サックス記事 矢野沙織  ×  Xperia CM曲『VOICES』サックスver.ピース楽譜に!
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THE SAX vol.85

矢野沙織 × Xperia CM曲『VOICES』サックスver.ピース楽譜に!

ARTIST

“Xperia XZs” TV-CMに出演中のジャズ・サックス奏者、矢野沙織さんにインタビュー! CM曲『VOICES Sax Ver.』待望のピース楽譜化!

6月からオンエアー中の “Xperia XZs” のTV-CMが、音楽ファンの間で話題になっている。そう、出演しているのは、ジャズサックス奏者、矢野沙織さん。久しぶりにTVに登場した彼女に、CM撮影のエピソードや彼女が演奏するCM曲『Voices』のことについてお話を伺った。
(取材協力:Sony Mobile Communications Inc.、日本コロムビア)


演奏しているだけでは
できなかった体験
—最近、 “Xperia XZs”のTV-CMに出演されていますね。反響はありますか?
矢野 知り合いやファンの方からはもちろん、特に私をまだ知らない方からの反響が大きかったです。

—撮影中、楽しかったこと、苦労したことなど、特に印象に残っている出来事はありますか?
矢野 撮影現場には、私も含めてカメラマンやヘアメイクの方など、特殊な職業の方が集まってくるので、演奏だけのお仕事の現場とはまた違う意味で勉強になりました。例えば、タイムスケジュール的なことや、失敗は許されないこと、予想外のことが起きたりすることなど。演奏しているだけでは体験できないことがたくさんありました。あと、撮影が3月だったので、とても寒かったです(笑)。

—最初にCM曲『Voices』を聴いたときに、どう思いましたか?
矢野 もともと私の携帯(Xperia)の着信音がこの曲だったんですね。なので、「ああ、この曲か」と(笑)。

—CMには、15秒バージョンと30秒バージョンがありますね。
さらにCM曲『Voices』公式WEBサイトでは屋内で撮影されたミュージックビデオ(演奏はフルバージョン)も見ることができますね。どのような順番で、撮影、演奏の収録は行われたのでしょうか?

矢野 最初に屋外でのCM撮影がありました。その後にレコーディング・スタジオでのCM曲『Voices』の演奏収録、最後に屋内でのミュージックビデオ撮影という流れでした。

CM15秒 バージョン

 


CM30秒 バージョン

 

セッションしながら収録した
CM曲『Voices』
—『Voices』のアレンジはどのように?
矢野 最初にテーマ(メロディ)とコードのみが書かれた譜面を渡され、レコーディング・スタジオでは、どこでアドリブを入れて良いかということと尺だけ決めて、ストリングス以外のサックス、ピアノ、ベース、パーカッションにおいては、セッションを重ねながら形にしていきました。

—実際に『Voices』を演奏してみてどう思いましたか?
矢野 アルペジオ(分散和音)のモチーフだけでメロディができているので、どうにでもアレンジできる曲だな、いいモチーフだなという印象を受けました。現に、このCM曲にはいろんなバージョンがあって、どれも様になっていますよね。

—いきなり、高音域で叫ぶようなサックスのカデンツァから始まりますが、あれはインパクトありますよね。
矢野 フラジオを出しながら「声」を出す「グロートーン(もしくはグロウル)」奏法を使っています。これに関しては、こんな音を出してほしいというオーダーがあったんです。

—“フラジオ”や“グロートーン”を出すコツはありますか?
矢野 コツですか……。実は私、10年くらい前まではフラジオは出せなかったんです。やる必要もないと思っていた。私の使っているような古い楽器にはキィも付いていないですし、そういった音は出しにくいんですね。しかもあまりやりすぎると“要調整”ということにもなりかねない。そうですね……。やはりイメージでしょうか。あとはオーバートーン(倍音)の練習をすると、イメージの音が出しやすくなると思います。キィパッドを全部閉じた状態(B♭の運指)で倍音を出していく練習ですね。難しい練習ですけど、毎日15分ずつやるだけでも音が楽に鳴りやすくなるので、先々を考えるならぜひやっておいたほうがいい練習だと思います。

