サクソフォン編曲で演奏するクラシック・オリジナルの魅力
松下洋インタビュー!サクソフォン編曲で演奏するクラシック・オリジナルの魅力とは?
クラシックはもちろんのこと、ジャズやロックなど幅広いジャンルをレパートリーとしている松下洋。教本出版や、製品開発、楽器店経営も行ない、もはやサクソフォニストの枠を飛び越えた音楽家として活動している。日本のサクソフォン界で、特にクラシック・オリジナルにおいて松下の右に出るものはいない。そんな彼のクラシック音楽に対する強い想いを語ってもらった!
楽器はなんでもいい。その時代の作曲家に触れることが大事。
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普段サクソフォン・オリジナルに対してどのくらいの割合でクラシック・オリジナルを演奏されますか?
松下
今はサクソフォン・オリジナルを演奏することはほとんどないですね。たまに1曲入るかなっていうくらい。サクソフォン・オリジナルは学生の時にやり尽くしたので。
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サクソフォンであえてクラシック・オリジナルを演奏することの魅力はなんでしょうか?
松下
サクソフォンには、ブラームス、ベートーヴェン、モーツァルト、バッハというようなドビュッシーより前の時代の曲がないですよね。クラシック音楽と言えば、ベートーヴェン、モーツァルトのようなイメージがありますが、そういう作曲家に触れられるなら楽器は何でもいいと思っています。たまたまサクソフォンだったんです。でもサクソフォンでよかったなとは思います。例えば、エレキギターみたいな楽器だったらベートーヴェンをピアノとやろうと思うと難しいじゃないですか。サクソフォンはどんなジャンルでもできるのが魅力だと思います。
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サクソフォン編曲の楽譜が出版されていないクラシック・オリジナルに取り組む際、まず何から始めますか?
松下
まず、やったことがある人を探します。世界全体で。よく自分も週1回ぐらいの頻度で連絡が来るんです。「サクソフォンに移調したやつありますか?」と。その時は自分が作った楽譜を提供します。みんながやろうとしている曲はだいたい自分がやっているので、すごく聞かれるんです。そして自分も探します。先月はドビュッシーの『牧神の午後への前奏曲』がやりたくてそれを演奏した人に聞いたら、あるよって。そういう感じで、まず楽譜を持ってる人がいないか探します。それでもいなかったら自分で書きます。曲を探すことに関してですが、昔はいろいろ曲を漁って聴いていました。今はもう大体の曲を知ってるので、知っている曲の中からそういえばあれやってないからやろうかな、という感じで決めています。
次ページにインタビュー続く
・名曲はほとんど演奏した
・クラシック・オリジナルに取り組むことで自分の得意分野がわかる
松下洋 Yo Matsushita
1987年生まれ横浜市出身。主としてソロで活動、超絶技巧のコントロールを駆使し多種多様かつ膨大な量のレパートリーを擁す。演奏ジャンルはクラシック、ジャズ、ロック、現代音楽、バンドサポートなど多岐にわたる。洗足学園音楽大学首席卒業ならびに優秀賞受賞。東京芸術大学院を大学院アカンサス音楽賞を得て首席卒業。慶應大学SFC環境情報学部中退。タイ、中国、台湾、マカオ、フランス、韓国、ドバイなど世界各国でも講師や招聘奏者、国際コンクール審査員として活躍している。洗足学園音楽大学非常勤講師。第1回いちのみや音楽コンクール優勝。第4回 ジャン=マリー・ロンデックス国際サクソフォンコンクール優勝。第31回日本管打楽器コンクールサクソフォン部門第2位。第2回フレデリックフェネル吹奏楽指揮コンクールセミファイナリスト。現在指揮とジャズを勉強中。激辛党、将来の夢は小説家。2020年「EVANGELION FINALLY」のレコーディングに参加、2023年「高橋洋子ワンマンライブ〜月十夜〜」にゲスト奏者として参加。
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