ディック・オーツ&近藤和彦 国境を超えたジャズアルト 夢の師弟対談!
数々の世界のレジェンドたちと共演してきたベテラン・サックス奏者ディック・オーツが来日。ディック・オーツと師弟関係にある日本を代表するジャズアルト奏者 近藤和彦との対談が実現!
数々の世界のレジェンドたちと共演してきたベテラン・サックス奏者ディック・オーツが、去る11月に、ライブとワークショップのために来日。そんなディック・オーツと師弟関係にある日本を代表するジャズアルト奏者 近藤和彦との対談が実現した。奏法や練習方法についての具体的な近藤氏からの質問に一つひとつ丁寧に回答していくオーツ氏。近藤氏のオーツ氏への多大なリスペクトを感じるとともに、二人の音楽に対する情熱と人に対する優しさが伝わってくる時間となった。(インタビュア:近藤和彦、取材協力:ワールド・プロジェクト・ジャパン、Tokyo TUC、Jazz Clubさくらんぼ)
3つの要素を常に一緒に考える”フロー”
- 近藤
- まず、ジャズを演奏する上で大切な、サウンド(音色)、タイム(リズム)、テクニックという3つの要素について、それぞれを発展させるための方法や考え方を教えてください。
- DICK
- 私にとって一番大切なのはリズム、その次にサウンド、そしてテクニックですが、それら3つを常に一緒に関連させる”フロー(Flow)”という考え方があります。例えばスケール練習をやるときに、テンポ、ダイナミクス、リズミックすべてを同時に考える。ロングトーンやインターバルの練習でも、3つの要素を別々に考えずに、常に一緒に考えていなければなりません。メロディを練習する時も最初から速いテンポでやらず、3つの要素を同時に考えられるようなテンポで練習することが重要です。私の好きなホッジスやポール・デスモンド、スティット、サル・ネスティコ、キャノンボール、バード、みんなこの“フロー”があります。
- 近藤
- では、あえてお尋ねしますが、その中で、サウンドを良くしていくためには?
- DICK
- 良い音というのは一つではなくいろいろな種類の良い音があります。私は、良い音を出すにはどうしたらいいか、たくさんの人たちが研究や発見をしてきたものを組み合わせ、長い時間をかけて自分の音を見つけてきました。ちなみに私は、オーバープッシュしない音が好きです。常にいっぱいいっぱいで吹かず、余裕をもって演奏することが大切。余裕があれば、リズム、サウンド、テクニックを同時に演奏中に聴くことができます。
(続く)
・練習には自分のイマジネーションを使う
・ヴィブラートの使い分けについて
・ドミナントコードの探求から
・近藤和彦カルテット with Dick Oatts@さくらんぼ Live Report
Dick Oatts(ディック・オーツ)
アメリカ・ミシガン州出身。地元の大学で音楽を学んだ後、シンシナティ大学院へ進学。卒業はテキサスのアビリーン・クリスチャン大学でサックス・インストラクターを6年務めた後、2014年に現在の拠点となるシカゴに移住。同時期よりビートボックスのようなテクニックを取り入れた“BEATBoX SAX”という独自のスタイルで、YouTubeやコンサートツアーを通して世界中の音楽ファンを驚かす。新しい音楽シーンを牽引するアーティストの一人である。P.モーリア専属アーティスト。
近藤和彦(こんどうかずひこ)
1964年山梨県出身。大学時、山野ビッグバンドコンテストにて最優秀ソリスト賞を受賞。在学中よりプロ活動を始め、宮間利之とニューハード、松岡直也、菊池ひみこ、渡辺貞夫、高橋達也などのグループに参加。熱帯ジャズ楽団では19年間リードアルトを務め2014年退団。現在は自己のグループの他、小曽根 真、エリック・ミヤシロ、守屋純子など多くのレギュラーバンドやセッションなどで活動。スタジオミュージシャンとしても数多くのレコーディング参加している。フィル・ウッズ、ディック・オーツに師事。昭和音楽大学ジャズコース非常勤講師。2009年リーダーアルバム「SUBSTANCE」をリリース。
近藤和彦
Kazuhiko Kondo
1964年山梨県出身。大学時、山野ビッグバンドコンテストにて最優秀ソリスト賞を受賞。在学中よりプロ活動を始め、宮間利之とニューハード、松岡直也、菊池ひみこ、渡辺貞夫、高橋達也などのグループに参加。熱帯ジャズ楽団では19年間リードアルトを務め2014年退団。現在は自己のグループの他、小曽根 真、エリックミヤシロ、守屋純子など多くのレギュラーバンドやセッションなどで活動。スタジオミュージシャンとしても数多くのレコーディング参加している。フィル・ウッズ、ディック・オーツに師事。昭和音楽大学ジャズコース非常勤講師。2009年リーダーアルバム『SUBSTANCE』をリリース。