
各川
ルックスは本当に美しいです。他社の楽器だとキィ一つとっても、なぜこの角度でつけたのか、と思うことはよくあるんです。手の大きさに左右されると思いますが、Wood Stoneは手に馴染んでくれます。
ダイナミクスレンジについてはどうですか?
宮崎
小さい音を出すという意味においては、モダンのサックスの性能としては十二分に持っています。これはクラシックのサックスでは絶対条件で、さらに大きな音を出しても音が荒れないことも必要で、明らかに使える大きな音量は増えましたね。
各川
音を鳴らす上限である天井に早く到達してしまう楽器もあるんですよ。吹き手に余力があるのに、楽器が「ここまでしか出せませんよ」と途端に響かなくなる。それをもっと出したいから、口を緩めて息をたくさん入れて満足しようとすると、音が開ききって使えない音になる。それが「WSA-CP」にはまったくなく、むしろ「まだ出るよー」と言ってくれている感じが嬉しいですね。
宮崎
音量のレンジは小さく吹いても大きく吹いても、ニュアンスなり、反応なり、音色なり、何かに傷が付くことがありますが、「WSA-CP」にはそれがありません。小さい音でも破綻しない懐の深さがあります。

未来へのヴィンテージサックスに

そういった意味でニューヴィンテージという名前にふさわしいサックスと言えますね。
宮崎
一時期、クラシックのサックスは成熟して、皆一つの音を求めてきました。でもここ10年ぐらいはいろんな音色を求める人が増えてきました。そういう意味で「WSA-CP」は強力な武器となり、個性ともなります。
今後はこの「WSA-CP」が楽器を選ぶ選択肢の一つになると思います。未来に向けてのヴィンテージになる気がします。クラシックのサックスの多様化が求められている時代に、時流に乗っていると思いますね。
クラシックの話ばかりをしましたが、ジャズ奏者に向いていないということは決してありません。ある程度音量が出て、ダークな音色を出せるこの楽器は、ジャズの人が好きになる要素がたくさんあります。
この楽器特有の魅力は何でしょうか?
宮崎
宇宙からきた未知の楽器ではない、ということかな。知っている味がする楽器(笑)。
各川
「子どものときに食べたあのお菓子に似てる!」という懐かしさを感じます(笑)。
私は高校で楽器を始めたのですが、最初に買った楽器は重くて吹きづらかったんです。2年生の先輩は1年間、3年生の先輩が2年吹き込んでいる楽器を吹かせてもらうと、だんだん鳴らしやすくなっているのがわかったんです。自分の楽器はなんてこんなに吹きにくいんだろうと思っていました。でも自分の楽器を吹き続けていくにつれて、だんだん鳴るようになりました。その過程って最近の楽器には失われつつあるように感じます。
宮崎
育てる楽しみ、ってことだね。
各川
そう。そこに懐かしさを感じるのかもしれません。楽器は本来こういうものじゃないかなと思いました。「WSA-CP」モデルを使ってコンサートで、ブートリーの『ディヴェルティメント』を吹く予定でした。新型コロナウィルスのために残念ながらキャンセルになりましたが、この曲を久しぶりに吹きたいと思ったのは、この楽器のおかげかもしれません。
「WSA-CP」を吹かれるときはゴールドラッカーとはセッティングを替えるそうですね。
宮崎
ラッカーはセルマーのクロード・ドゥラングルのマウスピースにリードはレジェールです。「WSA-CP」のときはもう少し軽くしますね。マウスピースをセルマーのコンセプトにするか薄いリードを使うことが多いです。ドゥラングルのマウスピースだと、勝負服すぎて(笑)。リードが薄くても鳴ってくれます。
各川
私はドゥラングルのマウスピースをつけていますね。リードは柔らかめのほうが幅広く対応できる気がします。
この楽器はどんな人におすすめですか?
宮崎
クラシックをやっている人にはぜひ吹いてほしい。憧れのサウンドやニュアンスを持っている人には特におすすめですね。
各川
いろんな音が出せる楽器ですから、いろんなことをやってみたいと考えている人にぜひ使ってほしいですね。
ありがとうございました。
 
登場するアーティスト
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宮崎真一
Shin-ich Miyazaki

国立音楽大学在学中よりポピュラーを含む様々な音楽シーンで活動を始める。 現在はソリストとして国内外で演奏を展開するとともにサクソフォンの楽器史研究家として専門誌などに寄稿。吹奏楽コンクールやアンサンブルコンテストなどの審査員として全国各地で指導者としての活動を行なっている。
サクソフォンを石渡悠史、雲井雅人、下地啓二の各氏に、呼吸法などを村田健司氏(声楽)に師事。

登場するアーティスト
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各川芽
Megumu Onokawa

東京音楽大学音楽学部卒業。 東京コンセルヴァトアール尚美ディプロマコース修了。 これまでに国内外でクラシックを中心として、数多くの演奏会、レコーディングなどに参加。ソリストとしての活動の他に、トラクシオンアヴァンのメンバーとして数々の日本初演、世界初演を行う。サクソフォンラージアンサンブル「ISLE」では世界的にも珍しいソプリロ奏者としても活動。また、吹奏楽の指導にも定評があり各地で講師を務めている。

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