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サクソフォン2本とピアノが織りなす楽しい音楽の世界 Trio YaS-375

THE SAX vol.88 Interview

2008年に結成し、「楽しいコンサート」をモットーに活動している"Trio YaS-375"。楽器の品番と見紛うグループ名は、メンバーの山田忠臣さん(Y)、國末貞仁さん(S)、小柳美奈子さん(375)のお名前から生まれたもので、今年結成10周年を迎えた。今回は、第8回目となるサロンコンサートのリハーサル中にお邪魔して、皆さんからお話を伺った。
(協力:株式会社ヤマハミュージックジャパン、アトリエ東京)

 

誰もが楽しめるコンサートを

――
このトリオが結成されたきっかけは?
小柳
私が二人に声をかけて、コンサートで一緒に演奏したのが始まりでした。新潟県大島村の蛍祭りで、ホールではなく体育館で演奏するコンサートだったので、大きな音が出るサックスがいいなと思って(笑)。
國末
楽しい演奏会でしたね。その後、東京でもこうした堅苦しくないコンサートをやりたいなと話したんです。
小柳
お子さんからご年配の方まで楽しめる曲を演奏したのですが、案外こういったコンサートは東京ではないよねって。それから1年くらいの時を経て、2008年7月に最初の演奏会を開きました。
山田
その時にグループ名をつける必要があって、じっくり検討する時間もなかったのですが二人は真剣に考えていて、私は冗談半分でメンバーの名前を取って組み合わせる案を出していたんです。そうしたら「それがいい!」と言われて、引っ込みがつかなくなって……。
――
では、”Trio YaS-375”の名付け親は山田さんなのですね。
小柳
そうです。ヤマハのサックスのモデル名「YAS-875」とよく間違えられましたね(笑)。875(ハナコ)じゃなくて375(ミナコ)ですよって!
山田
私と國末くんはずっとヤマハのサックスを吹いていたので、楽器の品番と似ているのも面白いかなと。おかげさまで、メーカーからクレームがきたことはありません(笑)。
――
この10年を振り返って印象に残っている出来事はありますか?
小柳
東京で開催した初めてのコンサートの1曲目のことですね。エルガーの『愛の挨拶』を弾き始めたら、なんだか二人の様子がおかしくて……。
國末
僕らの楽譜が、逆にセッティングされていたんです。もうびっくりして、立ち位置をサッと変わるという発想が出るほどの余裕もなく、お互いの楽譜をなんとか横目で追いながら演奏しました。若かったですね(笑)。
山田
今だったら、そんな遠いところの楽譜を見るのは無理ですね(笑)。あれ以来、私たちは立ち位置を固定することにしました。
小柳
それから、初めてゲストをお招きした4回目の演奏会で、加藤昌則さんに書いていただいた『動物デ謝肉祭』がとても好評だったんです。ナレーション入りの作品で、寄席みたいに大笑いが起こりました。終わったあと、次はどうしようかと相談して生まれたのが、石川亮太さん作曲の『銀河鉄道の夜』。この作品が誕生したことも、とても大きな出来事ですね。

 

(続く)

・ソプラノからバリトンまで駆使する編成
・お客さまとすべてを共有して楽しみたい

 

 

プロフィール
Trio YaS-375 トリオ・ワイエーエス・サンナナゴ

2008年結成の「Y」=山田忠臣、「S」=國末貞仁、「375」=小柳美奈子による、ちょっと変わった名前の2本のサクソフォンとピアノのトリオ。「楽しいコンサート」をモットーに、バロックから現代までのクラシックはもちろん、映画音楽や歌謡曲の名曲まで、多彩なプログラムで演奏活動を続けている。結成時より東京で定期的にコンサートを開催。このトリオの為に書かれたオリジナル作品や、長生淳作曲の「パガニーニ・ロスト」などの初演を行なっている。

 


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