短調の可能性を広げる マイナーキー徹底攻略!(三浦真理、佐藤渉、井出慎二、宮地スグル)
短調の入門からアドリブにおける多様なアプローチまで各シーンで活躍する四氏が徹底解説!
クラシック、ジャズ、歌謡曲などすべてのジャンルにおいて、意外と多いマイナー(短調)のヒット曲。しかし、いざ演奏するとなると、なんとなく苦手意識を持っている人が多いのでは? クラシックなら短音階のトレーニングをすることで、曲中でのフィンガリングがスムースにいき、暗譜もしやすくなり、音色にも良い影響が出るなど、役立つことがとても多い。さらにジャズでは、マイナースケールやマイナー・コード、またその密接な関係を知ることで、多様なアプローチができるようになり、アドリブ上達にも繋がるだろう。この特集では、各方面で活躍中の三浦真理、佐藤 渉、井出慎二、宮地スグルの四氏に、テーマ別に解説をいただいた。 (全文はTHE SAX82号掲載)
入門編 マイナーとは?
「THE SAX」読者の皆さんは、毎日ジャズやクラシックをバリバリ吹いていることと思います! でも、いろいろな曲を演奏していく中で、長調の楽曲に比べて、短調の楽曲はちょっと苦手、という方は多いのではないでしょうか? そんな読者のために、今回は短調の入門編を担当することになりました。よろしくお願いいたします。(解説:三浦真理)
<掲載内容>
★長調(メジャー)と短調(マイナー)について
★3種類の短音階(マイナースケール)について
三浦真理
1983年、国立音楽大学作曲科を首席で卒業。同大学院修了。第1回サクソフォーン協会主催作曲コンクール入選。ピアノデュオ国際作曲コンクール第1回、第2回入選。NHK交響楽団元首席奏者、霧生吉秀氏をはじめ、委嘱作品多数。サックスの作品では『ティータイムの画集』『ファンタスティック・モネ』がある。その他フルート、ピアノ、合唱等で、作・編曲作品を出版している。
基礎力アップ! 効果的トレーニング法
「明るい、澄んだ」などの印象を与える長調に対し、「苛立ち、悲しみ」から「激情、無感情」までの幅広い表現に用いられる短調。ソロ楽曲の中ではもちろん、カルテットで、また吹奏楽の中で経験された方も多いことでしょう。このコーナーでは短調の練習を通して技術と表現力の向上を目指していきます!(解説:佐藤 渉)
<掲載内容>
★技術について……あらかじめスケール練習をこなし、ある程度の技術的問題は解決しておきましょう
・a mall 和声的短音階
・a mall 和声的短音階 平行8度
・D minor pentatonic scale
・コルトレーン風フレーズ
★音色について……音色感の幅を広げるエクササイズ
・バッハ風エクササイズを使った音色感の練習
★タンギングの重要性について……響きのある音、表現したい音にはタンギングが必要
・バッハ風エクササイズを使ったタンギングの練習
本誌P17-19掲載 効果的トレーニング法 演奏&解説:佐藤 渉(As)
佐藤 渉(さとうわたる)
シンシナティ音楽院を経てノースウエスタン大学院修了。 1996年北アメリカ・サクソフォーン連盟コンペティション第3位。 雲井雅人サックス四重奏団、東京吹奏楽団、なにわ《オーケストラル》ウインズ、フェローサクソフォーン・カルテットなどのメンバーとして、多数のコンサートや録音に参加。ヤマハ教材やジャズ、ポップスの録音、ダブリングのシアター・ワークや自身名義のグループでのライブも行なっている。
基本スケールで学ぶマイナーアプローチ
マイナー調の曲で「ピン!」って思い出しましたのは、この原稿を書いています季節柄なのか、キャンディーズの『春一番』!! それ以外にもマイナー調のヒットソングといえば、『青い山脈』『悲しき口笛』『有楽町で逢いましょう』『魅せられて』『異邦人』『ルビーの指輪』『三年目の浮気』『もしかして』……など挙げたらきりがありません。艶やかで、哀愁漂う大人の内容の曲が多かったと思います。あとはアニメソング「ひみつアッコちゃん」のエンディングテーマ『すきすきソング』!! はい、世代バレバレですね(汗)、中高生の皆さまごめんなさい! 実は『春一番』『すきすきソング』の両曲はマイナー調でかつ「マイナーペンタトニック」というスケールで主に構成されています(もちろんのことそれ以外の音もところどころで出てはおりますが……ちなみに『すきすきソング』はマイナーのブルース曲です)。 (解説:井出慎二)
<掲載内容>
★ペンタトニック・スケールについて
★マイナーのペンタトニック・スケールについて
★『およげ!たいやきくん』に見るマイナースケールの効果的な使われ方
★ブルーノート・スケールとは
