山野ビッグ・バンド・ジャズ・コンテスト第45回 イベントレポート
2014 8/16・17 at大宮ソニックシティ大ホール
8/16・17の2日間、大宮ソニックシティ大ホールで、全国の大学ビッグバンドサークルがその腕を競い合う、山野ビッグ・バンド・ジャズ・コンテストが開催された。第45回目となる今回は延べ50バンドが応募し、その中から一次予選を通過した35バンドが本選に駒を進め、ステージで熱演を披露した。2日間の熱戦の結果、最優秀賞は早稲田大学ハイ・ソサエティ・オーケストラが、優秀賞は同志社大学ザ・サード・ハード・オーケストラ(第2位)と慶應義塾大学ライト・ミュージック・ソサエティ(第3位)がそれぞれ獲得した。実はこの順位は昨年のコンテストと全く同じものであり、結果的に今年は、昨年の上位バンドがきれいに1-2-3フィニッシュを決める形となった。また今回から、本選に参加したバンドが投票によって他バンドを顕彰するという趣旨の「学バン アワード」が新設され、記念すべき第1回目は同志社サードに贈られた。これで同バンドは、優秀賞と学バン アワードをダブル受賞したことになる。
最優秀ソリスト賞に輝いたのは早稲田ハイソの中山拓海(as)。早稲田はこれで、最優秀賞と最優秀ソリスト賞の2つの最高栄誉を総取りした。なお優秀ソリスト賞は明治大学ビッグ・サウンズ・ソサエティ・オーケストラの小池勇輝(b)と甲南大学ニューポート・スウィング・オーケストラの礒野輝(tb)の2名。
上位バンドが入賞を決めたポイントとしては、飽くまで筆者の主観だが、1位の早稲田ハイソと3位の慶應ライトについては、卓越した演奏テクニックと正確でタイトなアンサンブル、全体的な完成度の高さに尽きる。演奏曲も、ハイソがヴァンガード・ジャズ・オーケストラ、ライトがマリア・シュナイダー・オーケストラと、共に白人ハイテク系のアブストラクトなナンバーでガチンコ勝負になった形だ。ハイソが頭一つ抜き出たのは、最優秀ソリスト賞の中山の存在ゆえか。テクニックや完成度では2位の同志社サードも決してひけを取らないが、彼らの場合は早稲田や慶應には見られなかったグルーヴ感と圧倒的な音圧・ダイナミクスが高評価を受けたと思われる。「学バン アワード」獲得も納得の内容と言えよう。
上位3バンド以外では、期待を裏切らない迫力とスイング感で4位に食い込んだ“西のベイシー・バンド”大阪大学ザ・ニュー・ウェイヴ・ジャズ・オーケストラと、底抜けの享楽さとパワーで会場をラテン一色に染め上げた6位の東京工業大学ロス・ガラチェロス、そして、ボーカルにバイオリンを加えた変則編成で、香取良彦の書き下ろしアレンジを反則的上手さで演り切った7位の洗足学園音楽大学ゲット・ジャズ・オーケストラが印象に残った。