サックス記事 Dr.Sawamuraの「ゼロから始めるアドリブ入門!」Lesson2
[1ページ目│記事トップ
THE SAX 73号 連載<第2回>

Dr.Sawamuraの「ゼロから始めるアドリブ入門!」Lesson2

LESSON

アドリブができずに悩んでいる読者に向けて送る、沢村氏による連載第2回目!本誌連動の動画・カラオケ音源を利用して、モニター受講生と一緒に体験してみよう!

Sonic Solfa Music Method TM.(渋谷アクタスSelmer Japan 後援)
難しい音楽用語を一切使わずに自由にアドリブが出来る様に工夫 された、効率の高い新しい学習システム、Sonic Solfa Music Method TM.を確立した沢村満氏が、アドリブができずに悩んでいる読者に向けて送るアドリブ入門クリニック! 音楽のスタイルではなく、根本的に自分のアイデアで自由にアドリブができるように、この連載を通して沢村満氏がナビゲートします! LESSON2は、いよいよ実践!
LESSON 2  自由にアドリブするための正攻法手順 

 

モニター受講生と一緒にやってみよう!
今回3人のモニター受講生に、連載に沿って実際に体験してもらいました。受講生は演奏歴や年齢も様々。このプログラムは「自由にアドリブできるための手順」を体感することが目的です。受講生は、それぞれの症状に応じながら処方を受け、手順を体感します。みなさんも自分の状況に照らし合わせて、類似した方の動画を参考にしながら、また他のタイプの方の手順を参考にして自宅練習に役立ててください。
アドリブ入門モニター受講生
処方箋1
「4つの箱」と一緒に走る
何も考えず時間の流れを大きく感じながらスケールを吹いて4小節でぴたりと止める。あれこれ考えず時間の流れを感じながら吹く身体能力を養います。4小節の時間の流れをスケールを吹きながら感じ取ることがポイント。

手順A:スケール(練習用カラオケ①)
自分がどこで何をやっているか?を正確に知るためのリハビリです。上下滑らかに4つの箱(4小節のカラオケ)できっちりと止まれば良いだけ。ドレミファソラシドをドからドまでのオクターブの範囲で上がったり下がったり行ったり来たりするだけです。下の4つの箱(4小節)を見ながらWEBの練習用カラオケ①と一緒に吹き始めましょう。
(キーボードでの練習はin C、アルトサックスでの練習はin E♭、テナーサックスでの練習はin B♭をお使いください。「ダウンロードする」ボタンをクリックすると、再生できます。さらに画面上で右クリック、「別名で保存する」で、WAV形式で保存できます。)
4つの箱
カラオケ音源1inC
カラオケ音源1inB♭
カラオケ音源1inE♭
ドの音から始められるようになったら、次はレから始めましょう。そして次はミから。つまり、ドレミファソラシド全部の音からスケールを吹いて4小節ぴったりで止まるわけです。両端のドからはみ出ないようにコントロールが求められます。ここでは身体能力が意外と必要になります。「余計なところで変な音を出してしまう」という悩みがある場合、その原因はこの時間感覚が不正確なことに由来します。生まれて初めてやることですので、WEBドキュメント動画のように、最初はうっかりドからはみ出て吹いてしまったり、4小節でぴたりと止めることができなかったりすると思います。それが正確に吹けるようにリハビリします。

処方箋1 : モニター受講生動画

大内さん(演奏歴8ヶ月)


米山さん(演奏歴10年)


富山さん(演奏歴50年)
処方箋2
「STOP TIME」
ドレミファソラシドに自分の意志を投入!
標本のようにあるドレミファソラシドがいくら上手く吹けても自由にアドリブができるようにはなりません。なぜなら、そこには「創作」という自分の意志が反映されていないからです。では、標本のスケールを如何に自分の意志のままに演奏するか?についてご説明します。

■手順B:ストップタイム(練習用カラオケ①)
ドレミファソラシドのスケール練習の最中に、速く吹きたい時は速く、遅く吹きたい時は遅く、また自分が止まりたいと思った時は、音をストップしてみます。先ほどの練習用カラオケ①を使って吹いてみましょう!

