サックス記事 ドナルド・ハリソン&アントニオ・ハートのツインアルト対談!
  サックス記事 ドナルド・ハリソン&アントニオ・ハートのツインアルト対談!
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THE SAX vol.87 Interview

ドナルド・ハリソン&アントニオ・ハートのツインアルト対談!

ARTIST

ジャズ界のレジェンド、ロン・カーターの80歳を記念したアニバーサリー・ツアーに抜擢されたスーパー・ツイン・アルト。異なるプレイ・スタイルを持つアントニオ・ハートとドナルド・ハリソンの対談が実現。

2017年5月に満80歳を迎えたジャズ界のレジェンド、ロン・カーターが、この冬に新プロジェクトを率いてアニバーサリー・ツアーを開催した。そのクインテットに選抜されたサックス奏者が、異なるプレイ・スタイルを持つアントニオ・ハートとドナルド・ハリソンだ。11月の来日公演時に、この二人へのインタビューが実現した。(文:ジェーソン・アンドレス/取材協力:ブルーノート東京)

アントニオ=以下A(写真左)、ドナルド=以下D(写真右)

ジャズのレガシーを保ちながら個性を出す

――
二人ともバークリーを卒業されましたが、通った時期が違うと思います。最初の出会いはいつだったのでしょうか?
A
私がバークリー音大の学生だった頃、ドナルドがテレンス・ブランチャードと一緒に演奏でボストンを訪問されたときが初めてですね。あなたはたぶん覚えていないでしょうけど。
D
僕は、アントニオがロイ・ハーグローヴと一緒に演奏していたときだったと思ってたけれど。
――
ロイ・ハーグローヴの話が出たので聞きたいのですが、 お二人とも、アート・ブレイキーやマッコイ・タイナーなどジャズ界のレジェンドたちと一緒に演奏したことがありますよね。そのレジェンドたちから学んだことを一つ教えていただけますか?
D
アート・ブレイキーは教えるのがとても上手だったんだ。彼から学んだのが、まず心からのプレイをすることの大切さ。それから、何か才能があればそれを養うことと、音楽は競争ではないということも学んだ。
A
ジャズのレガシー、及び自分の個性、ジャズの伝統に対する尊重に関してすべてのジャズ・レジェンドは同じ見解を持っていると思います。ジミー・ヒースとジェームズ・ムーディなど私のメンターも同じ見解を持っていました。つまりそれは、ジャズのレガシーを保ちながらジャズを通して自分の個性を出すことの大切さです。
――
今回、珍しいツー・アルト編成のクインテットに参加していますが、同じ楽器を吹いていることから何か競争心を感じますか?
A
いや、そんな子どもっぽい態度は取らないですよ。まず、お互いを尊敬しています。それから、さっき言ったように、私にとってドナルドは英雄的な存在で、同じ舞台で一緒に演奏できることは光栄なことです。彼の素晴らしいプレイにどのように調和して、いい音楽を作り上げるかということを考えて吹いています。
――
お互いのプレイのどこが一番好きですか?
D
アントニオのプレイからは、ジャズの歴史が伝わってくる。また、サックスという楽器をマスターしているので、聴くのが何より楽しいことだね。彼はマスターから習ったことを工夫して自分らしくそれを表現している。
A
ありがとう。私は周りのミュージシャンのプレイをよく聴いて感じるようにしています。ドナルドのアルバムはたくさん聴いてきたけれど、生音を聴くのが何より楽しい。特に今回のメンバーの場合、ドナルドたちがプレイしたことを、どのように自分を成長させるための素材にできるかということを考えてプレイします。

(続く)

・ゲイリー・バーツからの影響

・ハーモニーの動きを理解する

・経験には勝てない

・ロン・カーター80thバースデイ・クインテット Blue Note公演ライブレポート

 


Profile
Donald Harrison(ドナルド・ハリソン)
1960年ルイジアナ州ニューオリンズ生まれのアルトサックス奏者。80年代初頭にアート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャーズの一員として脚光を浴び、84年から89年にかけてはテレンス・ブランチャードとの双頭バンドでも活動。リーダー・アルバムも「Heroes」「New York Cool」など数多い。目覚ましい活動を続ける若手トランペット奏者、クリスチャン・スコットの叔父としても知られる。
 
Antonio Hart(アントニオ・ハート)
1968年メリーランド州ボルチモア生まれのアルトサックス奏者。ボルチモア芸術学院、バークリー音楽大学等を経て、80年代後半から本格的な活動を開始。ロイ・ハーグローヴのバンドで注目を集め、ディジー・ガレスピー、マッコイ・タイナー、フィル・ウッズら数々のジャズ・レジェンドと共演。リーダー・アルバムも10点に及ぶ。最新作は2015年「Blessings」。
 
Inteviewer
Jason Andres(ジェーソン・アンドレス)
1974年3月生まれ。日本在住23年。英日・日英通訳修士号取得。2007年からボブ・ミンツァー、デヴィッド・サンボーン、ジェラルド・アルブライト、ジョシュア・レッドマンなど来日する有名なサックス奏者の通訳を務める。13歳から独学でサックスを学び、19歳でプロデビュー。2018年初旬にデビュー・アルバム「The Jason Andres Quartet -Under Your Feet-」をリリース予定。
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