サックス記事 美しく、力強く、そしてしなやかに ─ “生き方そのものを表現する” 女性サックスプレイヤー
  サックス記事 美しく、力強く、そしてしなやかに ─ “生き方そのものを表現する” 女性サックスプレイヤー
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THE SAX vol.48 Cover Story

美しく、力強く、そしてしなやかに ─ “生き方そのものを表現する” 女性サックスプレイヤー

ARTIST

数年前のある日、CDショップにいた私の目に飛び込んできたのは美しい女性がサックスを持っているジャケットのアルバム。 試聴して早速購入した。それがミンディ・エイベアさんの音楽との出会いだ。その日から私は彼女のメッセージ性の高いサックスプレイに惚れ込んだ。「この人のサックスは、深い人生が語られている音だ!絶対そうに違いない!」そう思って彼女のアルバムを集め続けた私。デビューから5枚目の「In Hi-Fi Stereo」を手に入れた時、私は遂に彼女とゆっくり話をするチャンスを掴んだ。どんな想いを持って演奏しているの?どんな道を歩んで来たの? …… たくさん聞きたいことがある。そんなワクワクするような気持ちで、私はコットンクラブの楽屋のドアを叩いた。(藤野美由紀)

(構成・インタビュア = 藤野美由紀(サクソフォン奏者)/ 通訳 = アンドレス・ジェーソン / 取材協力 = 丸の内 Cotton Club / 撮影 = 土居政則)


サックスも「歌うもの」だと気づいた時が転機

久しぶりにお会いできて嬉しいです。今日のインタビューを本当に楽しみにしていました。
ミンディ・エイベア
(以下A)
私も楽しみにしていたのよ。前に会った時にもらったあなたのCD、すぐに聴いたけど、とてもよかった。ワクワクしたわ!
嬉しい!ありがとうございます。私もあなたのアルバムは全部聴いています。さて、まずはあなたがどんな音楽に囲まれて育ったのか、教えてください。
A
小さいころはラジオで放送されていた「American Top 40」という番組で、ロックンロールをよく聴いていたの。ティナ・ターナー、デュラン・デュラン、スティーヴィー・ワンダー……。高校生になってからジャズを聴くようになったわ。
サックスは8歳のころからスクールバンドで吹き始めていたんだけど、それとロックやジャズとは離して考えていたところがあった。それが、初めてデヴィッド・サンボーンを聴いた時に気づいたの。サンボーンは R&B っぽい吹き方をしていて、ティナ・ターナーが歌っている時と同じだ! ってね。要するに、サックスも「歌うんだ」ってことを知ったのよ。
ということは、サックスプレイヤーとして、最初に影響を受けたアーティストはサンボーン?
A
最初に影響を受けた…… という意味では、サックスプレイヤーだった父よ。彼はエンターテイナーズというバンドに入っていて、私もそのツアーについて行ったりもしていたから、毎晩その音を聴いていた。父はソウルが好きで、メイシオ・パーカーとか…… あんな感じの吹き方をしていたの。すごく太いサウンドだった。父が吹いている姿を観て、本当に楽しいんだなと思ったわ。それが一番印象深い経験だった。
父以外のサックスプレイヤーでは、やはりサンボーンからの影響が強いわね。あとはイエロージャケッツのブルースサウンドも結構好きだった。
ミンディ・エイベア Mindi Abair

CD Information

「In Hi-Fi Stereo」ミンディ・エイベア
「In Hi-Fi Stereo」ミンディ・エイベア
【HUI-31837】
Heads Up

【曲目】 Any Way You Wanna、All Star、L'Espirit Nouveau、Get Right、Be Beautiful、Down For The Count、Girl's Night Out、Let the Whole World Know (Sing Your Song)、It's A Man's, Man's, Man's World、Take Me Home、The Alley


次ページにインタビュー続く
・チャンスはどこに落ちているかわからない!
・リスペクトするミュージシャンと作りあげたアルバム
・女性ならではのパワーを表現しましょう!

登場するアーティスト
画像

ミンディ・エイベア
Mindi Abair

アメリカのスムースジャズサックス奏者。アルトサックス、ソプラノサックス、フルート、キーボードを演奏、ヴォーカルをとることもある。祖母がオペラ歌手、父親がプロのサックス奏者という家庭に生まれ、8歳でサックスを始める。高校時代はスクールバンドでサックスを演奏。バークリー音楽大学でジャズ、ロック、R&B などあらゆるジャンルの音楽を学ぶ。卒業後はロサンゼルスへ移り、自己のバンドで活動。ジョナサン・バトラーのバンドに参加し、その後アダム・サンドラー、バックストリート・ボーイズやマンディ・ムーアなどのバンドでも活動。2000年に自主アルバム「Always and Never the Same」を発表し、2003年にアルバム「イット・ジャスト・ハプンズ・ザット・ウェイ」でデビュー。2004年に「カム・アズ・ユー・アー」、2006年に「ライフレス・オーディナリー」、2008年にアルバム「スターズ」を発表。2008年からラジオ番組「Chill with Mindi Abair」のパーソナリティに就任。

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