巽朗インタビュー
現在のようにストラップのバリエーションが増える起爆剤となったのが、バードストラップの登場だったことに異論を挟む人はいないのではないか。そんな画期的なストラップを開発したのが、日本のスカ/レゲエ界におけるレジェンド的サックス奏者の巽朗氏であることはご存じだろうか!? ストラップ百花繚乱時代のキーマンである氏に話を訊いた。
実はこれ(写真1)がバードストラップのプレートの原型なんです。ホームセンターで買ってきたアルミの板を鉄ノコで切ってドリルで穴を開けて作りました。そして、これをもとに作った最初の試作品がこれ(写真2)です。ところが、実際に使ってみると時間が経つと少しずつズレて落ちてくるという欠陥がありました。摩擦係数が足りないのだということに気づいてプレートに穴を2つ追加したプレートの原型がこれ(写真3)になります。4つの穴にしたことで紐の長さを瞬時にスライドさせて調整できるアジャスターの機能が確立したんです。
では、ストラップでは何が重要かというと、レスポンス、楽器との距離、コントロール性だと僕は思っています。そこはどんどん追求していきたいです。そう考えると大事なのはブレード(紐)とパッドですね。紐は細くて硬いのが一番いい。パッドも身体のことを考えると良くないけど本当は硬い素材のほうがいい。何故ならばサックス奏者は演奏している時に骨伝導で音を聴いているからなんです。それと二次反射で耳に入ってくる音をミックスしてモニターしている。だから骨伝導を良くするためには本当はパッドにはクッションが入っていないほうがいいんですよね。よくストラップによって音が遠鳴りするとか側鳴りするとかいう言葉をプロ奏者からも聞くのですが、それも骨伝導の影響なんですよね。骨伝導の音が大きいと生音が聞きづらくなって遠鳴りしているように感じる。逆に骨伝導の音が小さいと生音が近くに聞こえるということだと思います。実は骨伝導の良さに特化したプロ・モデルというものを現在開発中です。おそらく来春くらいの発売になると思いますが。今日はプロトタイプを持ってきたので装着してみましょう。
このようにサムフックにも紐を引っ掛けて楽器側の2か所で支えます。サムフックにはリングを付ける方法(写真4)とオプションパーツとして販売しているサムフックハンガー(写真5)を使用する方法があります。これがあることによって横揺れが軽減されます。そして、何が違うかというと、ストラップリングだけで支えている場合には、手を離すと自分が咥える位置より奥にマウスピースが入ってしまう。ところがサムフックの場所でも支えると楽器が前に倒れようとするので、その力を利用して右手で少し押すだけでちょうどいいバランスが取れるんです。そうすると下顎が自由になるのでアンブシュアも緩められるんですよね(写真6)。これが先ほど言った楽器との距離とレスポンスというところに関係してきます。この楽器側の2か所で支える方式は、間もなく発売されるウインドシンセサイザー用バードストラップにも採用しています(写真7)。
写真9がサムフックの部分と2か所で支えた場合
写真9のほうが楽器が前に倒れていることが分かる。
Coming Soon ! ウインドシンセサイザー用バードストラップBS-WS-BPとBS-WS-CPが登場!!
◆対応機種と商品ラインナップ
・ネックパッド(イヤホン固定機能付き)にクッションがあり繰り返し洗えるBS-WS-BPとシンプルでリーズナブルなBS-WS-CPの2種類をラインナップ(写真10、11)
・4種類のアダプターでAKAI EWI4000S、EWI5000、EWI USB、EWI SOLO、Yamaha YDS-150、Roland AE-10、AE-20、AE-30の8機種に対応(写真12)
BS-WS-BPはクッションあり
BS-WS-CPはクッションなし
アダプターを装着したEWI USB
〈ストラップ〉
BS-WS-BP¥8,580(税込)
BS-WS-CP¥3,960(税込)
〈アダプター〉各¥880(税込)
BS-WS-ADP-EWI(EWI4000S、EWI5000に対応)
BS-WS-ADP-USB(EWI USBに対応)
BS-WS-ADP-SOLO(EWI SOLOに対応)
BS-WS-ADP-RY01(YDS-150、AE-10、AE-20、AE-30に対応)
[問合せ]株式会社タツミ楽器 大阪営業所 B.AIR事業部
TEL:06-6711-0770
E-mail:info@tatsumi-gakki.com
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