2023年度全日本吹奏楽コンクール 課題曲を攻略する!
新年度になり、新メンバーを迎え入れ、吹奏楽コンクールの練習がいよいよ佳境に入る団体も多いのではないでしょうか? 昨年までの3年間はコロナ禍により変則的に行なわれてきた吹奏楽コンクールですが、2023年度は久々に元の姿に戻っての開催となりそう。そこで今回は久々に課題曲攻略講座を企画しました! レクチャーしてくれるのはOsaka Shion Wind Orchestraのサックス奏者としておなじみ、田端直美さんです。
サックスパートのレベルアップになること間違いなし!
レクチャーしてくれるのは…
田端直美(たばたなおみ)サクソフォン奏者
東京藝術大学および同大学院を修了。国内外のコンクールで入賞を果たし、現在はOsaka Shion Wind Orchestraのアルト奏者を務めつつ、Shionサックスセクションで結成されたNAGISAXのソプラノ奏者として活動中。リサイタルは11回目を迎え、室内楽、コンチェルト、オーケストラの客演、TVラジオ出演など活躍の場を広げている。ソロCD「カルメン・ファンタジー」「アヴェ・マリア」「ウエニャン・ラプソディー」をマイスターミュージックよりリリース。同志社女子大学、神戸女学院大学、徳島文理大学、京都市立京都堀川音楽高等学校、各非常勤講師。http://naomisax.exblog.jp/
今年も課題曲の季節がやってきました! パート譜しか手元にないあなた! 吹奏楽でのサックスは、金管や木管と関わったり両者をつないだりといった役割が多いので、必ずスコアを見ましょう。各所どのパートと一緒にどんな役割を担って演奏しているのかを確認してから合奏に臨むのが鍵です。
① クリアすべき的を絞って、楽譜をシンプルにして一つずつ解決(いっぺんには難しい!)
② ゆっくりから少しずつテンポを上げる(自分の音を聴いて練習すれば仕上がりが美しくなります)
③ 同じ動きのパートと音型、音程、音色を寄せる(発音体の違う楽器同士は特に)
④ 曲や場面に合った表現に仕上げる(曲調や調性や拍子、また主役か脇役かでも音量設定や質感など変わってきます)
また、楽器ごとに役割が違うので、それぞれのポイントを挙げますね。
Alto
金管と一緒のときは明瞭な発音を、木管と一緒のときは音量バランスとブレンドする音色を心がけましょう。また、セクションで動くとき1番はしっかりリードして。2番は内声を受け持つので寄り添いつつも、必要な場面ではしっかり出る臨機応変さが必要です。ソロは一歩前へ出る気持ちで、たとえ弱音であってもホール一番奥の人へ表現が伝わるよう、意志を持った演奏をしましょう。
Tenor
中音域パートの隠れたつなぎ役としてのやりがいを楽しみながら演奏してほしいです。課題曲Ⅰ以外でオプションパートを入れない場合は、テナーが全体の中で独立した動きをとる場合もあるので、自分なりの音色感やニュアンスを大切にしながら、常にアンテナを張り巡らせて演奏できるとよいでしょう。
by 高畑次郎(Shionテナー奏者)
Baritone
パワーのある楽器なので、力強いフォルテが出せることはとても魅力的ですが、他楽器の音色にどんなバランスでブレンドするかがとても重要です。マーチのベースラインなどは場面によって使われている楽器が違ったりするので、スコアを読んで、各場面イメージを持って、音色をどう作るか研究してみてください。
by 井澤裕介(Shionバリトン奏者)
では、曲ごとに演奏のポイントをみていきましょう。