サックス記事 飛躍をみせるCadeson
[2ページ目│記事トップ
カドソンの歴史と変遷

飛躍をみせるCadeson

GEAR

独自のパーツを開発

THE SAX vol.40、vol.48

サックスという楽器の、音域によって音色の均一性や吹奏感にバラつきがある点に疑問を持った中島社長は、ネック・ソケットのジョイント部分のパーツを洋白材で製造した(写真①)。洋白製にすることで、全音域にわたって統一感のある音色と豊かな響きを生み出す。さらに独自開発された洋白製ネックチューブを装着することによって、息の入りを安定させ、高音域のピッチが上ずり低音域の音程が下がるというサックス本来の持つ欠点を改善することにも成功した(写真②)。

サックス
サックス

(写真①、写真②)

さらに以前誌面でもご紹介したバズ・ネックコネクションスクリュー。倍音が増え音の響きが格段に向上する同製品も、氏の閃きによって生まれた(写真③)。

サックス
サックス

(写真③)

以前、ネックコネクションスクリューについて応えた中島社長のインタビュー内容を紹介しよう。 「中島:世の中には「これをすれば音が良く鳴る」とか、魔法と呼ばれるような発想がありますが、私としてはそういう思いで作ったのではない。それを理解してもらいたいですね。まだ完成されていない楽器に対して、「いろいろな試行錯誤で臨んで、いかにニュートラルに持っていくか」、つまり完全に近づけられるか、ということなんです。奏者の方がもともとできているはずのことが、楽器のせいで、できない場合もある。奏者の能力を最大限引き出せないないのは、まだまだ楽器によるところが大きい。 バズの新製品が出ると「これは特別なものなんだ」と、魔法みたいに流行したりするんですよ。でも魔法っていつか解けるんですよね。我々は魔法やマニアックなものを作っているわけではなく、専門的なものを真面目に考えて作っている。その部分を解っていただきたいですね。」 数々の革新的なパーツを誕生させているが、そこに行き着くまでには数多くの試行錯誤が行なわれている。

サックス

多くの奏者のサウンドを聴きながら開発されたそれらは、中島社長のアイデアとこだわりが詰め込まれ、熟練の職人の手により完成される。結果それらがカドソンのクオリティの高さへと繋がっていることは言うまでもない。

 

 

カドソン A-92、T-92

サックス
サックス

 

洋白製ネック・チューブ、洋白製ソケット、バズ洋白ねじ、バズネックコネクションスクリュー、これらの各パーツをフル装備。(下の写真はバス・ネックコネクションスクリュー)

サックス


全てのパーツの精度が高く、楽器と一体化することにより楽器全体が響き、結果倍音が多く含まれ太く柔らかな音色を生み出す。またカーリング・トーンホールの採用でタンポとの密着が確実に。ダイレクト・キィポストの採用、U字管と2番管・U字管とベルの接合部分にまでハンダ付けを行なうことで、さらなる響きの向上がはかられている。まさにこれまでの中島楽器の技術が結集された楽器といえるだろう。

<前へ      1   |   2   |   3   |   4      次へ>      
サックス