ソロで! アンサンブルで!! 定番ジャズ・スタンダード攻略
『枯葉』
演奏解説
ジャズといえば、『枯葉』!「ミディアム・スウィングで小気味良く!」と演奏したいところなのですが、これが一番難しいテンポですよね。だいたい□:△ぐらいのハネ具合にするか、みんなが感じているテンポ(メトロノームの位置)に対して、速め/遅めで演奏するなど、1つの正解があるわけではないので、バッキング、演奏するフレーズによって、細かく調整していきましょう。様々な演奏をたくさん聴いて経験してできあがったものが、その人の「スウィング感」になってスタイルができあがってきます。
ヴィブラートは場所によって使うか使わないかをはっきり分けましょう。ヴィブラートをかける場所は、少し張り詰めた空気感が優しくなるところです。逆にまっすぐ演奏することで、テンションが張り詰めて聞こえます。
バッキングに対してリズムが置いていかれないようにしましょう。後ろ目に演奏しても、同じ速度で演奏しているので、ずっと同じ距離にリズム隊がいるように。フレーズによっては、追いついて真横で併走したりしています。
音が切れる場所にもリズムを表現しましょう。短い音でも、どの長さで、どのくらいはっきり切るかで、そのすぐ後ろの“休符の強弱”が変わります。
譜面にした演奏は、少しぶっきらぼうなフレーズで演奏するプレイヤーを(できるだけ)想定して演奏しています。楽譜に表現できないリズムのところも多いので、譜面だけではなく演奏音源を参考にご覧ください。
『サマータイム』
演奏解説
アルトサックスは、甘めの歌い方と快活なフレージングがおいしい楽器というイメージがあります。どうしても速く細かい音符が多くなりますが、これができることで、微妙なテンポで単調になりがちなアドリブでは、できることの自由さが圧倒的に広がります。
細かい音符は、ただたくさん演奏しているわけではなく、例えば曲のテンポの倍(この曲が概ね♩=150なので、倍の♩=300の4ビート)のように感じて演奏しています。いま演奏できるテンポまで下げて練習するときも、その遅くしたテンポに応じたスウィングをして、だんだんテンポを上げていく練習をしてみましょう。
このようなDouble Time Swing(倍テン)と呼ばれる、倍速を感じて演奏するフレーズに限らず、4ビートは速くなるほどスウィングの音の長さの比が、50:50に近づいていきます。
Aの3小節目のような8分休符は、休符がしっかり聞こえるように、前の音はしっかり伸ばして、カッチリ切りましょう。音をしっかり切るためには、圧力の高い息と、音を止めるための舌の強さも大事です。圧力の高い息で演奏することで、前述の音の切れも良くなりますし、指を動かしたときにはっきりと音が変わるようになります。また、ベンドが多用されていますが、これもはっきりかけられるようになります。