サックス記事 「冬の旅」高橋悠治 栃尾克樹
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THE SAX vol.99 l Disc Review【CLASSIC】

「冬の旅」高橋悠治 栃尾克樹

MUSIC

《冬の旅》は、恋に破れた主人公のさすらいの旅と心情を描いたヴィルヘルム・ミュラーの詩集に、シューベルトが曲をつけた歌曲集。この歌集に憧れを持つ、バリトンサックス奏者として活躍中の栃尾克樹氏によって演奏会が行われ好評を博した。

冬の旅,高橋悠治,栃尾克樹

「冬の旅」高橋悠治 栃尾克樹

【PAU-8003】¥2,500(税別) パウ
[演奏]栃尾克樹(Bs)、高橋悠治(Pf)
[収録曲]シューベルト:冬の旅[おやすみ、風見の旗、凍った涙、凍りつく、ボダイジュ、水があふれ、流れの上、振り返る、鬼火、休み、春の夢、ひとりきり、郵便、白髪頭、カラス、最後の望み、村で、嵐の朝、幻、道しるべ、宿屋、勇気、日の暈、ハーディ・ガーディ弾き]

 

《冬の旅》は、恋に破れた主人公のさすらいの旅と心情を描いたヴィルヘルム・ミュラーの詩集に、シューベルトが曲をつけた歌曲集。東京佼成ウインドオーケストラのバリトンサックス奏者として活躍中の栃尾克樹氏はかねてよりこの音楽に憧れを持っており、2017年、2018年に開催したバリトンサックスとピアノによるこの曲集の全曲演奏会は、いずれも好評を博した。当アルバムにはこの《冬の旅》の、改めてスタジオ録音した全曲が収録されている。歌詩を発することができない管楽器とピアノで歌曲をどのように表現するのかということに非常に興味があったのだが、両氏の演奏は、常に儚くも美しい趣をまとい、しかし深く静かなところで千変万化に表情を変えながら主人公の心の移ろいを見事に表し、語りかけてくるものだった。なお、ブックレットには高橋氏によるミュラーの詩の対訳文も収録されている。  

 

登場するアーティスト
画像

栃尾克樹
Katsuki Tochio

東京藝術大学卒業。1988年(川崎)1992年(イタリア)1997年(スペイン)に於ける世界サクソフォーン・コングレスに参加。ソロ、室内楽や、ジャンルを超えたアンサンブル「COLORS」、国内の主要なオーケストラでの演奏の他、スタジオワークとして、シドニーオリンピックにおけるシンクロナイズド・スイミングのデュオ(銀メダル)の音楽や、映画「電車男」サウンドトラック、テレビCM等の多彩な活動を展開している。これまでに2回のバリトンサクソフォーン・リサイタルを開催し好評を博す。2005年にソロCD「アルペジョーネ・ソナタ」、2007年にソロCD「影の庭」をリリース(共にマイスター・ミュージック)。アルモ・サクソフォーン・クァルテットで7枚のCD をリリース。サクソフォーンを喜田賦、阪口新、冨岡和男の各氏に師事。武蔵野音楽大学、聖徳大学非常勤講師。東京佼成ウインドオーケストラ バリトンサックス奏者。