サックス記事 マーク・ターナー&三木俊雄
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THE SAX 72号 Talk Jam3

マーク・ターナー&三木俊雄

ARTIST

ともにバークリーで学んだに日米トップテナーのフレンドリー対談!

「ジョン・コルトレーン以降で最も影響力のあるサックス・プレイヤー」とも称される実力派テナー奏者マーク・ターナー。重鎮トランペット奏者トム・ハレルの丸の内コットンクラブで公演で来日した彼をキャッチ。バークリー音楽大学で同じ時期に学んだ旧友でもある三木俊雄氏にインタビュアーを務めてもらい、忌憚のない話を訊くことができた。ここではその一部を紹介しよう。



三木俊雄&マーク・ターナー

三木  お久しぶりです。改めて聞くのもナンだけど、読者のために楽器を始めたきっかけなどを教えてくれるかな。

マーク OK。楽器を始めたのは9歳の時で、スクールバンドでのクラリネットが最初だった。といってもマーチングなどのいわゆるブラスバンドで、ジャズをやっていたわけじゃないんだ。特に音楽的な環境に育ったわけじゃないけど、父親は音楽好きで家ではよくR&Bやジャズのレコードをかけていた。父の親友にいわゆるジャズオタクがいてね、彼は1万枚以上もジャズのレコードを持っていて、よく聴かせてもらったよ。13歳の頃にアルトサックスを始め、高校でテナーに転向した。その頃からジャズに興味を持つようになり、親父のレコードを自分で聴くようになった。実はそれからアートスクールに行って絵を勉強していたんだ。初めてトランスクライブ(ソロのコピー)なんかをしてみたのもその頃で、結局やりたいのはジャズだということがわかって大学に行った。で、君と出会ったわけだ(笑)。

三木  楽器とセットアップについて教えてくれるかな?

マーク  セルマーのスーパー・バランスド・アクション。普段は4万9千番台のを使っているけど、今オーバーホール中なんだ。今回の楽器は3万8千番台。キーの配列は共にオフセットだけど、この楽器のほうがより左右に広がっている感じがする。マウスピースはオットーリンクのハードラバー、アーリーバビット・トーンエッジだ。前回日本に来た時はオープニングサイズ105(7*)を使っていたけど、ちょっとフェイシングが長過ぎる感じがして今は103(少し広めの7)のものを使っている。リードはいろいろ試しているけど、これはロベルトウッドウインドの4ハードだ。


Profile : マーク・ターナー
1965年にオハイオ州に生まれ、4歳からカリフォルニアで暮らす。音楽と同様の情熱を美術にも注ぎ、当初はイラストレーターを目指していた。ロング・ビーチ大学で芸術を専攻した後に、バークリー音楽大学に入学し、同世代の若いミュージシャンと交流。その後、ニューヨークへ移りジョシュア・レッドマン(Ts)、カート・ローゼンウィンケル(Guit)、ジェフ・バラード(Ds)などとジャズクラブ「スモールズ」などでセッションを重ねていくうちに、本格的音楽活動を開始した。「コルトレーン以降、最も影響力のあるサックス・プレイヤー」という評価もある。最新作は2014年にECMからリリースした「Lathe of Heaven」。

マーク・ターナーのCD
Mark Turner Quartet「Lathe Of Heaven」(ECM)

Profile : 三木俊雄(みきとしお)
1963年大阪府生まれ。関西大学卒業。バークリー音楽大学卒業。1996年より自己の率いる「フロントページ・オーケストラ」の活動を続け、2004年に「ハーモニー・オブ・ザ・ソウル」、2013年に「STOP & GO」をリリース。ジャズ・シーンのみならずDOUBLE、押尾コータロー等とのコラボアルバムも手掛けるほか、小曽根真率いるNo Name Horsesのメンバーとして国内外のコンサートに出演、アルバムごとに楽曲を提供する。スイング・ジャーナル誌人気投票において、テナーサックス部門第3位、コンポーザー・アレンジャー部門第5位、ビッグバンド部門においてフロントページ・オーケストラが第6位を獲得している。尚美学園大学 芸術情報学部 音楽表現学科 非常勤講師。