美しく、力強く、そしてしなやかに ─ “生き方そのものを表現する” 女性サックスプレイヤー
数年前のある日、CDショップにいた私の目に飛び込んできたのは美しい女性がサックスを持っているジャケットのアルバム。 試聴して早速購入した。それがミンディ・エイベアさんの音楽との出会いだ。その日から私は彼女のメッセージ性の高いサックスプレイに惚れ込んだ。「この人のサックスは、深い人生が語られている音だ!絶対そうに違いない!」そう思って彼女のアルバムを集め続けた私。デビューから5枚目の「In Hi-Fi Stereo」を手に入れた時、私は遂に彼女とゆっくり話をするチャンスを掴んだ。どんな想いを持って演奏しているの?どんな道を歩んで来たの? …… たくさん聞きたいことがある。そんなワクワクするような気持ちで、私はコットンクラブの楽屋のドアを叩いた。(藤野美由紀)
(構成・インタビュア = 藤野美由紀(サクソフォン奏者)/ 通訳 = アンドレス・ジェーソン / 取材協力 = 丸の内 Cotton Club / 撮影 = 土居政則)
サックスも「歌うもの」だと気づいた時が転機
(以下A)
サックスは8歳のころからスクールバンドで吹き始めていたんだけど、それとロックやジャズとは離して考えていたところがあった。それが、初めてデヴィッド・サンボーンを聴いた時に気づいたの。サンボーンは R&B っぽい吹き方をしていて、ティナ・ターナーが歌っている時と同じだ! ってね。要するに、サックスも「歌うんだ」ってことを知ったのよ。
父以外のサックスプレイヤーでは、やはりサンボーンからの影響が強いわね。あとはイエロージャケッツのブルースサウンドも結構好きだった。
CD Information
【HUI-31837】
Heads Up
【曲目】 Any Way You Wanna、All Star、L'Espirit Nouveau、Get Right、Be Beautiful、Down For The Count、Girl's Night Out、Let the Whole World Know (Sing Your Song)、It's A Man's, Man's, Man's World、Take Me Home、The Alley
次ページにインタビュー続く
・チャンスはどこに落ちているかわからない!
・リスペクトするミュージシャンと作りあげたアルバム
・女性ならではのパワーを表現しましょう!
ミンディ・エイベア
Mindi Abair
アメリカのスムースジャズサックス奏者。アルトサックス、ソプラノサックス、フルート、キーボードを演奏、ヴォーカルをとることもある。祖母がオペラ歌手、父親がプロのサックス奏者という家庭に生まれ、8歳でサックスを始める。高校時代はスクールバンドでサックスを演奏。バークリー音楽大学でジャズ、ロック、R&B などあらゆるジャンルの音楽を学ぶ。卒業後はロサンゼルスへ移り、自己のバンドで活動。ジョナサン・バトラーのバンドに参加し、その後アダム・サンドラー、バックストリート・ボーイズやマンディ・ムーアなどのバンドでも活動。2000年に自主アルバム「Always and Never the Same」を発表し、2003年にアルバム「イット・ジャスト・ハプンズ・ザット・ウェイ」でデビュー。2004年に「カム・アズ・ユー・アー」、2006年に「ライフレス・オーディナリー」、2008年にアルバム「スターズ」を発表。2008年からラジオ番組「Chill with Mindi Abair」のパーソナリティに就任。