—この『Voices』をサックスで演奏するにあたり、特に留意したことはありますか?
矢野 なるべく難しいことはせず、視聴者の印象に残るような演奏を心がけました。使っているスケールも基本的なものから外れていないですし、誰でも吹けるようなフレーズです。この曲の調性はアルトサックスにおけるF minorで、ブルーノートスケールは自ずと使っていますね。オーダーに応えていくうちに、小難しくやるより、ストレートにやったほうがいいかなと。もともと私はそんなに難しいことをやるほうではないですけどね。
フルバージョン『Voices』の演奏が
ピース楽譜に!
—THE SAXでは、この『Voices』をサックスで演奏したい!と思っている方のために、矢野さんの演奏(フルバージョン)をピース楽譜にしました。矢野さんからの演奏アドバイスをお願いします。
矢野 テーマのモチーフがずっと繰り返されるメロディで、さらに合いの手も自分で入れるような感じなので、吹いていくうちに結構忙しくなってくると思います(笑)。なので、リズムに乗ってブレスをタイミング良く取っていくことは大事ですね。
シンプルなモチーフだけに運指ミスや休符のノリ違えがあるといけません。モチーフ部分はイーブンな16分音符を心掛けてください。
それから、繰り返し練習していくことで、例えば【A】の4小節目のようなタイミングで入るリフを自分で考えたりイメージが湧いてくるでしょう。そうしたら譜面は無視してしまって好きなタイミングでモチーフを入れたり、自分なりのリフを入れてみましょう。とても発見の多い一曲となると思います。

『Voices』ミュージックビデオ フルバージョン

 

今後の女性プレイヤーのために
発信していきたい
—矢野さんの今後の活動予定をお聞かせください。
矢野 実は来年、出産を控えていることもあり、10月以降はしばらく音楽活動をお休みさせていただく予定です。そして出産が落ち着いたら、なるべく早く復帰したいなと思っています。来年、デビュー15周年を迎えるので、それに合わせてライブやアルバム制作もできれば良いのですが……。ただ、子どもがいる女性というとジャズサックス奏者では前例が少ないこともあって、私もその時になってみないと分からないのですが。今後の女性プレイヤーのためにも、何か役に立てそうなことを発信できたらなと思っています。これから結婚してお子さんがほしい方もたくさんいらっしゃるでしょうから、「こうやったらできたよ」というような感じで、皆さんの実験台になれればなと(笑)

<使用中のセッティング>
楽器:コーン26M、マウスピース:石森管楽器オリジナル、リガチャー:Wood Stoneソリッドシルバー、リード:Wood Stone3 1/2、ストラップ:Wood Stone
Profile
矢野沙織(やのさおり)
  1986年生まれ 東京出身。9歳のときブラスバンドでアルト・サックスを始める。チャーリー・パーカーに衝撃を受けジャズに傾倒、14歳でビリー・ホリデイの自叙伝に感銘し、自らジャズクラブに出演交渉を行ってライブ活動をスタート。2003年に「YANO SAORI」でデビュー。その後もコンスタントにアルバムをリリースし、また様々なフォーマットでのライブ活動を展開して高人気を誇る一方、テレビ朝日系「報道ステーション」テーマ曲に起用されるなど、テレビCMに出演するなど、幅広いファン層にもアピールしている。最新作は、2015年『Bubble Bubble Bebop』。
矢野沙織 Xperia
矢野沙織さんの演奏による『Voices』
サックス・フルバージョンの楽譜&音源はこちら

■サックス・ソロピース楽譜

Xperia XZs CM曲 VOICES Sax ver.〜featuring 矢野沙織

価格:¥1,200(税抜)
ISBN:78-4-87312-442-1
JAN:4 560395 464420
ALSXPC011
アルソ出版 刊

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■音源無料ダウンロード
VOICESのホームページより、音源の無料ダウンロードが可能。
http://www.sonymobile.co.jp/voices/music/