クローバー・サクソフォン・クヮルテット~結成から12年を経てリサイタル開催~
THE SAX vol.86 | Interview
“正統派サクソフォーン四重奏団”との呼び声が高いクローバー・サクソフォン・クヮルテットが、来年1月にリサイタルを開催する。メンバーそれぞれの活動が忙しい中、全員で音を出しながら編曲に取り組むなど、結成から12年経った現在も演奏に対する意気込みは強い。今回は、テナーサックスを担当する貝沼拓実さんから、グループの現在についてお話を伺った。
良い距離感を保つことが、室内楽の秘訣
- ――
- 前回本誌にご登場いただいてから、7年ほど経ちました。メンバーの皆さんがそれぞれにご活躍でお忙しい中、カルテットの活動にも変化がありましたか?
- 貝沼
- 確かに、少しずつ変化はあります。林田君は東京佼成ウインドオーケストラ、田村くんと坂口くんはブリッツ・フィルハーモニック・ウインズ、僕はシエナ・ウインド・オーケストラと、それぞれの活動をしながら各々スキルを磨いて、それがカルテットの音に活きてきたと実感することが多くなりました。個々の経験値が、カルテット全体の音楽づくりに発揮されていると、僕は個人的に感じています。リハーサルも、以前に比べると言葉で話すより音の対話が中心になりました。それぞれの音のアイデアや、こうしていきたいという思いが、音を通してきちんと見えるようになったと思います。そこで、自分がどう立ち振る舞ったらいいのかを考えるようになりました。
- ――
- 結成から12年ですが、長く続けてきた秘訣は?
- 貝沼
- 僕らはあまりベタベタしていなくて、お互いのペースを大事にせざるを得なくなったというか、良くも悪くも諦めるというか(笑)。お互いの音楽作りや練習のペース、休憩するタイミングなども理解しているので、良い距離感を保っていることが一番の秘訣かもしれません。室内楽のグループは、夫婦みたいなものだと言いますからね(笑)。
- ――
- これまでの活動で、印象的だったステージはありますか?
- 貝沼
- 結成10周年記念リサイタルですね。これが終わった時、ここからがスタートなんだと改めて思いました。それぞれが自立した活動でキャリアを重ねて、カルテットとしての音も少しできあがってきた。これから、さらにいい音楽が作っていけるという確信が持てました。それまでは、一回一回のリサイタルに必死で、とにかく一生懸命だった。今取り組んでいることを、どこまで高められるかということにベクトルを置いていましたからね。僕らが学生時代に室内楽を教わった中村均一先生が、「カルテットは、まず10年だ!」と話していたんですが、その意味がわかったねとメンバー同士で話しました。
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プロフィール
Clover Saxophone Quartet(クローバー・サクソフォン・クヮルテット)
2005年、東京藝術大学の同窓生である林田祐和(ソプラノ)、田村真寛(アルト)、貝沼拓実(テナー)、坂口大介(バリトン)の4名で結成。従来のサクソフォンのイメージを変えてしまうその響きは、クラシカル・サクソフォン音楽の新たな幕開けとなる。2007年5月に東京文化会館にてリサイタル・デビュー。以降、これまでに東京文化会館、紀尾井ホール、浜離宮朝日ホール等で定期的にリサイタルを開催。いずれも大成功をおさめる。2012年の定期公演では、東京文化会館にてバッハの『ゴルドベルク変奏曲』を全曲演奏し大好評を得る。2009年、NHKFMリサイタルに出演。キングレコードからCD「クローバー」「プレシャス」「ゴルトベルク変奏曲」をリリース。「プレシャス」は、レコード芸術誌において特選盤に選ばれている。
「クローバー・サクソフォン・クヮルテット リサイタル」
日時:2018年1月23日(火)19:00
会場:東京文化会館小ホール(東京)
料金:¥3,500(前売・一般)、¥2,000(前売・学生) ※当日各¥500増し
曲目:ハイドンの主題による変奏曲(J.ブラームス:C.ウールセン編)/サクソフォン四重奏曲(A.デザンクロ)/Fragments of the star(林田祐和)/弦楽四重奏曲(M.ラヴェル:クローバー・サクソフォン・クヮルテット編)
問合せ:03-3475-6870(インターミューズ・トウキョウ)
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