★ハーモニック・マイナーとそのフレーズ
★楽譜『ブルー・ボッサ』for Alto Sax……4種類のマイナースケールを使った、アドリブ例
【訂正とお詫び】
・本誌、22ページの譜例10の、使用スケール譜例に誤りがございました。 ここに訂正しお詫びを申し上げます。
本誌P24-25掲載『ブルー・ボッサ』(for As)演奏:井出慎二
井出慎二(いでしんじ)
1975年東京都生まれ。明治大学在学中に山野ビッグ・バンド・ジャズ・コンテスト、浅草JAZZコンテストなどでソリスト賞受賞。その後バークリー音楽院に留学。現在は、自身のユニット「大筒小筒」をはじめ、「Tokyo Brass Art Orchestra」「宮嶋みぎわMiggy+ Jazz Orch」のメンバーとして活躍中。 クインシー・ジョーンズ ビッグバンド (2013年〈東京国際フォーラム〉)や宇崎竜童バンド「O,J,B,」(バンドマスター2007~2012) Funk Orchestra TPO、David Matthews J.J.Catsに参加し、陸上自衛隊 第1音楽隊 創立60周年記念演奏会にゲストソロイストとして出演。 楽器指導を井出慎二サックス教室(池袋・相模原)にて、およびトート音楽院(渋谷)ビッグバンドアンサンブル講師。
詳細は、井出慎二 http://shinjide.web.fc2.com/にて
アドリブに役立つ多様なマイナーアプローチ
ここからは、より深くマイナーを追求したい!という愛好家の方に向けて、お送りします。ジャズのアドリブにおいて、ある程度吹けるようになってきたら、次は浮遊感や緊張感のあるフレーズにチャレンジしてみたいと思っている方も少なくないでしょう。そんな愛好家の方へ。「あ!こんなアプローチもあったのか!」と新たな発見につながれば嬉しいです。(解説:宮地スグル)
<掲載内容>
★ダイアトニックコードについて
★ダイアトニックコードに基づくスケールについて
★ダイアトニックスケールを使ったフレーズ例
★マイナーコード一発上でのアプローチ例
★サブ・ドミナント・マイナー上でのアプローチ
★楽譜『ビューティフル・ラヴ』for Tenor Sax……様々なスケールを使ったアドリブ例
【訂正とお詫び】
・本誌、 31ページの『ビューティフル・ラヴ』譜例に誤りがございました。 ここに訂正しお詫びを申し上げます。
【アドリブ譜例 6段目3小節目のコード】
本誌P30-31掲載『ビューティフル・ラヴ』(for Ts)演奏:宮地スグル
本誌P30-31掲載『ビューティフル・ラヴ』の注釈部分についての解説
宮地スグル(みやじすぐる)
両親の影響で幼少よりマイルス・デイヴィス(Tp)、アート・ブレーキー(Ds)等を聴いて育つ。6歳でエレクトーン、15歳でサックスを始める。関西学院大在学中よりプロ活動を始め、90年、同大学を中退して米国ボストンのバークリー音大に奨学金を得て留学。この頃、ジェリー・バーガンジ氏(Ts)に師事し、氏の即興演奏メソッドをすべて習得。93年に同大パフォーマンス科を卒業後は居をNYに構え、エブリン・ブレーキー(Vo)、ティト・プエンテ (Timb)、ブルース・バース(Pf)、ホルへ・ロッシー(Ds)、ジョン・ステッチ(Pf)各氏と「バードランド」などのライブハウスにて共演。また、 ジャズ以外のジャンルでも演奏やレコーディングを経験。96年に帰国後は首都圏で活動を始め、向井滋春(Tb)、大森明(As)、バイソン片山 (Ds)、池田芳夫(Bass)、小林陽一(Ds)各氏と共演。様々なセッションを経てリーダーバンドを結成、リーダーアルバムは現在まで7枚に及ぶ。NHK「セッション505」などの音楽番組に多数出演。雑誌にも活動が取り上げられる。同時に地道な全国ツアーによって、各地のファンにアピールを続ける。
http://www7b.biglobe.ne.jp/~noizz/index.html
今回は、特集「マイナーキー徹底攻略!」に連動して、「Alterd Chord and Scale」の説明に加え、『エアジン』の冒頭8小節におけるマイナーキー部分について、考えられる複数のアプローチ方法をあげました。フレーズ例とともに検証してみましょう。
★楽譜『エアジン』for Alto & Tenor
・Analysis アナライズ
・Available Scale アヴェイラブル・スケール
・冒頭8小節のマイナーキーにおける、多様なアプローチを複数提案
・Alto Sax アドリブ例
・Tenor Sax アドリブ例
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