サックス記事

MAKE YOUR OWN SOLO ♯11

ON THE SAX 53

【Lotus Blossom】予告編

MAKE YOUR OWN SOLO
<雑誌掲載リードシートの採譜について>

アドリブを自分で作り、その「書きリブ」のいま一つイケテない部分を修正、「どういうふうにすればカッコいいフレーズになるか、フレーズどうしのつながりが上手くいくか」などをジャズ・アルト奏者 大森明氏が検証、アドリブ作成の手ほどきをしてくれる本連載ですが、今回は毎号掲載しているリードシートについて触れてみたいと思います。

11回目を迎える今回の課題曲は、トランぺッター、ケニー・ドーハムの名曲『Lotus Blossom』(ロータスブロッサム)です。 これまではアドリブの書き易さを重視して、セッションなどで取り上げられることの多い楽曲を課題曲として選びお届けしてきましたが、ザ・サックス 50号からは、読者から寄せられた要望に応え、有名曲でありながら、アメリカのリアルブックにも掲載されていないような楽曲、しかもテーマメロディがキャッチーなものをセレクトし、大森氏の採譜によりお送りさせていただいています。

ちなみに50号では、ジジ・グライスの隠れた名曲『social call』(ソーシャルコール)を、51号では、ジャッキー・マクリーンのアルバム「Demon's Dance」に収録されていて、同アルバムの共演者、ウディ・ショウ(Tp)のペンによる『Sweet Love of Mine』のリードシートを掲載。ちなみにこの曲も有名曲でありながら、国内の曲集はもちろん、アメリカのリアルブックにも掲載されていません。……不思議ですね。 そして52号では、リー・コニッツの『Subconscious Lee II』。そして今号(53)はケニー・ドーハムの『Lotus Blossom』(ロータスブロッサム)です。この曲に関して、資料用としての楽譜を探すため、国内はもちろんアメリカのいくつものリアルブックを探し、なかには明らかにコードの間違っている楽譜(リードシート)をみつけることが出来ましたが、正確な楽譜はまったくといっていいほど見当たりませんでした。たしかにこの曲は、コードも含めて採譜が大変そうです。

アメリカで売られている多くのリアルブックや、特に国内のスタンダード曲集などは、「コードやテーマメロディがとても正確に書かれている」といったものが実に少ないのが現状です。  その正確ではない譜面を見ながらセッションに参加した場合、「他のメンバーの演奏するコードとどうも合わない」なんてこともきっとあるでしょう。また、ジャズの場合、いろいろなスタンダード曲を覚えるといったことも重要かと思いますが、正確ではないコードチェンジなど覚えたくないですよね……。 少し先の話になりますが、アルソでこれぞ決定版と呼べるスタンダード曲集を出しますので、ご期待ください!

話が逸れてしまいましたが、採譜は前述のとおり、すべての楽曲を大森明氏にお願いしています。大森氏といえば、いまさら申すまでもありませんが、正統派ビバップのラインと粋な歌心。なんといってもバジーで艶っぽい音色に多くのファンを持つ実力派アルト奏者で、その演奏もさることながら、採譜の正確さ、技量の高さも特筆ものです。このことは是非みなさんにお知らせしたいことです。 本連載のジャズの名曲でソロを創ろうという内容とともに、大森氏の採譜によるリードシートにも是非注目していただきたいと思います。 このリードシートは、セッションなどで即戦力として活用できますよ。





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大森明