サックス記事 福井健太がアドバイスするピッチ、音程改善のためのステップ
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THE SAX vol.108 │ 特集1

福井健太がアドバイスするピッチ、音程改善のためのステップ

LESSON

サックス奏者のみならず、すべての管楽器奏者、そして弦楽器奏者だって必ず抱える悩みが「ピッチ、音程感覚」だ。特にサックスはピッチの自由度が高いので、その悩みは多岐にわたるだろう。そこで今回はプロ奏者2人に、ピッチ感を自覚するための作業からピッチ、音程を改善するためのエクササイズまでを提案してもらおう。
ガイド役はクラシック&吹奏楽のフィールドを代表して福井健太氏だ!

 

 
運指表 文中の運指番号は下記を参照

 

STEP1
診断:あなたの症状〜自分のピッチ、音程のクセを知る

 

Q1 演奏者のレベルや意識の違いでピッチ、音程の良し悪しは人それぞれだと思います。 まずは、自分の演奏において正しいピッチ、音程でサックスを吹けているかを知るにはどうすればよいでしょうか?

A1 まずサックスの音程についての考え方は各奏者にあると思いますが、演奏者のレベルというよりも意識(音感)によってずいぶん変わってくると思います。
サックスの運指は「ド」ならドに近いピッチ(音の高さ)が出ると思っていれば、どのような音程(音と音の幅)が必要なのか考えればいいと私は思っています。
音程で悩まれる多くの人はピッチに縛られすぎて、本来もつ楽器の鳴りや音色より単純にピッチを合わせようとするので、難しく感じてしまうように思います。
ピッチ=絶対的な音の高さ。音程=それぞれの音と音の高さの幅。なので管楽器同士の場合は可変ピッチ同士なので音程。ピアノなど絶対的な音程の楽器と演奏するなどはピッチを調整などと少し考え方を変えると合わせやすくなると思います。
最も大切なことはソルフェージュする。ソルフェージュと聞くと難しそうですが、要は楽譜を読んでその音の高さをイメージできるかどうかです。サックスは指が合っていれば大体の音の高さが出てしまう簡単な楽器なので、なんとなく演奏できてしまいます。なのでイメージできるかどうかがとても大切です。
イメージした「ド」と実際出ている「ド」が全然違う場合はチューナーを使って確認する方法もありだと思います。
チューナーは近年本当に感度の良いものが安く出てきています(私は結構スマホのアプリで使ってます)。よく10セント高い!とか20セント低い!なんて会話を聞きますが、その10〜20セントの差って聞いてわかりますか??
20セント未満の違いならずれているとは聞こえないですし、もしヴィブラートをかけたとしたら? それぐらいの幅が出ることもありますよね!? なのでチューナーは、高めなのか低めなのかを耳で判断するのが難しかったりする場合(他に基準となるピッチが鳴ってない場合)に、どっちの傾向に出てるかなどの判断をする目安に使う程度が私はちょうど良いと思います。楽器が温まっているかでもピッチの出かたが違いますからね。
また自分のセッティング(マウスピースやリード)で自分が出したい音色感で鳴らした時にどんなピッチで出るかなどをあらかじめ知っておくのはとても重要です。その時はやはりチューナーはとても便利です。ある程度の演奏経験があるとチューナーを見ながら音を出すと針をセンターに寄せて吹こうとしてしまい頼ってしまうので、自分のクセを知るにはあまり良い方法ではないですね。針を見ずに音を出して(より良い音色で)その音はどんなピッチで出ているかを見るようにすると自分の楽器とセッティングでどのようなクセがあるのかを測定できます。私は確認する時はこの方法です。
よく絶対音感ありますか?と聞かれますが答えはNoです(小さい頃はあったようですが、移調楽器を始めてからは気にならなくなりました)。ですが絶対相対音感はあるのかな?と思っています。
イメージできない音程はうまく演奏できないのでやっぱりソルフェージュが大事だと思います。

 
次のページへ続く

 

登場するアーティスト
画像

福井健太
Kenta Fukui

静岡県浜松市に生まれ育つ。幼い頃から様々な音楽や楽器に触れ、中学時代にサックスに出会う。B to E(バロックから演歌まで)をモットーにあらゆるシーンで活躍する演奏家としてリサイタル、コンサートやライブを国内外で展開中。スタジオワーク(録音)も多く多岐にわたり、自分では把握できない本数に達している。様々な著名アーティストとのステージの他、指導者としての評価も高い。吹奏楽団「BRASS EXCEED TOKYO」コンサートマスター。「Z EXPRESS BIG BAND」メンバー。音楽制作にも携わり、音楽プロデューサーとして様々なアーティストのコンサートや CD 作品、作編曲を手がけ「必要な音や音楽を必要なところへ」と意欲的に活動している。2018年に10年ぶりとなるリーダーアルバム、世界初録音作品ばかりのサクソフォンカルテット集「Sur-Saxophonism」(Contemporary Works for Saxophone Quartet) リリース。新しい管楽器ヤマハ「Venova」の開発協力したことで、一躍「ヴェノーヴァ」の人としてお茶の間を賑わしている。サクソフォンを須川展也に師事。東京芸術大学卒。

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