サックス記事 この時代の音楽のグルーヴ感を感じ取って雰囲気作りに励むことが大事
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模範演奏プレイヤー 八巻綾一インタビュー&演奏アドバイス

この時代の音楽のグルーヴ感を感じ取って雰囲気作りに励むことが大事

MUSIC

今号でもダウンロード形式で用意した誌面連動の付録ダウンロード音源。今回は70年代〜90年代の洋楽ポップ・スタンダードからミディアム・テンポやスロー・バラードのナンバーを選んだ。誰もが一度は耳にしたことがあるはずの美しいメロディを持った楽曲ばかりだ。本誌掲載の楽譜とダウンロード音源の模範演奏を参考に、カラオケ音源を使って欧米の名バラードやミディアム・チューンをマスターしてほしい。演奏をお願いしたのは、バークリー音楽大学を卒業しボストン、ニューヨークで活動後、日本でビッグバンドやミュージカル、著名アーティストとの共演、CM等、多岐にわたって活躍中で本誌初登場となる八巻綾一氏。今回の課題曲をしなやかに吹くためには、楽譜通りの演奏では物足りない。ダウンロード音源レコーディングにあたって、八巻氏の音楽作りの秘訣を詳しく訊いた。

 

PROFILE
八巻綾一(やまき りょういち)

神奈川県横浜市生まれ。4歳で電子オルガン、12歳でサックスをはじめる。洗足学園短期大学ジャズコース(第一期生)卒。サックスをBob Zung氏、中村誠一氏に師事する。2005年渡米し、Berklee College of Musicへ、同校から多額の奨学金を受けて入学。George Garzone(Sax)、Greg Hopkins(Tp)、Hal Crook(Tb)諸氏に師事し、Jazz Improvisationや作編曲法を学ぶ。在学中は、選抜のBerklee Concert Jazz Orchestraに所属。Montreal Jazz Festivalや老舗ジャズクラブBlues Alleyなどに出演、各地をツアーする。卒業後はNew York とBostonを拠点に、Jazz以外の音楽も取り入れた演奏活動を展開した。帰国後はアーティストのサポートや自身のプロジェクト等で幅広く活躍。現代音楽を含む気鋭の若手作曲家たちによる委託作品等の演奏、といったジャンルを超えた活動をしている。最新作は昨秋リリースした自身のリーダー・ユニットHUit(ユイト)のアルバム「L_ROAD」。


サクソフォンらしく吹くか、吹かないか

 
普段アンブシュアはどういう形で演奏されていますか?
八巻綾一
まったく噛まないんですけど、と言って噛まないわけでもない(笑)。ファットリップとかシンリップの考え方は私にはないですね。自然にそのままです。まず、だらーんと顔の筋肉を緩めます。その状態で息を入れたら、ふっと普通の顔になりますよね。そこを目指すのがいいかなと思っています。今回のような歌の曲を演奏するときは歌詞をどう表現するか、ということで発音がとても大事ですよね。そのためには喉と舌が柔軟に動かなければいけません。可動域が広くなければいけない。なのでアンブシュアは固めません。
最近は、下唇で音色の変化を楽しむようにしていて、出したい音色によって巻き気味にしたり前に出し気味にしたりしていますね。歯の跡などはまったく付かないです。でもそれよりも重要なのは、足の先から頭までの姿勢のバランスや体幹であって、アンブシュアをはじめ口・喉や肩は、思い描いた色々なフレーズに瞬時に反応する瞬発力が必要なので、常にニュートラルの位置に居るようにリラックスしています。まあ、いわゆるシンリップやファットリップのどちらもやってます。もちろん、ダブルリップも状況に応じて使ってます。
『素顔のままで』はアルトで演奏していただきました。ヴォーカルのナチュラルさを感じた演奏だったのですが、アーティキュレーションの使い分けの効果だと感じました。歌モノの演奏では特にアーティキュレーションに意識を持たれているのでしょうか?
八巻
めちゃくちゃ意識しています! ここまでたくさんの人に聴かれている曲って、音の一音一音がしっかり考えて作られていますよね。1フレーズごとに、これがあるからこれがあるという意味合いを持っているんです。特に『She』と『素顔のままで』はそれがすごく出ている曲です。
また、カバーをするときに考えることは「サクソフォンらしく吹くか、吹かないか」です。今回は歌を優先して、忠実に再現しようと決めました。ただ、ビリー・ジョエルの真似で終わってしまってはダメだなと思い、前半は完コピ、フィル・ウッズのソロ以降の後半は少し崩して演奏しました。例えばド♯からレに行くときに引っかかってしまって「サクソフォンだからこうなっちゃうよね」と思われるのは嫌ですからね。レコーディングの瞬間ビリー・ジョエルがどんなことを考えながら歌ったのかな、フィル・ウッズがどんな経緯で現場に呼ばれたのかな、というようなことも考えながら吹きました。

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【収録楽曲】
[E♭譜]『素顔のままで』(ビリー・ジョエル)[1977]
[E♭譜]『マスカレード』(レオン・ラッセル)[1972]
[B♭譜]『The Rose』(ベット・ミドラー)[1980]
[B♭譜]『愛のプレリュード』(カーペンターズ)[1970]
[E♭譜]『She』(エルヴィス・コステロ)[1999]※定期購読者特典ボーナストラック

[お詫びと訂正]
本誌P62『愛のプレリュード』楽譜の14小節目にrit...の速度記号がありますが、誤りで必要ありません。
読書および関係者にお詫びするとともに、ここに訂正させていただきます。


 

THE SAX vol.114 連動音源ダウンロード

【ダウンロードについてのお詫び】
本誌の連動付録の演奏音源とカラオケ音源、SAX CLUB会員限定の演奏音源とカラオケ音源およびピアノ伴奏音源につきまして、ダウンロード開始予定日を8月31日とさせていただきたいと存じます。制作上の関係によりダウンロード開始日が遅れておりますことを、心よりお詫び申し上げます。

 

雑誌購入者全員*が対象!
八巻綾一さんが演奏する『素顔のままで』『マスカレード』『The Rose』『愛のプレリュード』演奏とカラオケ音源がダウンロードできる
*定期購読[配本のみ]プラン、定額オンライン[配本セット]プランを含む

SAX CLUB会員限定!
八巻綾一さんが演奏する『She』の演奏とカラオケ音源がダウンロードできる!

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