サックス記事 ハードラバーの系統。
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アルトマウスピース吹き比べ聴き比べ ON THE SAX53特集

ハードラバーの系統。

GEAR

アルトマウスピース、メイヤー系とセルマーソロイスト系のハードラバー20本を吹き比べ聴き比べはアルトプレイヤー多田誠司によるプレーズ試奏がTHE SAX53のCDに収録されている。

収録を聴いて印象に残ったマウスピース

多田氏の収録を実際に聴いて、印象に残ったマウスピースをいくつかピックアップしてみました。

<試奏 No.01 Meyer 6MM>
以前多田氏は、このメイヤーの6MMを使われていたからか、とても熟れた感じの演奏で、聴いていてまったく違和感がなく、艶やかで明るい音色が印象的でした。セルマー ソロイスト系の各マウスピースよりも、メイヤー系の各マウスピースのほうが概ね音のサスティン(言い替えるなら音の滞空時間といっても良いかもしれません)があり、伸びやかな音という印象を受けました。
<試奏 No.03 RPC ロールオーバー・バッフル 5*>
この日、試奏を行なってもらった順番と、誌面での掲載順は実は異なります。RPCは7番目に試奏、収録していただいたんですが、この日それまでに吹いたどのマウスピースよりもシャリシャリ感のある音で、「とてもバズが効いているな」と感じました。音は決して太めではありませんが、キラキラした明るい音色がとても魅力的でした。
<試奏 No.08 Wood Stone JAZZ Model Chamber M6>
メイヤーのような艶っぽさとシャリシャリっとバズの効いた音色に付け加えて、メイヤーにはない音の太さを感じました。程良くバズィで、音の太さもある。とてもバランスの良いマウスピースという印象でした。キャノンボールなどが好きな人にはとても向いているのではないでしょうか。
<試奏 No.12 Ted Klum VersiTone 75>
本誌では「メイヤーよりダークで、キラキラ成分が取れて、その分骨太」と多田氏はコメントされています。
試奏やレコーディングを聞かせていただいての感想は、音の太みという点ではメイヤー程ではない感じでしたが、音色のクリアさは、今回のマウスピース中、一番ではないかなと感じました。でも確かに多田氏のおっしゃるように、キラキラした感じというよりも、雑味のない、直進的でクリアな音色といった印象を受けました。
<試奏 No.15 Selmer Spirit 184>
かなりハイバッフルな構造で、普段こういったタイプを吹かれていないせいだと思いますが、ファーストテイクでは、珍しく高い音を外されていました。しかしハイバッフルのタイプを吹きなれている人には、むしろ高音が出しやすいのが特徴だと思います。音のパワー感や音色の鋭さは、レイキー以上といった印象で、エレクトリックの中に在っても、あたり負けはしなさそうです。最近、量産タイプのハードラバー系ハイバッフルマウスピースは、決定版不在といった感がありますが、今後このSelmer Spiritがそのすっぽり抜けたポストにエントリーできるか、要注目です。
<試奏 No.20 Drake NYJA 6 Vintage Resin>
今回のマウスピース中、もっとも音色に個性を感じたのが、このドレイクでした。多田氏の試奏を聴かせてもらい、音程や吹奏感などコントロールも容易そうな印象でした。
RPC同様、今後が注目される逸品だと思います。しかし、音色は個性的でいうことなしなんですが、一点気になるのがリガチャーです。付属のリガチャーはマウスピースと同じく、ヴィンテージレジンの素材で造られているとのことですが、吹き込んでいるうちにリードが滑って定位置からずれ、多田氏は、リードを何度か付け直して試奏されていました。それでも、リードのフィット感が甘く、結局、自信のリガチャー(ウッドストーン)で、多田氏は試奏に臨まれました。
多田氏の試奏後、マウスピースを良く観察してみると、メイヤーなどに比べてややマウスピースの径が小さく、きつめのテーパーが施されています。テーパーがきついということは、そのテーパーに合ったリガチャーを探さないとリードは滑りやすく、ズレやすいといえます。また、リードがズレやすいもう一つの原因は、つるつるとしたマウスピースの素材自体に在るようです。とても滑らかな素材な上、製品精度が高いことが、リードとマウスピースの接地という点では、逆に滑りやすい要因になっているようです。マウスピースを購入する際には、店員さんに相談してフィットするリガチャーも一緒に選んで購入したほうが良いかもしれません。
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