サックス記事 JVC SOLIDEGE × 本田雅人 吹き手のニュアンスをすべて再現するヘッドホン
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THE SAX vol.88

JVC SOLIDEGE × 本田雅人 吹き手のニュアンスをすべて再現するヘッドホン

GEAR

サックス奏者 本田雅人が聴く〜吹き手のニュアンスをすべて再現するヘッドホン

JVCのハイクラスヘッドホンシリーズ「CLASS-S」の新ラインアップ「SOLIDEGE(ソリデージ)」が、発売以降各方面で高い評価を受けている。フルステンレスボディを採用した最新モデルを、今回スーパーサックスプレイヤー本田雅人氏が試聴。本田氏はTHE SAX vol.81で、同じ「CLASS-S」シリーズの木の振動板を採用した美しい響きが特徴の製品「WOOD 01 inner」を試し、その後もリスニング用として愛用しているという。異なるコンセプトの両製品を聴き比べながら、「SOLIDEGE 01 inner(HA-FD01)」の実力に迫る。(THE SAX88号より)


「SOLIDEGE 01 inner(HA-FD01)」
──本田さんには、以前WOOD 01 inner(HA-FW01)も試していただきました。
本田 WOODはリスニング用としてとても素晴らしいモデルでした。今回の新モデルは材質や音のコンセプトが違うとのことなので、ぜひ聴き比べてみたいと思い普段使っているものを持ってきました。
楽器奏者なので、特にマウスピースからくる材質による音のイメージを持っています。マウスピースは、木の素材もあればメタルでステンレスを採用したものもあります。数あるメタル素材の中でも、ステンレスは一番冷たい音を鳴らすイメージ。それがヘッドホンになったときにどうなるのか、非常に楽しみです。
──さっそくSOLIDEGE 01 inner(HA-FD01)とWOOD 01 inner(HA-FW01)を聴き比べた第一印象を教えてください。
本田 随分傾向が違いますね。特に印象的だったのは、高音の鳴らし方と低音の質感の違いです。SOLIDEGE はWOODと比べるとかなりスッキリとした印象のサウンドです。そのため低音の量感的にはWOODよりも少なめに感じますが、その分高音の美しさが際立ちます。高音が綺麗に伸びますが、キンキンとうるさくないのが良いですね。聴いていて疲れることはないでしょう。Lowの成分を過剰に感じないという点では、ステージでの使用にも適しているかもしれません。

 

際立つ高域の美しさと、はっきりした輪郭の低域
──音のバランスは高域寄りということでしょうか?
本田 Lowが少なく感じるとは言いましたが、それは低域の出方がとてもシャープでスッキリとしているからそう感じるのであって、決して出ていないわけではありません。音の輪郭がはっきりしていて、それこそ昔のLPのように音程のセパレーションもしっかりしている。小さな音量だとそのへんがわかりづらいかもしれませんが、ボリュームを上げていくと、低音の迫力と余韻を十分に感じることができます。
ここでは単純にLowとかHighという言葉で語っていますが、例えばドラムのキック音やベースの音って、Lowだけ出ていてもダメで、Highが良くないとバシッと決まらない。それぞれの楽器に理想的なバランスというものがあって、それらが合わさって音楽が出来上がっています。すべてを理想的に再現するのは難しいことだと思いますが、このような全体を素晴らしい音で鳴らしてくれる製品に出会うと楽しくなりますね。 また、SOLIDEGEは音の広がり方も優れています。イヤホンとは思えないリッチな空間を感じます。
昔の音源でも、圧倒的臨場感で現代的に聴かせる
──サックスの音の聴こえ方はどうでしょうか。
本田 『Waltz For Debby』のような古い音源でも、つばの音まで聴こえるんですよ。タンギングやアーティキュレーションのニュアンスがここまで具体的に聴き取れるのかと驚かされます。サックスの一番上の「サッ」という部分や「タッ」という音の再現力でしょうね。集中して聴くとその臨場感に圧倒されます。 作り手側は普段そこまでの領域を意識してレコーディングしていないと思うので、自分も今後は気を付けよう、と(笑)。 昔は聴こえることのなかった部分が聴こえているというのは、再生機器側の進化を実感しますね。言い換えると、昔の音源も現代的に聴かせてしまう魅力があるということです。これらの曲に関して何度も聴いてイメージができあがっていたつもりが、まだ新たな発見がある。聴き返す楽しみができますよ。
ありのままの音楽を聴くために
──2つの「CLASS-S」を聴き比べて、いかがでしたか?
本田 昔、LPなどを聴いていた時代というのは、現代ほど音楽にLowがなかったんですよね。ラジカセが大型化してきて、Lowをブーストする音楽の聴き方が流行り、今やスマホでEQを自在にいじれる時代になりました。そんな中でJVCの「CLASS-S」製品は、昔の聴き方というか、ナチュラルなサウンドを提示したいのだろうなと感じます。音楽をナチュラルに楽しく聴かせるという意味で、JVCのヘッドホンはリスニング用として素晴らしいクオリティを持っています。
SOLIDEGEもWOODも、聴き比べるとまったく音の鳴らし方が違うことは誰でもすぐにわかると思います。どちらのほうが優れているとかではなく、その人の好みや用途によって選ぶべきものでしょう。
本田雅人_jvc SOLIDEGE

 

ノズル交換で自分好みの音を
素材が違う三種類のノズルを用意。ノズルを交換することで、好みの音色にカスタマイズすることが可能。本田氏のお気に入りは「ブラス」素材。
本田雅人_jvc SOLIDEGE

 

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登場するアーティスト
画像

本田雅人
Masato Honda

国立音楽大学在学中から原信夫とシャープス&フラッツリード・アルト奏者を務める。卒業後、本格的にプロ活動を開始、数多くのアーティストのレコーディングやツアーをサポートする。1991年、T-SQUARE に加入。同バンドのフロントを飾ると共に、作曲やアレンジの面でも新風を巻き起こす。1998年、T-SQUARE を退団、ソロ・アーティストとして活動開始。その後、日本を代表するサックスプレイヤーとして人気、実力ともに現在に至るまでフュージョン界の頂点に君臨し続ける。