<気持ちの三原則〜自由にアドリブするための3つの意志表示>
①速く吹きたい気持ち
②遅く吹きたい気持ち
③吹きたくない気持ち

4つの箱
この際も手順Aと同様に、両端のドから絶対にはみ出ないようにコントロールが求められます。そして、全部の音から始めてみましょう。WEBドキュメント動画のように、モニター受講生も最初は戸惑いますが、これが自由にアドリブするために必要な、自分の中から出る必然性エネルギーを引き出します。

■手順C:枠はずし(練習用カラオケ②)
通常、スケールと言うとドからドまでを練習しますが、これを習慣にしてしまうと、ドから下へ、上のドから上へ、とっさに行きたい願望に駆られた時に指が動かない症状が出ます。ここでは、練習用カラオケ②を使って、ドからドの枠をはずして、箱の長さを気にせず夢中になって吹いてみましょう。

4つの箱
カラオケ音源1inC
カラオケ音源1inB♭
カラオケ音源1inE♭
あくまでもスケール練習ですので、絶対に音を飛ばさないように! メンタルなコントロールが要求されます。スケール練習だけでも最大限自分がアピールできるように自分の個性を発揮させます。

処方箋2 : モニター受講生動画

米山さん(演奏歴10年)


 

処方箋3
「メロディ」創作
■手順D:ストップタイム(練習用カラオケ②)
ストップタイムで唯一できなかったアピールは、音を飛ばすこと。今度は、音の横並びをやめて、音を飛ばして自分の個性を最大限アピールしてみましょう! 先ほどの練習用カラオケ②を使って、スケールやストップタイムではできなかった技にトライ!

4つの箱
スケールは練習すれば誰でも吹けますが、それができたところで没個性です。アドリブとは自分の個性を音で表現できるところに価値があります。音同士が横並びのスケールではなく、「どのように音を飛ばすか?」にその人の性格や個性が反映されます。自分の感性を信じて音を飛ばしてみましょう! 音を飛ばす判断とその発想は人それぞれ。それが個性豊かなアドリブになります。当たり前なスケールがとたんに曲のように生まれ変わる瞬間です。祝! このようにして個性豊かなアドリブは音を飛ばす創作脳のエネルギーが必要になります。
処方箋3 : モニター受講生動画

大内さん(演奏歴8ヶ月)


米山さん(演奏歴10年)


富山さん(演奏歴50年)

 

次号までのホームワーク
4つの箱
■A:スケール>B:ストップタイム>C:枠はずし>D:メロディ創作
の手順で、ドレミファソラシドのスケールを使って、どの音からでも正確に吹けるようにしましょう!
4つの箱
講師紹介  沢村満 

Profile 沢村満…………1975年タンパ・フロリダ州立Chamberlain高校卒業。1981年ボストン・バークリー音楽大学卒業。フィル・ウッズ、ジョー・アラード教授に師事。在学中に2年間理論補講クラスの講師を務める。在学中に結成したグループがランディ・ブレッカーに認められ、来日の際にランディ・ブレッカーの「Jazz Life」誌インタビューで紹介されたことをきっかけに、日本の音楽業界で活動を始める。その後、YMOリーダーの細野晴臣のために作成したデモテープが採用され本格的にレコーディング契約を結ぶ。また、坂本龍一や渡辺香津美などのツアーメンバーとしてサックスとキーボードを担当。さらにキリンビール、キャノン、日産自動車などのCM音楽を手がける。その後、パリコレクションの音楽担当などを経て、細野晴臣主宰の代々木アニメーション音楽学校の理論主任を務めるなかでSONIC SOLFA MUSIC METHOD TM. 登録商標を獲得。以降、メソッドはスキルや知識情報伝達に関しての合理的なシステム開発へと進む。現在、自己のソロアルバムをレコーディング中。

 

 

サックス