世代も国境も越えたブームが続くシティポップを彩ったサックス奏者たち
ここ数年で世界中に広まった1970~80年代の都市型和製ポップス=シティポップ。海外でも国内でもそのブームは継続中だ。ちょうど一年前にも取り上げたシティポップのナンバーを今回はさらにパワーアップしてお届けしよう。まずはシティポップとサックスの親和性についての解説から。
ここ数年でYouTubeなどの動画配信サイトや各種SNS経由で世界中に広まった1970~80年代の都市型和製ポップス=シティポップ。
海外でも国内でもそのブームは継続中だ。シティポップの持つ煌びやかなメロディとサウンドはサックスで吹くにもバッチリで、これからの初夏~真夏へと向かうシーズンにもピッタリだ! ちょうど一年前にも取り上げたシティポップのナンバーを今回はさらにパワーアップしてお届けしよう。
まずはシティポップとサックスの親和性についての解説から。(文:熊谷美広)
“キング・オブ・シティポップ・サックス”ともいうべき存在の敏腕プレイヤー
突然降って湧いたように世界中でブレイクしたシティポップ。シティポップとは何かという定義づけはちょっと難しく、また国内と海外でも捉え方のニュアンスが違っていたりもするのだが、ザックリといえば1970年代後半〜80年代中盤あたりの、都会的で洗練されたJ-POPのことを指すと考えればいいだろう。そしてそういった“都会感”“洗練感”を醸し出すのに大きな役割を果たしていたのがサックスという楽器の存在だ。
世界の音楽ファンが日本のシティポップというものの存在に気付き始めたのは、2017年にYouTubeにアップされた竹内まりやの『プラスティック・ラブ』の非公式動画が、全世界で2,400万回以上の再生回数を記録したことからだろう。そこから無数のリミックスやリエディットがネットにアップされて大人気曲となっていった。同曲にはサックスは入っていないが、同曲が収録されていたアルバム「VARIETY」(1984年)の『本気でオンリー・ユー』ではアーニー・ワッツのソロがフィーチャーされており、こちらも注目を集めた。
そしてシティ・ポップスが世界中でブレイクする契機となったのが、松原みきの『真夜中のドア~Stay With Me』(1979年)の再ヒット。インドネシア人歌手Rainychがカバーした動画がアップされたことがきっかけとなって注目を集め、Spotifyでは2,300万回以上再生されて世界的なヒットとなった。そしてこの曲で印象的なアルトサックス・ソロを聴かせていたのがジェイク・H・コンセプション。彼こそまさに“キング・オブ・シティポップ・サックス”ともいうべき存在で、シティポップの楽曲で印象的なサックス・ソロの約半数ぐらいは彼が吹いているのではないかと思えるくらいの存在だ。その透明感溢れるブリリアントな音色と流れるようなソロが、洗練されたサウンドにピッタリなのだろう。角松敏生の『YOKOHAMA Twilight Time』(1981年)、杏里の『WINDY SUMMER』(1983年)、松任谷由実の『カンナ8号線』(1981年)、『時をかける少女』(1983年)、『青春のリグレット』(1985年)、南佳孝の『これで準備OK』『ブルーズでも歌って』(いずれも1976年)など、ジェイクのソロが光るシティポップの名曲も数多い。
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竹内まりやの12インチアナログ盤
『Plastic Love』
竹内まりやのアルバム
「VARIETY」
松原みきのシングル
『真夜中のドア〜Stay with Me』
角松敏生のアルバム
「SEA BREEZE」
杏里のアルバム
「TIMELY!!」
松任谷由実のアルバム
「昨晩お会いしましょう」
松任谷由実のアルバム
「VOYGER」
松任谷由実のアルバム
「DA・DI・DA」
南佳孝のアルバム
「忘れられた夏」